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時間に忘れられた国<全> 【エドガー・ライス・バローズ】 [古典的名作の棚]

 2017年の復刊フェアで刊行された作品。正直なところ、
作品自体は知りませんでしたが、「地底世界ペルシダー」や
火星のプリンセス」のエドガー・ライス・バローズの作品
ですから、復刊直後に全く迷うことなく買いました。しかも、
武部本一郎さんのイラストだし!
 ただ、じっくり落ち着いて読もうと思っているうちに
1年半以上が経ち、こんなに遅くなってしまいましたが… ^^;

 The LAND that TIME FORGET.jpg
 ▲ 武部本一郎さんのイラストがホントいいですネ♪
   時間に忘れられた国 (創元SF文庫)
  •    ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
        作者: エドガー・ライス・バローズ
  •     出版社/メーカー: 東京創元社
  •     発売日: 1993
  •     メディア: 文庫

【story】
 船でフランスに向かう途中、Uボートの攻撃を受けた
アメリカ人青年ボウエン・タイラー。生き残ったボウエンたち
は、南太平洋に浮かぶ絶海の孤島キャスパックにたどり着く。
そこはまるで人を拒むかのように絶壁で囲まれた島だった。
何とか絶壁の内側に足を踏み入れたボウエンたちは、信じら
れないような別世界をみる。そこは、百万年前の恐竜時代
さながらの世界だった・・・。

【バローズ作品の魅力】
 密林のように草木が生い茂り、既に絶滅したはずの恐竜や
猛獣が生息する、まるで太古の世界。そんな世界が地球に
残っていて迷い混んでしまったら・・・ そんな世界での
冒険譚だけでもワクワクしますが、さらに美女との恋があり、
次第と明らかになる島の謎がありと、ドキドキ・ワクワク
して読むのが止まらなくなりました。
 3部作でそれぞれ主人公は異なりますが、物語はつながった
一つの作品。主人公たちは、みんな高潔で、勇気があって、
でも恋にはウブでと、爽やかな気持ちになります。古典作品
の登場人物は変に複雑な人間性がなく、こういうところが
安心して読めますね。とてもお薦めな作品です

【+puls】
 武部本一郎さんの挿し絵が魅力。物語のイメージが膨らみ、
迫力が伝わってきます。きっと武部さんのイラストじゃなけ
れば、読む気にならなかっただろうなぁ。
  挿絵.JPG
 

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デューン 砂の惑星 【フランク・ハーバート】 [古典的名作の棚]

昔、テレビでこの作品の映画を観たことがあります。今も非常に
強く印象が残っているくらいインパクトがありました。その後、
原作の存在を知ってからずっと読んでみたいと思いながら、少々
外国作品が苦手なことや、最近では店頭で入手しずらかったこ
ともあって先延ばしに・・・。
この度、新訳の新刊が刊行されたことを知り、この機会を逃したら
読む機会がないかもしれない!っと思って、ついに、ついに、読み
ました。

  DUNE-1s.jpg 
  ▲ 新訳版のカバーも魅力的に!これも読むことにした 
   一つの理由かな♪

   デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (上) (ハヤカワ文庫SF)
   ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
   作者: フランク ハーバート
    
出版社/メーカー: 早川書房
    
発売日: 2016/01/22
    
メディア: 文庫

【 story 】

皇帝の命により、砂の惑星アラキスに領地を移封させられた
アトレイデス侯爵家。アラキスには、皇帝と前領主ハルコンネン
男爵の策略が待ち受けていることを知りながらアラキスに入る。
しかし、信頼する部下の裏切りにあい、レト侯爵は殺され、息子
のポールは、母・ジェシカと共に砂の砂漠へと脱出するが・・・。

【 深みのある物語 】

さすが名作を称される作品。ちょっと序章が長いという印象で、
物語の展開に乏しく飽きかけましたが、その代り登場人物たち
や物語の背景がしっかり描かれていたので、いざ物語が進み
始めると面白かったです。
単純に、策略にはまって父を殺された青年が、厳しい環境の
中を生き抜き、家の再興を果たすといった物語ではなく、
アラキスで産出される香料メランジと、メランジを取り巻く皇帝、
大領家、そして航宙ギルドといった各勢力間の権力抗争、
砂漠の民・フレメンの生活や歴史など背景がしっかりと描かれ
ており、壮大さと、物語の深みが感じられました。

