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出逢った小説リスト 【2015年10月-12月編】 [読んだ作品リスト]

2015年(平成27年)の10~12月に私が出逢った小説たちです

 今期は、何となくSF・伝奇ものがすごく読みたくなって手に取りま
した。特に、以前から日本古代史に興味があったので、独自の
解釈を融合させた「龍の柩」を今年の最後に読めて良かったです☆

  ※ 『出逢った小説リスト【2015年7月-9月編】』もよかったらどうぞ
  ※ 既に紹介している作品のタイトルにはLinkを貼っています。

*:..。o○★゚・:,。*:..。o○☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆*:..。o○★゚・:,。*


― 10月 ―

47-50_ガーゼィの翼 2-5 【富野由悠季】
 前四半期に読んだ第1巻を含め、全5巻をいっきに読みました。
バイストン・ウェル物語としては、「オーラバトラー戦記」や「リーンの
翼」は知っていましたが、この「ガーゼィの翼」は、刊行当時、作品
の存在を知らなくて、今頃になって、古書を入手して読みました。
 バイストン・ウェルの物語は壮大な世界観という印象なのですが、
この作品は、こぢんまりとした物語だったという印象です。終わり方も、
急にばっさりと終了してしまった印象で、えっ!?という感じでした。

  ガーゼィの翼5.JPG
  ▲ 最終話(第5巻)のイラストです。
    
ガーゼィの翼〈5〉バイストン・ウェル物語 (ログアウト冒険文庫)
    ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
    作者: 富野 由悠季
    出版社/メーカー: アスキー
    発売日: 1997/02
    メディア: 文庫

51_リカーシブル 【米澤穂信】
 私の勝手な印象なのでしょうが、米澤穂信さんの作品の雰囲気は、
全体的に、重いというか、閉塞感のようなものを感じることが多い
です。この作品も、伝説が残り、因習にしばられた街を舞台にした
物語。やはり、重くて、閉塞感といった空気をまとわりつかせていま
す。物語には、終盤までどうなるのかと惹き込まれ、おもしろかった
のですが、ラストは、謎が解明されただけで終わってしまったという
感じで物足りなさも・・・。私的には、もう少し謎が明らかになった後の、
主人公の女の子と周囲の関係の変化まで描いてほしかったな。

― 11月 ―

52_天翔る 【村山由佳】 (Link)
 やさしい物語。心がじんわりと温かくなるものがあって、久しぶり
に心地よい読後感と満足感に浸れた素敵な作品でした。私好みで、
非常にお薦めです。詳しくは、タイトルをクリックしてネ!

53_ホテルローヤル 【桜木紫乃】
 直木賞受賞作。映画化もされましたので、以前から気にはなって
いたのですが、なかなか読むきっかけがなく・・・。
 ローヤルというラブホテルを舞台にした短編。だんだんと時が遡っ
ていくので、前の短編でさりげなく描かれた描写が、数話後に理由
が明かされるなど、廃墟に至るまでにローヤルを通り過ぎていった
人々の人生が次第に明かされていく印象でした。

  ホテルローヤルs.jpg
  ▲ ホテルローヤル (集英社文庫)
    ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
    作者: 桜木 紫乃
    出版社/メーカー: 集英社
    発売日: 2015/06/25
    メディア: 文庫

54_罪の余白 【芦沢 央】
 映画された作品です(2015年10月公開)。非常に重い作品で
した。
 一人娘が高校の学校のベランダから落ちて死亡。自殺として処
理されますが、娘との二人暮らしだった父親が、なぜ娘の悩みに
気づけなかったのかと苦悩します。そんな父親の視点と、死に追い
やった同級生2人、父親の同僚の4名の視点で物語は進みます。
 罪というには言い過ぎのような、でも、罪ではないかと言うとそう
でもないような境界線のお話。現実にあり得ることで、もし自分が
父親の立場だったらどうするのだろうかと読んでいて前半は苦しく
なりました。後半は、どのような結末になるのだろうと惹き込まれ、
結末は、少し痛みを和らげてくれた感じです。

  罪の余白s.jpg
  ▲ 罪の余白 (角川文庫)
    ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
    作者: 芦沢 央
    出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
    発売日: 2015/04/25
    メディア: 文庫

