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阪急電車 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]

 短い区間の路線の、ある電車に乗り合わせた人たちの物語。
 
 えんじ色の車体を見かけたことくらいしかない私にとって、縁の
薄い電車なので、読んで身近に感じるかなって心配でしたが、
そんな心配は不要! しかも、とても素敵な作品でした。

  阪急電車s.jpg
  ▲ 阪急電車はレトロな雰囲気だそうですが、この表紙の
   文字もレトロな雰囲気の文字を使っていていいですネ♪ 

    阪急電車 (幻冬舎文庫)
    ( ↑ amazonへは、ここをクリックしてネ!)
    作者: 有川 浩
    出版社/メーカー: 幻冬舎
    発売日: 2010/08/05
    メディア: 文庫

【 もしかしたら☆ 】 

 今津線という阪急電車各線の中でもマイナー(だそう)な路線を
舞台にした物語。しかも、そのその各駅名をタイトルにした連作
短編です。

 その駅ごとに登場する人物たちは、それぞれが「何か」を抱えて
おり、私たちの日常と同様、それぞれが無関係にすれ違うだけで
すが、ほんのわずかな、他人ならず本人すら気を留めないような
一瞬の関わりが、それぞれの人生にとって、大きな影響を与えて
いきます。

 この物語の人たちのように、現実にも、きっと、それぞれが他人
からはうかがい知ることのできない「何か」を抱えて電車に乗って
いるのだろうなって思います。
 そして、自分も、もしかしたら一瞬、すれ違った人から影響を受け、
また影響を与えているのかもしれませんね。そう思うと、何だか
楽しくなってきますよネ ^.^ ♪

【 読者のツボを押さえています! 】

 物語は行く(往路)だけでなく、戻ってくる(往路)もあります。往路
を読んでいった時、各短編に出てきた人たちは、「その後、どうした
のだろう?」って気になりました。
 そこは、さすが有川さん!その辺は、読者の気持がよく分かって
いますよネ!ツボを押さえています!! 復路に、往路のほんの
ちょっと先の「その後」が復路で描かれています。そして、その人たち
が、みんな1歩「前」に踏み出しているところが嬉しく、有川さんの
やさしさが伝わってきました。

 行って見たことのない路線ですが、行ってみたくなりました。


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ストーリー・セラー 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]

 この作品は、ハードカバーが出版された際、デザインが素敵だ
と感じたのと、内容も非常に評判が良かったのを覚えています。
なので、文庫になるのを待っていたのですが、ここ最近、ラブ
ストーリーに触手がのびなくて・・・^^;
文庫が発売されたのを知っても、手に取りませんでした。読んだ
きっかけは人が貸してくれて。読んでみたら(*^-')bグッド♪

  story seller_s.jpg
  ▲ 青いリボンが鮮やかな素敵なデザインですネ♪
    ストーリー・セラー (幻冬舎文庫)
    ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
    作者: 有川 浩
    出版社/メーカー: 幻冬舎
    発売日: 2015/12/04
    メディア: 文庫

【 story 】

「彼」に背中を押され作家になった「彼女」
二人は夫婦になり、幸せな生活はいつまでも続くと思っていた。
しかし「彼女」を襲った病・・・「致死性脳劣化症候群」。
「彼女」のためだけに名付けられたその病気は、複雑な思考を
すればするほど脳が劣化し、やがて死に至る病だった。
二人が選んだ道は・・・。

【 有川作品って“だ~い好き” ^-^ 】

最初に触れたとおり、ラブストーリーは久しぶりで、ましてや有川
作品に限定するとなるとなおさらでした。読んでみたら、さすが
有川さん、読みやすい!冒頭からスーと物語に惹き込まれ、
とても心地よく物語が展開、そして、胸をギュッとつかむ読後感!
どうしたら、このような読後感を醸し出せるのでしょうね。
 「もっと有川作品を読みたい!」っとスウィッチが入ってしまい
ました。