砂の惑星に隠された秘密は何か、ポールはいかに生き抜き、
皇帝ハルコンネン家に対抗していくのかと、物語の展開が
気になって待ち切れなかったです (*^-')bオモシロカッター♪

 DUNE-2s.jpgDUNE-3s.jpg 
 ▲ 巨大な砂蟲(サンドワーム)の前に一人立つポール。
  中巻の表紙が物語をよく表していて好きです(*^-')b

【 +plus 】

インパクトの強かった映画について調べてみると、監督は巨匠の
デビッド・リンチ監督の1984年作品なのですね。もちろん今の
映像と比べたらレベルは落ちるけど、画面から伝わってくる迫力と
雰囲気には、中毒になりそうな世界観がありました(「猿の惑星」
を観たときも同じよう感じました)。

  DUNE-1 1985s.jpg
 ▲ 1985年刊行版は映画のスチールが使われていたそう。

きっと、リメイクではこの迫力は出せないだろうな!っと思ってい
たら、2017年2月現在、ドゥニ・ビルヌーブ監督で再映画化の話も
あるようです。でも、いくらSFXが進化しても、あの映像の迫力は
難しいでしょうね。
本作に限らず、個人的には名作映画の再映画化は反対だなぁ!


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恐怖の宇宙帝王/暗黒星大接近 【エドモンド・ハミルトン】 [古典的名作の棚]

 私が “古典的SF” 作品というとまず思い浮かべるのが、この
「キャプテン・フューチャー」シリーズ。学校の図書館で借りて、
止められずに夜中まで読んだ想い出があります。
 当然、とっくに、このブログで取り上げていたと思っていたの
ですが・・・。たぶん、ほとんどの作品を読んでいるはずですが、
やはり第1作を取り上げますね。

  CF全集1s.jpg
  ▲合本版の表紙は、鶴田謙二さん。
   大好きなイラストレーターさんです。

   恐怖の宇宙帝王/暗黒星大接近! <キャプテン・フューチャー全集1> (創元SF文庫)
   ( ↑ amazonへは、タイトルをクリックしてネ!)
   作者: エドモンド・ハミルトン
   出版社/メーカー: 東京創元社
   発売日: 2004/08/24
   メディア: 文庫

【 story 】

 幼い頃、両親を殺害され、科学者で「生きている脳」のサイモン、
鋼鉄ロボットのクラッグ、合成人間のオットーにより月面基地で
育てられたカーティス・ニュートン。
 3人による英才教育の結果、高度な科学知識とずば抜けた
身体能力を身につけ、正義感に溢れた若者に成長した彼は、
太陽系の未来のためにキャプテン・フューチャーと名乗り、人々
のために生きる決意をした。そして、人々の危機を幾度と救い、
太陽系の人々から尊敬を集める存在となっていた。
 そんなキャプテン・フューチャーたちに、太陽系政府主席から、
助けを求める連絡が入る。木星で「祖先返り」と呼ばれる、人々
が獣に変化する事件が発生し、拡大しているというものだった!

【 冒険ロマンに満ちたシリーズ☆ 】

 善は善、悪は悪と単純明快なのが古典的作品のいいところ。
善が実は悪であったり、悪であると思ったら実は正義の真実が
隠されていたりといった複雑さはなく、単純に、善が悪と戦い
懲らしめていくので安心して読めます。
 また、第1作の敵が「宇宙帝王」のように、今だったら絶対に
つけないであろうネーミングがほほえましくもあります。