55_涼宮ハルヒの動揺 【谷川 流】
 「罪の余白」が非常に重い作品だったこともあって、軽いものを
読みたくなり手に取りました。
 前作までの既に描かれたエピソードとエピソードを繋ぐ短編なの
で、スケール感はありませんが、ドタバタが楽しめました。毎回、
読んでいて感じますが、作者は知識と語彙が広いですよね。

56_図南の翼 【小野不由美】
 十二国記シリーズのepisode6です。おもしろくて、あっという
間に読んでしまいました。王不在の荒れた国を憂い、昇山を
めざすわずか12歳の女の子の冒険物語、ロードノベル。
 道中の幾多の困難の中で、危険を乗り越え世の中を知り、
人間的に成長していきます。私の中でも十二国記の中でも1、2
を争うお気に入りの作品です☆

  図南の翼s.jpg
  ▲ 図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)
    ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
    作者: 小野 不由美
    出版社/メーカー: 新潮社
    発売日: 2013/09/28
    メディア: 文庫

― 12月 ― 

57_ハーモニー 【伊藤計劃】 (Link)
 読んだことも、どんな作品を書いているのかも知りませんでした
が、評価が高い作家さんなので映画を観てみました。少々、難解
なストーリーで、特にラストが理解しきれずモヤモヤっとしたので
小説を読んでみました。
 小説は、事前に映画で世界観が分かっていたのでイメージしや
すく入りやすかったですが、逆に、もし観ていなかったら、うまく
物語を理解できたか自信がないかな。私的には、小説と映画の
両方でやっと理解できた印象なので、これから読む人には、
映像を観てから本を読む方がお薦めです。
 映画については、タイトルをクリックしてネ!

58_竜の柩1 【高橋克彦】 (Link)
 日本古代史や神話に登場する「龍」をめぐる伝奇小説。古事記、
日本書紀や神話に対する解釈には、真実ではと思わせる説得力
があります(主題の「龍」に対する解釈は突飛すぎますが、単純に
笑い飛ばせないところも)。読み応えがあって、私は大好きです!
詳しくは、タイトルをクリックしてネ!

  竜の柩1(祥伝社)s2.jpg竜の柩1(講談社)s.jpg
    ▲ 左が祥伝社文庫、右が講談社文庫です。
    私は、左の祥伝社のカバーのが好きかな☆

 


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出逢った映画リスト 【2015年7月-12月編】 [映画の棚]

2015年の下期は、本数は少なかったけど、見応えがある作品
が多かった印象です
なので、下期も「出逢った映画リスト」として、まとめてみますネ♪ 

 ※2015年上期のリスト(Link)も良かったらのぞいてネ。

06_ターミネーター ジェニシス

    terminator_genisys_s.jpg

 このシリーズ、やはりインパクトがあったのは第1作と第2作。
ホント名作だと思います。その後の作品も、それなりにおもしろ
かった印象は残っているのですが、あまり内容を覚えてなくて・・・。
 今回の作品は、ホントおもしろかった!第1作の懐かしい
シーンを描きながら、“こういう展開か!”っと驚く展開。第1作や
第2作を知らないと十分に楽しめないところもありますが、観て
いる人には懐かしのシーンにも出逢えて、とても楽しめる作品
だと思います。
 ちなみに、エンドロールが始まってすぐ出て行ってしまう人が
多かったのですが、エンドロールの中間で、映像が入りました。
そういう作品は意外と多いので、ゆっくり作品の余韻に浸るつ
もりで、最後まで観た方がいいと思いますよ。

07_ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション

  mission_impossible_rogue_nation_s.jpg

 このシリーズだし、最初から最後まで、息つくひまもない展開に
なるだろうとは思ってましたが、話題となっている飛行機の離陸
シーンだけでなく、水中シーンや、特にバイクの疾走シーンなどは、
すごい迫力で、手に汗握りました。ストーリーもおもしろくて、
まさに最後まで息つく暇のない展開。それにしても、トムのスタン
トはすごいとの一言に尽きますね。
 観に行く前にシリーズ第1作を見直したのですが、それもあっ
て、トムも少し年をとった印象。シリーズ最終作と宣伝していま
すが(どうして最終作かは知りませんが)、このシリーズ、トム自ら
のスタントシーンが売りでもありますから、トムの年齢のことを
考えると、最後になるのはやむを得ないのかもしれませんね。
とても残念ですが T_T

08_図書館戦争 THE LAST MISSION

  図書館戦争2(1s).jpg

 第1作は観ていましたし原作が好きなので、迷うことなく観に
行きました。原作の図書館「危機」(第3作)と革命」(第4作)が
ベースなのかな。
 戦闘シーンが多くてスゴく迫力はありましたが、個人的には、
郁と堂上の関係をもっと描いて欲しかったなという印象です。
 詳しくは、こちらをクリックしてネ!

