阪急電車 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]
短い区間の路線の、ある電車に乗り合わせた人たちの物語。
えんじ色の車体を見かけたことくらいしかない私にとって、縁の
薄い電車なので、読んで身近に感じるかなって心配でしたが、
そんな心配は不要! しかも、とても素敵な作品でした。
▲ 阪急電車はレトロな雰囲気だそうですが、この表紙の
文字もレトロな雰囲気の文字を使っていていいですネ♪
阪急電車 (幻冬舎文庫)
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作者: 有川 浩
出版社/メーカー: 幻冬舎
発売日: 2010/08/05
メディア: 文庫
【 もしかしたら☆ 】
今津線という阪急電車各線の中でもマイナー(だそう)な路線を
舞台にした物語。しかも、そのその各駅名をタイトルにした連作
短編です。
その駅ごとに登場する人物たちは、それぞれが「何か」を抱えて
おり、私たちの日常と同様、それぞれが無関係にすれ違うだけで
すが、ほんのわずかな、他人ならず本人すら気を留めないような
一瞬の関わりが、それぞれの人生にとって、大きな影響を与えて
いきます。
この物語の人たちのように、現実にも、きっと、それぞれが他人
からはうかがい知ることのできない「何か」を抱えて電車に乗って
いるのだろうなって思います。
そして、自分も、もしかしたら一瞬、すれ違った人から影響を受け、
また影響を与えているのかもしれませんね。そう思うと、何だか
楽しくなってきますよネ ^.^ ♪
【 読者のツボを押さえています! 】
物語は行く(往路)だけでなく、戻ってくる(往路)もあります。往路
を読んでいった時、各短編に出てきた人たちは、「その後、どうした
のだろう?」って気になりました。
そこは、さすが有川さん!その辺は、読者の気持がよく分かって
いますよネ!ツボを押さえています!! 復路に、往路のほんの
ちょっと先の「その後」が復路で描かれています。そして、その人たち
が、みんな1歩「前」に踏み出しているところが嬉しく、有川さんの
やさしさが伝わってきました。
行って見たことのない路線ですが、行ってみたくなりました。