 そして、最大の魅力は、現在の科学的常識にとらわれること
のないロマンが満ちあふれたところ。
 この第1作の舞台は木星ですが、木星人がいたり、失われた
高度な文明の痕跡があったり、まだまだ未知・未開の地が多く、
想像を絶する生物がいたりして、まさにフロンティアでの冒険
ロマンに満ちあふれています。
 そして、キャプテン・フューチャーが発明した人の姿を見えなく
する装置(ただし、万能の装置ではなく、効果の時間が限られ、
それで窮地に立つこともあるところがニクい!)などの高度な
科学技術を活用して、幾多の危機をくぐり抜け、コメット号で
太陽系を所狭しと駆け回るところなどワクワクさせられます。
今では、きっと、こういう魅力の作品は描けないでしょうね。

  CF_Hayakawa_s.jpg
  ▲ ハヤカワ文庫版の表紙。このシリーズは、古書店など
   で見つけると、手に入れるようにしています。
    味があるイラストですよネ♪

【 +plus 】

 この合本版では、キャプテン・フューチャー誌(というものが
あったよう)に掲載されたコラムが紹介されています。それによ
ると、キャプテン・フューチャーの世界では、月に人類が到達
したのは1971年(現実は1969年)だそう。月への到着は、
現実とほとんど一致していますね。
 キャプテン・フューチャーの第1作が発表されたのが1939年。
そして、キャプテン・フューチャーの世界では、1988年に木星、
2002年には冥王星に到達しているそうですから、作者のエド
モンド・ハミルトンは、2016年って世界をどんな世界になって
いると想像していたのかなぁ!


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奇岩城 【モーリス・ルブラン】 [古典的名作の棚]

―自分にとって初めての推理小説ってどの作品だろう?―

先日、ふっと思い、記憶をたどったら浮かんだのがこの作品。
“アルセーヌ・ルパン”シリーズは私の推理小説好きの原点と
なった作品といって過言ではありませんが、この「奇岩城」は、
その中でも一番最初に読んだ作品で、まさに原点の原点!
想い出してみたら大まかなストーリーしか覚えていなくて、久し
ぶりにきちんと読んでみたくなり、手に取りました。
懐かしかったぁ O(≧▽≦)Oナツカシイ!

  shincho奇岩城_s.jpg
 ▲ 奇岩城 (新潮文庫―ルパン傑作集)
  ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてね!)
  作者: モーリス・ルブラン
  出版社/メーカー: 新潮社
  発売日: 1959/12/02
  メディア: 文庫

【 story 】

ド・ジェーブル伯爵邸で起きた殺人事件と盗難事件。
しかし、何かを運び出す泥棒の姿は目撃されているのに
盗まれた物は何もなかった・・・。しかも、その泥棒の姿も
忽然と消えてしまう・・・。
高校生のイジドール・ボートルレは、大人を凌駕する推理で
次々と謎を解き、事件の影にアルセーヌ・ルパンの影がある
ことを見抜く。
ガニマール警部、イギリス人名探偵シャーロック・ホームズも
絡む中、ボートルレは次第にルパンの秘密に迫ってゆく。

【 懐かしい 】

小さいころに親しんだ推理小説といったら、きっと多くの人が
シャーロック・ホームズや江戸川乱歩を挙げるのではないで
しょうか(※ただし、私と同年代 ^^; )。
でも、私にとっては、アルセーヌ・ルパンが先に親しんだ作品。
変装の名手で神出鬼没、頭脳明晰、そして怪盗紳士(高貴な
雰囲気を漂わせる)なところがルパンの魅力なのでしょうね。

  poplar奇岩城_s.jpg
 ▲ まさにこの表紙!懐かし過ぎです。
   このポプラ社発行のシリーズを親に買ってもらったのが
  始まりですが、本屋さんに行くたびにそのシリーズを眺め、
  次に買ってもらうのはどの作品にしようかと迷っていたのを
  想い出します。
   今は、ポプラ社から文庫で復刻版が発刊されていますヨ。

 ※ちょっとだけ内容に触れるので、未読の方はご注意を! 