09_<harmony/> ハーモニー

  harmony02s.jpg

 原作者の高評価を知り、映画の予告編をネットで見てみたら
興味をそそられ、内容をほとんど把握しないまま観に行きました。
 映像はキレイで丁寧に作られています。肝心なストーリーです
が、少々難しく、後で原作を読んで理解できたようなところもあり
ました。かなり原作に忠実に映像化しています。
 詳しくは、こちらをクリックしてネ!

 

 2015年に観た映画は9本。前年に比べれば増えましたが、
何本か観たい映画を見逃しました。観た作品の中では、何と言っ
てもターミネーターとミッション:インポッシブルがおもしろかった!
 いずれも家で第1作を観たのですが、シュワちゃんもトムも
若かった!あと、ターミネーターを観ていると、SFX技術の進歩
に驚かされますね。
 さてさて、2016年はどんな映画に出逢えるか!楽しみ☆


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竜の柩 【高橋克彦】 [SF・伝奇小説の棚]

 人知や常識を超えた伝奇小説が読みたくなり、ネットで探していて
見つけた作品です。私の興味がある歴史の探求を絡めた作品とい
うこともあって読んでみたところ、超、私好みの作品でした。

   竜の柩1(祥伝社)s.jpg
  ▲ この写真では分からないでしょうが、迫力ある龍が描かれて
   います。詳しくは、下の【+plus】を読んでネ!
    
竜の柩〈1〉聖邪の顔編 (ノン・ポシェット)
    ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
    作者: 高橋 克彦
    出版社/メーカー: 祥伝社
    発売日: 1997/07
    メディア: 文庫
    

【 story 】

 日本史の表舞台には現れてこないが、中世における国際貿易の
中心地として繁栄したとされる青森・津軽十三湊。その地で山々を
買い占め謎の行動をとる会社・津軽開発の目的を探るため現地に
入ったTV制作会社の九鬼虹人たち。やがて、『龍』というキーワード
が浮かび上がるが、津軽開発だけではなく、虹人たちの行動を
監視する謎の組織が出現し、身に危険が迫る。
 虹人たちは、謎の組織を牽制しつつ、ピラミッド説のある長野・
皆神山や「古事記」にも記されている諏訪大社、そして、出雲へと
各地に遺る龍の痕跡を辿っていく。
 『龍』とは何か、歴史に隠された秘密とは・・・。

【歴史の真実を想像する楽しさ】

 推理小説という形式ながら、我々が真実と信じている史実が実は
真実とは限らず、歴史は謎だらけであり、その謎を紐解いていく楽
しさを教えてくれたのは、北村鴻さんの蓮丈那智シリーズでした。
それまで興味がなかった民俗学などにも興味を持つようになり、
地域に残る伝承などには、実は秘められた歴史の真実が隠されて
いるかもしれないなどと想像する楽しさを知りました。
 この作品(第1巻)は、民俗学とは異なりますが、人々に崇拝され
る『龍』に絡めて、記紀(古事記・日本書紀)などから日本の神話に
まで遡る日本の歴史を紐解いて行きます。

  一見、滑稽にも感じる神話に隠された真実とは?
  『龍』とは何なのか?

 虹人たちが繰り出す説(龍が何であるか)は滑稽すぎると思う人
もきっと多いと思いますが、しかし、妙に説得力があります。
 日本という国の成り立ちに欠かすことのできない「大国主命の
国譲り」ひとつをとっても謎だらけの日本の歴史。埋もれてしまった
歴史の裏側には、もしからしたら、こんな埋もれてしまった真実が
隠されているのかも。そう考えながら読んでいると、知的欲求が
刺激されて、本当にワクワクしました。龍が何であるかは横に置い
ておくとしても、日本の歴史を知ることもでき、とてもおもしろい
作品です!