 作品としては、side:Aとside:Bの2作品が収録されています。
いずれも、「彼女」が作家であることを共通に、「彼女」と「彼」を
めぐる物語ですがそれぞれは独立した全く別の物語。
 いずれの作品も、運命的とも言える出逢いに始まり、お互いを
深く理解し合った夫婦の絆、そして死が二人を別つまでのキレイ
すぎるくらい美しい、理想とも言える二人の関係が描かれていま
す。こんな美しい関係など、現実にはありっこないよと突っ込み
たくなります(笑)
でも、この徹底した理想と美しさに嫌みがないところがいいです
よね。だから有川作品って大好きです。
 


タグ:有川浩
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雪の断章 【佐々木丸美】 [ラブストーリーの棚]

佐々木丸美さんの作品は、以前「崖の館」を読んだのですが、その
時も、透明感の溢れる物語に魅かれました。
この作品も、凛とした、透明な空気が漂う物語。
私好みで、久しぶりにお気に入りの作品に出逢った気がします。

  Fragments Of  Snow.jpg
  雪の断章 (創元推理文庫)
  ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
  作者: 佐々木 丸美
  出版社/メーカー: 東京創元社
  発売日: 2008/12
  メディア: 文庫

【 story 】

大通り公園で迷子になった孤児・倉折飛鳥が青年に出逢ったのは
5歳のときだった。
それから2年・・・。引き取られた本岡家での虐げに耐えきれず飛び
だした飛鳥。そんな少女を救ったのもその青年・滝杷裕也だった。
飛鳥は裕也と暮らし始める。
月日は過ぎ、高校生になった飛鳥は、裕也、裕也の親友・史郎、
家政婦のトキ、同じアパートに住み姉のように慕う厚子らに囲まれ、
次第に傷ついた心を癒していた。
そんなとき、アパートに住む本岡家の人間が毒殺される・・・。

【 少女から女性への成長物語 】

ピュアな恋愛物語です。

いつ終わりが訪れるかも分からない裕也との生活。
 “ 時間よとまれ ”
いつ終わるかもしれないと覚悟しながら、夢でないかと疑いながら、
今の幸せをかみしめ、裕也との生活を大切に思う飛鳥。
飛鳥の儚(はかな)さ、懸命さに心揺さぶられます。

そして、大人になるにつれ次第に変化していく裕也への想い。
心の奥底に秘めた裕也への想いを、静かに、大切に紡いでいき
ます。尊敬と愛情、抑えようとしても抑えきれない、溢れんばかり
の飛鳥の想いが迫ってきます。

しかし、この作品は、”恋愛物語”以上に、“成長物語”だと思います。
裕也とのことだけでなく、本岡家との関係、家政婦のトキさんとの
関係、史郎との関係や、身近で起きた殺人事件を通して、飛鳥は
さまざまに悩み、葛藤し、それを乗り越え、人生を歩んでいきます。
そんな、“少女から大人の女性”への過程における、それぞれの年頃
での“心の葛藤”を描いた成長物語なんだと思います。

そんな丁寧に描かれた恋愛と成長の物語。そして、ちょっぴり推理
小説も味わえる、そんな魅力的な私好みの作品です♪
O(≧∇≦)O ホントニイイ!!

【 +plus 】

「断章」とは、詩や文章から抜き出した一部分のことだそう。
主人公の少女が好み、彼女の心を癒してくれた白い雪。少女の
物語は、その「雪の物語」の中の一編という感じ。
タイトルの印象のとおり、透明感と清廉な、素敵な物語です。


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別冊図書館戦争Ⅰ・Ⅱ 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]

郁たちのその後が描かれているので、読んでいて本編が終了して
いるという感覚がなかった「別冊」。
郁たちのその後だけではなくて、本編で描かれることのなかった
脇役たちのエピソードも描かれていて、図書館戦争という世界に
厚みを加えてくれておもしろかったです。