この作品でも、物語発端の陰のように消え去ったルパンの謎、
ボートルレとルパンの駆け引き、そして、秘密基地のような
隠れ家。まだ小学生だった当時、またたく間に、ルパンの魅力
に惹き込まれたのを想い出しました。
もちろん古典作品なので、今に比べたら、ストーリーは単純と
いう印象ですし、レイモンドがルパンに惹かれた理由も描かれ
ておらず、ちょっと乱暴な展開のようにも感じますが、懐かしさ
もあってか楽しめました♪

ところでこの作品、ポプラ社版を読んだ当時も子どもながらに
疑問に感じたのですが、シャーロック・ホームズが登場するん
ですよね。もちろん作者は別。いくら今に比べて著作権などが
緩やかだった時代だとしても勝手に出していいの?(しかも、
あまり印象の良くない)と少々違和感がありました。
今回、新潮文庫版を読んでみて納得。注釈がついていて、
原文は「Herlock Sholmes(eの上に')」 (ヘルロック・ショル
メス)で、HとShと入れ替えるとシャーロック・ホームズ。なので、
訳では、シャーロック・ホームズとしたそう。原作者のルブランが
ホームズを意識していたとしても、“超訳”過ぎのような・・・ ^^;
他国ではどのように翻訳しているんですかね??

有名だけど読んだことのない方。是非、古典の名作に触れて
みてください!

【 +plus 】

今回読んでみたのは新潮文庫版。正直、直訳的で、自分のことを
「わし」などと訳されており、表現の古さが感じられたし、ちょっと読み
にくくて、ストーリーの情景を思い浮かべずらかったです。
読了後、奥書を見てみると、初版が昭和34年でした。「どうりで!」
と納得してしまいました ^^


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火星のプリンセス 【エドガー・ライス・バローズ】 [古典的名作の棚]

― 地球の内側には未知の世界が広がり、そんな世界に迷い
 込んだ青年が、その地底世界で冒険し、危機を乗り越え、
 そして、その世界の美女と恋に落ちる ―

初めて読んだ時、ドキドキ・ワクワクして、読むのを止められな
かったほど。その時の興奮がいまだに忘れられないほど大好きな
「地底世界ペルシダー・シリーズ」
その作家のもう一つの代表的なシリーズ「火星シリーズ」を実は
知りませんでした・・・ ^^;

何年か前、東京創元社から、この「火星シリーズ」全11作を
4冊の合本にして刊行された際、第1集を買ってみたのですが、
実はそのまま積本になっていて・・・。
ところがなぜか、最近読んでみる気になって読み始めてみたところ
おもしろい!
3作をまとめた第1集をあっ!という間に読んでしまいました。

火星のプリンセス_s.jpg
火星のプリンセス―合本版・火星シリーズ〈第1集〉 (創元SF文庫)
( ↑ amazonへはタイトルをクリックね!) 
作者: エドガー・ライス バローズ
出版社/メーカー: 東京創元社
発売日: 1999/06
メディア: 文庫

 

【 story 】

南北戦争で南軍の騎兵隊大尉だったジョン・カーターは、ある日、
インディアンから逃れようと入った洞窟で身動きができなくなって
しまう。
自分を縛っている麻痺状態から逃れるため、渾身の力を振り
絞ったとき、不思議な出来事が起こった。
そして気がつくとカーターは、火星に飛来していた。

そこは資源が枯渇し、4本腕の獰猛な緑色人、地球人そっくりの
赤色人などが戦争に明け暮れる世界だった。
カーターは、そこで緑色人サーク族に捕えられたヘリウムの王女
であり、絶世の美女であるデジャー・ソリスと出逢う。
カーターはデジャー・ソリスを助けるため、戦乱の渦中へと飛び
込んでいく・・・。

2_火星の幻兵団_s.jpg3_火星の秘密兵器_s.jpg

4_火星の古代帝国_s.jpg
 ▲ 合本版の第2集から第4集の表紙。
    武部本一郎さんのイラストがホント魅力的です。この合本版の
  表紙は旧版のカバーイラストでもあるようですが、とても素敵!
   プリンセスの艶やかさが伝わってきますよネо(ж>▽<)y イイ☆
    

【 さすが名作と感じさせる魅力的な作品 】

 “異境で数々の危険を乗り越え、縦横無尽に活躍し、そして、
 絶世の美女と愛し合う”

