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義弟(おとうと)【永井するみ】 [最近の素敵な本の棚]

 本屋さんで偶然に出逢った作品。正直なところ、あまり好み
のカバーデザインではなく、永井するみさんの作品も過去に1、
2作を読んだことがあるだけ。全くの偶然の中で帯の紹介が私の
琴線に触れて手に取り、背表紙のあらすじに惹きつけられ、他の
書棚に行っても気になって、それで購入しました。
 まさに好みの作品。磁力で引き寄せられたという感じです。
こういう本との出逢い方は、きっとネットではできないですよね。

 義弟s.jpg 
 ▲ 物語の象徴的なシーンです!
   義弟 (集英社文庫)
  •    ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
        作者: 永井 するみ
  •     出版社/メーカー: 集英社
  •     発売日: 2019/05/17
  •     メディア: 文庫

 
【 story 】
 ー 限界だ、助けてくれ -

 家に火をつけて、父と義理の母ごと全部燃やしてしまおうと
した高校生の克己。それを止めたのは、深夜に急に帰って来た
東京にいるはずの血の繋がらない姉、彩だった。克己の苦しみ
を感じ取った彩は、克己をバイクの後ろに乗せて疾走させる。
そして・・・。

 テレビのコメンテーターとして人気弁護士となった彩と人気
スポーツインストラクターとなった克己。二人は深く心が繋がっ
ていた。
 ある夜、彩と密会していた男性が突然死する。彩から助けを
求められた克己は、事故死を偽装するが・・・。


【 複雑な心情を描き出す素敵な作品♪ 】

 すべてを壊してしまいたい、何もかも消してしまいたいと
いう抗い難い衝動。そして、彩の窮地にも関わらず、彩の役に
立つことができた達成感と爽快感。そして守ることができた
満足感・・・。
 そんな克己の複雑な、心の奥底に潜む思いに対して、その
気持がなんとなく共感できるというか理解でき、そして、私の
中にも通じるところがあって、心を揺さぶられながら読み進め
ました。
 克己への共感だけでなく、二人が行き着く先が破滅なのか...
読み進めるのを止められませんでした。

 「心の闇を抉(えぐ)り出す衝撃作」
背表紙のあらすじには、最後、そう締めくくられていますが、
混沌ともいえる複雑な心情をみごとに描き出した素晴らしい
作品。久しぶりに、読み応えのある作品に出逢えました。
お薦めです(^-^ b グッド!

【 +plus 】
 この作品を手に取るきっかけとなった帯の裏には、
「これほど素晴らしい作家・作品には、そう頻繁には出合える
ものではないー」
とありました。まさに、私もそんな印象を持った作品でした。

【++plus】
 昔読んだ永井するみさんの作品は「グラデーション」(Link)
という作品でした。感動を思い出しました (*^-')b

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