別冊図書館戦争Ⅰ_s.jpg別冊図書館戦争Ⅱ_s.jpg
別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)
( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
作者: 有川 浩
出版社/メーカー: 角川書店
発売日: 2011/07/23
メディア: 文庫

【 story 】

(Ⅰ)
ついに堂上への想いが通じて彼氏彼女になった郁。
しかし、女子としてというか彼女としての自信が持てず不安になる
ばかり。
 “何か、絶対、あたしのほうが好きだ”
ますますつのる堂上への想い。言葉、しぐさの中に、堂上の自分へ
の気持を確認してホッとする郁だが・・・

(Ⅱ)
柴崎を狙うストーカーが出現。
こうした付きまといを受けることが珍しくない柴崎は、手慣れたもの
のはずだったが、次第にエスカレート。
そこで手塚が柴崎のガードにつくことになったが・・・。

【 ウィットに飛んだ返しが最高! 】

この物語の登場人物たちがみんな魅力的なのがこの作品の魅力。
ひと癖もふた癖もあるのにみんな気持いい人物たち。
そして、会話がウィットに飛んでいて切り返しが抜群ですよね。
私もこんな風に返せたら素敵かなって思います。

この“別冊”では、郁と堂上がその後どうしているかも興味深かった
けど、特に気に入ったのは、「背中合わせのふたり」(Ⅱ収録)。
真の自分を見せず、八方美人(物語内では「外面女王」とも)の柴崎
と、真面目で努力家、恋愛のこととなるとちょっと察しの悪い手塚の
物語です。
特に柴崎は、抜群の情報収集能力と、冷静に物事を分析して判断
することができる“強い女性”。しかも、それを嫌味なくサラッとやって
しまうところがとても魅力的!
そんな“強い女性”を演じてきた柴崎が、手塚にだけに見せた素の
弱さ。そんな自分の弱さを手塚にさらしたラストもとても素敵でした。

読んでいるこちらまで幸せな気持にさせてくれる素敵な物語です。
“ベタ甘”もいいですヨ♪
о(ж>▽<)y ダーイスキ☆

 


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図書館革命 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]

ついに本編最終巻。
正直なところ、自衛隊三部作の爽やかなイメージが強くて(特に
“塩の街”が大好き)、図書館戦争の「重さ」に、第2作「内乱」まで
おもしろいけど、でもちょっと・・・と思っていたこのシリーズ。
でも、第3作「危機」の中盤あたりからグッと惹きこまれて、この
最終巻「革命」で最高潮に達した感じ。
登場人物たちも魅力十分で、すご~くおもしろかったです。
(o^-')グッドb

 図書館革命_s.jpg
図書館革命 図書館戦争シリーズ4 (角川文庫)
 ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
作者: 有川 浩
出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日: 2011/06/23
メディア: 文庫

【 story 】

敦賀原子力発電所でテロが発生。そのテロの余波が郁たち図書
特殊部隊を襲う!
著作の内容がテロに酷似しているとされた人気作家・当麻蔵人
に自由な著作を放棄させようと、良化隊が身柄確保をもくろんだ
のだ。避難した当麻を護るため、図書特殊部隊は様々な策を講じ
るが状況は次第に悪化。
そして、郁たち図書特殊部隊は一発逆転の秘策を打つのだが・・・。

【 読むのをやめられませんでした! 】

全編を通して当麻をめぐるメディア良化委員会との表に裏にの
攻防にどうなるのかとドキドキ。
この物語の売りである“ベタ甘”もよかったけど、それ以上に、
緊張感とスピード感あるストーリーに魅了されました。
特に良化隊とのラストの攻防は、どうなるのか!ともう読むのを
やめられなかったです(ネタバレになってしまうので詳しくかけ
ないのがツライ!)。