「あらすじ」だけ読むと、最近の複雑な物語に慣れてしまった人には
もしかしたら、単純な、ひと昔のカビ臭い物語のように感じてしまう
かもしれません。
しかし、そんなことはありません!
次から次へと迫りくる危機に、カーターはどうなるのか?
デジャー・ソリスを助け出すことはできるのか?
も~、ドキドキ・ワクワクしながら読み進め、時間がなくて本を閉じざる
を得ないとき、次が気になって、かなり苦労しました ^^;

そして、何よりこの作品の魅力は、複雑な打算などせず、ただ純粋に
愛すべき人を助けるためにだけ、我が身をかえりみずに危険に飛び
込んでいく主人公の姿ではないでしょうか。
そういう姿て、男の憧れであり、理想ですよね。幼いころ、誰しもが
こんな英雄になってみたいと多かれ少なかれ夢見たことがあるんじゃ
ないのかな。
そんな、昔、夢見た“想い”を思い起こさせてくれて、異世界での冒険
を味あわせてくれる、そんなところが魅力なんだと思います。

でも、これって男の視点ですよね。
女性の皆さんは、どう読まれてるのかな?
いずれにしても、名作の魅力はダテではありません!
ホント素敵な作品です(o^-')bスバラシー!

【 挿絵・口絵の魅力 】

挿絵・口絵は「地底世界ペルシダー・シリーズ」と同じ“武部本一郎”さん!
「地底世界ペルシダー」を紹介した際にも書いたのですが、ホント、
魅力的です。ウツクシイ・・・。

武部本一郎_s.jpg
武部本一郎SFアート傑作集 全3巻(←amazonへは、ここをクリックね!)
作者: 武部本一郎
出版社/メーカー: 復刊ドットコム
発売日: 2010/02/26
メディア: 大型本


【 +plus 】

合本版の第2集から第4集は、2011年6月現在、残念ながら
新刊が手に入りません。
(第1集はまだまだ手に入ります。ちなみに、私は第2集以下を
古本屋を回って手に入れました。まだ、古本なら比較的手に
入りやすいですし、キレイな本も多いです!)
第1集の3話を読むだけでも、十分満足できると思いますヨ。
是非、お読みになることをお薦めします♪

【 ++plus 】

ハリウッドで映画化が進んでいるようです。
この魅力的な物語を実写で表現できるのだろうか・・・
期待であり、不安です。
原作(武部さん)のイメージを壊したくないので私は観ないかも。

 


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星を継ぐもの 【ジェイムズ・P・ホーガン】 [古典的名作の棚]

ジェイムズ・パトリック・ホーガンの作品は、このシリーズしか
読んだことがなかったのですが、2010年7月、「SFの巨星逝く」の
訃報を聞いたとき、すごく残念でした。
この作品を読んだのは10年以上も前ですが、今でも強烈な印象が
残っていた作品。
久しぶりに読みたくなり、本棚の奥から引っ張り出してきました!

星を継ぐもの .jpg
星を継ぐもの (創元SF文庫) (←amazonへはここをクリックね!)
作者: ジェイムズ・P・ホーガン
出版社/メーカー: 東京創元社
発売日: 1980/05
メディア: 文庫

【 story 】

月面の洞窟から、真紅の宇宙服をまとった死体が発見された。
綿密な調査の結果、この死体はなんと5万年前のものである
ことが判明する。

 ― この“ルナリアン”は、地球人なのか、それとも、他の惑星
  の住人なのか? ―

世界屈指の科学者たちが、“ルナリアン”の謎に挑み、次第に
明かされる事実。
しかし、事実が明らかになると、さらに謎は深まるのだった・・・。
果たして“ルナリアン”と人類とのつながりはあるのか?
そして、なぜ“ルナリアン”は月面で死を迎えることになったのか?