 このシリーズは全4巻。さらに続編「霊(たま)の柩」もあるよう。
第2巻は、「ノアの箱舟」の謎に迫っていくようです(正確には、
第1巻の終わりから始まっています)。こちらもおもしろそうなので
楽しみです ♪

【 +plus 】

 この作品は、祥伝社と講談社から刊行されています。

  竜の柩2(祥伝社)s.jpg竜の柩2(講談社)s.jpg
   ▲ 祥伝社(左)と講談社(右)の各第2巻のカバーです。 

 どちらもちょっと発行年が古いので、書店ではあまり見かけませんが、
ネットでは十分、手に入ります。
 私は、カバーに惹かれて祥伝社文庫を購入。京都・妙心寺の法堂
天井にある「雲龍図」(狩野探幽作)だそうですが、迫力がありますネ!
この絵を利用してカバーデザインを担当された方のセンスが光ってい
ると思います(*^-')bスバラシイ!


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< harmony/> ハーモニー 【映画】 [映画の棚]

 夭逝の作家、伊藤計劃(けいかく)氏の3作品が映画化されて
います。ちなみに夭逝(ようせい)とは、若くして死ぬこと、早世の
意味。伊藤氏の才能がどれほどなのか承知していませんが、
このように伊藤氏を称え映像化しているのですから、高く評価さ
れているのでしょう。そんなことから、全く未知であるこの作品が
気になって観てみました。

    harmony_movie.jpg
   ▲ 映画の公開に併せて(だと思いますが)、このイラストが
    原作文庫の通常カバーの上にかけられています。
     
ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)
     ( ↑ 原作本は、タイトルをクリックしてamazonへ)
     作者: 伊藤計劃
     出版社/メーカー: 早川書房
     発売日: 2014/08/08
     メディア: 文庫

【 story 】

  世界が混沌を極めた「大災禍」後、恒常的に体内の健康状態
を監視するシステムWatchMeをインストールし、メディケアに
よって病気を駆逐した、優しさと倫理に支配された世界。
 その真綿でやさしく首を絞めるような優しい世界に徒(あだ)をな
すことを示そうと、御冷ミァハ、零下堂キアン、そして、霧慧トァン
は自殺を図る。
 13年後、そんな世界を覆すような同時多発自死事件が発生し、
螺旋監察官となったトァンの目前で、もう一人生き残ったキアンも
「うん、ごめんね、ミァハ」という言葉を残して自殺する。死んだはず
のミァハの意識を感じてトァンは調査を始める・・・。

  harmony01s.jpg

【 難解☆ 】

 一見、調和のとれた理想的とも言える世界。しかし、そこに潜む
息苦しさと、人としての本質とはといったテーマが描かれた、少々
(かなり?)難解な物語。映画を観ただけでは十分に理解できず
原作を読みました。原作を読まなかったら、うまく世界観を理解で
きたか自信がなかったな(まあ、伊藤氏が描きたかったことを十分
に理解したという自信もないけど)。
 一方で、もし映画を観ていなかったら、小説だけ読んでも世界観
が上手くイメージできず、理解できた気がしないのです(映画で
ストーリーの大枠と世界観を把握して、小説で、映画で理解し切れ
なかったところを補完した感じです)。つまり、「観て」「読んで」を
両方しないと理解できない作品かもしれないですネ!

    harmony02s.jpg

 映画は、時間の枠に納めるために本題に影響しないエピソードを
削ぎ落としていますが、かなり原作に忠実に描いています。でも、
やはり小説の方が、伊藤氏の世界観を深く理解できた印象かな。
人物に“思い”を好きなだけ語らせることができますからネ!
 ラストは、映画を観たときの私の解釈が少し誤っていたようで(私の
理解力不足です!)、小説を読んで、ミァハの目指した世界や手法、
トァンの感情が理解できました。
 私的には映像を観てから本を読む方が世界観を理解しやすくて
お薦めかな☆

【 +plus 】

 映画にも小説にも、「<」と「>」に囲まれた表記が出てきます。
詳しくはないので話半分で聞いて欲しいですが、小説では、
  <declaration:calculation>
    <pls:敗残者の物語>
    <pls:脱走者の物語>
    <pls:つまりわたし>
  </declaration>
で物語が始まります。
 <>と</>は、<>から</>までという意味になり、<>に挟ま
れたdeclarationは、公表とか宣言という意味ですので、この小説
は「敗残者の物語」、「脱走者の物語」、「つまりわたし」という『宣言』
なのでしょう(たぶん^^;)。
 </>が終わりを意味しているとすると、タイトルの<harmony/>
に「/」がついているのが意味深ですネ!

 


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