そして登場人物たちの調子も最高潮!っという感じで、それぞれ
のキャラが特性を生かして伸び伸びと動き回っていて、こちらまで
楽しくなってしまいました。
よく考えてみればこの物語、言論の自由と規制の対立という重い
テーマなのですが、登場人物たちのユーモラスとウィットに富んだ
会話がその重さを吹き飛ばしてくれてます。
堂上と郁のベタ甘会話もいいけど、柴崎の郁や手塚とのやり取りが
とてもいいですよネ。
ラストの有川さんらしい、やさしく温かな終わり方は、読んでいても
ホッとします。
ホントおもしろかったですо(ж>▽<)y オモシロカッター☆


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図書館危機 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]

読むのが止まらなかったぁ ^^
普段、どんなに気に入ったシリーズがあっても、続けては読ま
ないようにしています。
例えば、今我慢しているのは、有栖川有栖さんの学生アリス
シリーズ「女王国の城」とか、樋口有介さんの柚木草平
シリーズとか。好きな作品に少しでも長く楽しみたいし、読み
終わっちゃったらさみしいので・・・。
でも、この「図書館危機」を読み始めたら、もう止められなくて。
もう開き直って、シリーズの残り「革命」「別冊Ⅰ」「別冊Ⅱ」も
イッキ読み。
読み終わったのは寂しいですが、でも十分に「図書館戦争」の
世界をを堪能しました~ *^^*

図書館危機_s.jpg
図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫)
 ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
作者: 有川 浩
出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日: 2011/05/25
メディア: 文

【 syory 】

6年前の高校生のとき、郁の買おうとしていた本を検閲本として
取り上げようとした良化隊員から庇ってくれた憧れの“王子様”。
その“王子様”が、衝突ばかりしていた自分の上司であったことを
思いがけない形で知ってしまった郁。
それ以来、郁は完全にぎこちない態度。
そんな中、耳に障害のある毬江が図書館内で痴漢にあう。
卑劣な痴漢を捕まえるため郁たちは・・・(一、王子様、卒業)
茨城の美術展で最優秀作品となった“自由”というタイトルの絵画。
良化特務機関からの検閲・没収の危機に、郁の所属する特殊
部隊も警護作戦に参加することになる。
しかし、特殊部隊に所属していることを両親に内緒の郁は、地元
での警備に・・・(四、里帰り、勃発 五、図書館は誰がために) 

【 一緒にドキドキ♪ 】

気になっている人が些細なことでも気にかけてくれているだけで
嬉しかったり、何気ない仕草に自分が嫌われているのではないかと
悩んだり、あるいは、ちょっとしたことに少しは好意を持ってくれて
いるのではないかと想像してみたり・・・。
そんなふうに恋に悩み、一喜一憂している郁がすごく可愛らしいです。
ベタ甘な物語は全くダメという男性もいるようですけど、正直、
つくづく私はこういう物語が好きだなって思います。だって、そういう
気持って、私も少なからず経験しているもの。
郁の恋に一緒にドキドキしちゃいます。

さて、図書館戦争はベタ甘ですが、実は重いお話。
「三、なじれたコトバ」では、言葉に対する規制の行き過ぎた
世界が描かれてます。この物語で規制されている言葉として出て
くる「床屋」はこの物語の中だけかと思いきや、「あとがき」を読むと、
現実にも自主規制の対象とのことで、あながちこの物語が架空
ではないというところに驚き、背筋が寒くなりました。
何でも自由でいいかというとそうでもないし(乱用する人って必ず
いるからね)、ある程度の規制は必要だと思うけど、行き過ぎた
規制は当然に問題であって、そのバランスがつくづく難しいな
っと思います。

さてさて、そんな重さも隠された物語ですが、単純なおもしろさも
いっぱいの物語!
後半の茨城での攻防は、ドキドキしながら読み進めました。
メディア良化機関との攻防だけでなく、寮内や母親との攻防を
含めてネ☆(o^-')bオモシロイー!


タグ:有川浩
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For You 【五十嵐貴久】 [ラブストーリーの棚]

この作品を知ったのは、確か本屋さんでの平積み。
帯に書かれた 「ラストに起こった奇跡に感動」 という文字に
惹かれつつも、「ホント!?」という気持もあって、迷った末に
本を置いた憶えがあります。
その後忘れていたのに、普段行かない本屋さんで再び出逢い、
“この作品とは出逢う運命だったのだ!”と思って、今度は
躊躇(ちゅうちょ)することなく買いました。
読んでみたら、とても私好みの作品。しかも素敵な
ラストは何となく想像がついたところもありましたが、「感動」と
いうところでは帯に嘘はありませんでした。
素敵な作品に出逢えて幸せです о(ж>▽<)y シアワセー☆

For You_s.jpg
For You (祥伝社文庫) (←amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
作者: 五十嵐 貴久
出版社/メーカー: 祥伝社
発売日: 2011/02/05
メディア: 文庫


【 story 】

叔母の吉野冬子が急逝(きゅうせい)した・・・。
幼いころに亡くなった母の代わりに育ててくれ、ケンカもした
けど、姉妹のように仲のよかった最愛の叔母だった。
新聞社に勤めていたその叔母の影響もあって、映画雑誌の
編集者になっていた朝美(あさみ)は、遺品整理のため叔母
の住んでいたマンションを訪れる。
そこで見つけた叔母の日記。
そこには、高校生だった叔母の青春が描かれていた。
独身を貫き、「恋ならしている」そう言い続けていた叔母の
生涯をかけた恋とは・・・

【 純粋な恋物語 】

久しぶりに、“上質”で“素敵”な恋愛小説を読んだという印象。
とても読後の満足感があった作品でした。
主に電車の中で読んでいたのですが、“今、どこの駅?”と
分からなくなるくらい惹き込まれてしまいました。普段、そんな
ことはないので、自分でも驚きでした ^^;

携帯電話もなくて、男女のおつきあいも現代ほど軽くはなかった
1980年代の恋。
 自分だけにふっと見せてくれるいつもと違う表情―
 自分だけに許してくれていると感じる雰囲気―
想いを寄せる相手の何気ない仕草にいろいろと思いをめぐらし、
交わす言葉に一喜一憂する、そんな初々しくて、瑞々しくて、
純粋な恋物語に、まるで自分が恋してるみたいにドキドキして
しまいました *^^*
恋のもどかしさ、つらさ、そして、幸福感。そんな複雑な感情を
抱きしめることができる素敵な作品です。
冬子の恋がどうなったのか・・・ラストを是非楽しみに読んでみて
ください。お薦めです。

それにしても、こんな本気の恋って憧れますネ

 


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蒼空時雨 【綾崎 隼】 [ラブストーリーの棚]

読むきっかけは、“ワカマツカオリ”さんのイラストに惹かれて!
メディアワークス文庫の作品は、爽やかな作品も多いという
印象もあって読んでみました。

蒼空時雨s.jpg
蒼空時雨 (メディアワークス文庫) (←amazonへはタイトルをクリックね!)
作者: 綾崎 隼
出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
発売日: 2010/01/25
メディア: 文庫

【 story 】

叩きつけるような強烈な雨が降る夜、舞原零央(まいばら・れいお)
はアパートの前で倒れていた女性を助ける。
彼女の名は、譲原紗矢(ゆずりはら・さや)。
どこにも帰る場所がないと語る彼女は零央の部屋で居候を始める。
零央は次第に、紗矢との時間に心地よさを感じるようになっていた。

不思議な同居が始まって1か月。
紗矢は最初から心に決めていたとおり、零央の部屋に居候する
ことになった事情を語り始める。
その内容に驚く零央。しかし、彼にも重大な秘密があった・・・。

【 いくつもの視点から描かれた物語 】

“アパートの前に倒れていた人を助けて、同居を始める”という
物語の始まりは、有川浩さんの「植物図鑑」と似ていますネ。
ラブストーリーって、ドラマティックな出逢いも一つの魅力だと
思いますが、あまりに出逢いが現実離れ過ぎると“あり得ない”
って引いちゃいます。
でも、この作品は、“あり得ない”出逢いからの恋を、有川さん
とはまた違った、素敵な仕上りになっていると思います。
「植物図鑑」のベタ甘な物語とは違う、さっぱりとした読後感の
作品でした。

この作品は、零央や紗矢の他にも何人かの人物が登場し、
それぞれの登場人物の物語が描かれ、全体として、大きな一つ
の物語となる連作短編の構成になっています。
紗矢に対する零央の想い、零央に対する紗矢の想いといった
ように、それぞれの視点から想いが描かれていて、相手への
もどかしい想いなどがグッと伝わってきました。
それぞれの短編に秘めたる想いが描かれていたりして、
なかなか素敵な作品でしたヨ♪

【 +plus 】

ワカマツカオリさんのイラストは素敵ですよネ!
画集が欲しいと思ったけどないみたい (T_T)
でも、HPでたくさんの作品に出逢えましたヨ☆

永遠虹路s.jpg
 ▲ 永遠虹路 (メディアワークス文庫) 作者: 綾崎 隼
   アジサイの雰囲気がとてもいいですネ♪ 読んでみたくなっちゃう!

暗き夢に閉ざされた街s.jpg
 ▲ 暗き夢に閉ざされた街 (ポプラ文庫ピュアフル) 作者: あさの あつこ
     この作品も表紙を見かけるたびに気になってるんです♪


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クジラの彼 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]

その年で一番最初に読む作品は、“素敵な作品を読みたい”っと思って、
毎年、いつも年末はいろいろと悩みます。
2010年のラストに「海の底」を読んでいたら、もう少し、この世界に浸り
たくなって、これはもう、「クジラの彼」しかない!と2011年の第1作目に
決めた作品です。

クジラの彼.jpg
クジラの彼 (角川文庫) (←amazonへはタイトルをクリックね)
作者: 有川 浩
出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日: 2010/06/23
メディア: 文庫


【 story 】

『元気ですか?浮上したら漁火(いさりび)がきれいだったので
送ります。春はまだ遠いですが風邪など引かないように気をつけて。』

ワンルームのベットに仰向けに倒れて、聡子は携帯の小さな液晶を
見つめた。
今、どこにいるんだろう。風邪を心配しているってことは寒いとこ?
でも、海上ならこの時期どこでも寒いだろうし。メールが届いたって
ことは沿岸だろうけど国内とは限らないから・・・。

彼からの2ヶ月ぶりの連絡は、素っ気なさすぎるほどのメールだった。
もう少し何かサービスしてよ。好きだとか愛しているなんてことまでは
要求しないけど、会いたいとか寂しいとか。
今回だけはもっと何か、甘ったるい恋人らしい言葉が欲しかった。
次の連絡は数週間後か数ヶ月後か。― 潜水艦乗りの彼女は辛い。

                           (表題「クジラの彼」より)

【 短いけど素敵な物語がたくさん! 】

「海の底」の冬原のその後(始まりはその前から)を描いた「クジラの彼」、
「空の中」の高巳と光稀のその後を描いた「ファイターパイロットの君」
「海の底」の夏木と森生のその後を描いた「有能な彼女」
っと、自衛隊三部作(特に「空の中」と「海の底」)が好きな人には、きっと
たまらない作品だと思います。
私も、もう一度、だ~い好きな作品と触れることができて、大満足でした。

しかもそれだけではなくて、純粋な短編となる他の作品(「ロールアウト」、
「国防レンアイ」、「脱柵エレジー」)もみんな素敵な作品!
いずれの物語も、恋愛に関しては世間一般に比べて、障害が多々ある
(らしい)自衛隊の隊員たちを主人公にしてはいますが、もちろん 恋愛の
悩みは自衛隊も他の職業も同じ!
想い悩み、自分に自信がなくて相手を想って逆に身を引いてしまったり
なんてところは、すごーく共感したりしてしまいました ^^;

しかも、この物語が心地いいのは、相手を大切に、深く想っていること。
そういう気持って、心を温かくしてくれますよネ!
6短編、それぞれのいろいろな“素敵な恋”が楽しめる作品です。

ただ、「クジラの彼」など「後日談」を描いた3作品は、当然本編を読んで
おいた方が楽しめるので気をつけてくださいネ


タグ:有川浩
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海の底 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]

2010年を締めくくるに選んだのがこの作品。
だって、大好きな作品で1年を終えたいですよネ♪
「塩の街」「空の中」を読んで、まず間違いなく満足するだろうと
確信していました。
そして、期待を裏切らず確信していたとおり大満足☆
「空の中」を読んだ後、すぐにも読みたかったのですが、さらっと
読んでしまうのがもったいなくて、ず~と我慢していた作品です!

umi-no-soko_s.jpg
海の底 (角川文庫) (←amazonへはタイトルをクリックね!)
作者: 有川 浩
出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
発売日: 2009/04/25
メディア: 文庫


【 story 】

桜祭りの日。市民に開放された米軍横須賀基地は普段とは
異なった華やかな雰囲気に包まれていた。
しかし、突如、ザリガニのような赤い巨大な甲殻類の大群に
襲われる。
そして、その赤い甲殻類は陸上を這い回り、逃げ遅れた人々
を食べていた・・・。

停泊中の海上自衛隊潜水艦・十一番艦「きりしお」の実習幹部
夏木大和三尉と冬原春臣三尉は、逃げ遅れた子供たちと
潜水艦に立て籠もったが・・・。

【 味付けが絶妙の物語! 】

読後感が非常に心地よかった作品!
描き方によっては、非常に重々しい深刻なパニック作品になり
かねないところを、こうやってサラっと読ませるところが有川さん
の筆力なんでしょうネ。

巨大ザリガニ(もどき?)が人を襲ってくるという一見、突拍子も
ない設定ですが、ぶっ飛んでいるのはそこだけ ^^
潜水艦内では、狭い空間に閉じ込められ、複雑な人間関係から、
大なり小なりの問題が発生し、潜水艦の外では融通のきかない
大人社会の駆け引きが繰り広げられるという、非常にリアル感
ある物語が展開します(「レガリス」の発生原因や生態なども、
なかなか説得力がありますヨ!)。
このように物語は、潜水艦の内と外でそれぞれ進んでいくため
飽きさせず、それぞれについて“いったいどうなるのだろう!”と
グイグイと惹き込まれてしまいました。

そのようにリアル感があるので、物語は重くなりかねないところ
ですが、「巨大ザリガニ」という設定だけでなく、夏木・冬原のやり
取りとか、森生望という女の子の想いなど、絶妙の味付けがされ、
重すぎず、軽すぎない、全体としては、とても “さわやかな物語”
になっていると思います。

そして、ラスト!(書く訳にはいきませんけど)素敵です♪
「塩の街」を読んだときにも思いましたが、キレイな情景が目に
浮かぶような素敵なラスト。
映画にしたら、きっと素敵なシーンになりそう!

リアリティさと突飛さが絶妙な、とても素敵な作品です。
 (o^-')bサイコー☆

【 +plus 】

“ 有川浩さんの作品は、なんでこんなに心地いいんだろう ”
いつも不思議に感じます。
読み終わったとき、後味が悪かったり、ラストが消化不良を
感じたことがありません。(少なくても、私が読んだ作品の中
では本当に不満がありません。)
そういう意味で、安心して読めて、期待を裏切らない展開、
そして何よりおもしろい!という満足感を“常に”与えてくれる
作家さんですよネ!


タグ:有川浩
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