【 壮大で夢のある物語 】

初めて読んだ10年以上前もそうだったのですが、最初、なかなか
ストーリーにのめり込めず苦労しました。
物語は、“ルナリアン”の謎の解明だけといっていいほど。
それぞれの専門分野の科学者たちが、いろいろな仮説を立て、
謎に迫っていきます。
そんな感じの物語のため、どうしても「動き」が少なく、また、その
仮説も科学的なので(何ていってもサイエンス・フィクションですしネ)、
内容を理解するのにちょっと苦労しました。

しかし、“ルナリアン”の謎が次第に明らかにされ始めると一転。
その明かされた謎や壮大なスケールに、グイグイと惹き込まれて
いきました。
「こんな隠された事実があったなら」と想像するだけでワクワクして
くる、とても夢やロマンがある作品です。
私のように「あらすじ」を読んだだけでワクワクした方なら、絶対に
読んでみて損はないと思いますヨ (o^-')bサイコ~★

【 +plus 】

ホーガンの最高傑作のみならず、SFの最高傑作とも言われる
この作品は、「ガニメデのやさしい巨人」、「巨人たちの星」へと
続きます(この三部作で一つの物語として見た方がいいかも)。

そして、第1部の「星を継ぐもの」は1977年の作品なのですが、
第3部「巨人たちの星」(1981年)から10年以上経て、日本では
1997年に第4部「内なる宇宙」が刊行されています。
(しかも、まだ刊行されていないけど第5部も存在するらしい)

内なる宇宙〈上〉 (創元SF文庫)

内なる宇宙〈上〉 (創元SF文庫)

  • 作者: ジェイムズ・P. ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1997/09
  • メディア: 文庫


この第4部は、まず三部作を読み直してから読もうと我慢していた
もの。
壮大な物語がまた楽しめると思うと、すごくうれしいです

 

 ※ どうでもいい「お知らせ」
    
この作品を読んだとき、私はなぜか、映画「猿の惑星」を想い出しました。
    内容は、もちろんまったく違うんですけど、ラストの衝撃と、壮大で夢と
   ロマンがあるストーリーに共通性を感じたのかも。
    
このブログのカテゴリとして、本来なら「SF小説の棚」に入れるべきかと
   思うのですが、古典的名作に多い「壮大さ」や「ロマン」が色濃く感じられる
   この作品は、あえて「古典的名作の棚」に入れることとしました。 
    
って、どのカテゴリに入れるかって誰も気にしてないと思いますが ^^;



 


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宇宙の孤児 【ロバート・A・ハイライン】 [古典的名作の棚]

この作品は、「少年少女SF文学全集」の『さまよえる都市宇宙船』と
しても刊行されており、小学生のころ読んだ作品。
詳しいストーリーは忘れてしまっていましたが、その時に受けた
強烈な衝撃はいつまでも残っていて!

なので、ず~と以前からもう一度読みたくて、書店に行くと
「復刊してないかな~!」、古書店にいくと「古本が出てないかな~!」
と探し続けていたのですが、ついに11月初め、「神田古本まつり」で
見つけました☆
うれしー! O(≧∇≦)O !!

ORPHANS OF THE SKY.jpg

【 story 】

 ヒューは、〈船〉とは世界を示す概念的なものと思っていた。
  そして、壁に囲まれた世界がすべてだと思っていた 
 

支配層である「科学者」の卵のヒューは、世界に矛盾を感じていた
ある日、調査に向かった上層階でミューティ(ミュータント)に襲われ
捕まってしまう。
しかし、ヒューはそこで、一つの体に二つの頭をもつミューティから
〈船〉とは宇宙船であり、壁の外には大きな宇宙が広がっていること、
そして、自分たちの住む世界が、漂う都市宇宙船の中という
狭い世界でしかないことを教わる。
ヒューは、真実を伝えようと、ミューティを説得して居住区に戻るが、
科学者たちにとってヒューは秩序を乱す異端でしかなかった。
殺されそうになったヒューは、古い友人の助けもあってなんとか
逃げ出すが・・・。

【 強烈な衝撃を残した作品 】

『すべてと思っていた自分の住む世界が、実は宇宙船という狭い
 世界あり、信じていた価値観が次々にもろくも崩れ落ちていく・・・。』

もし自分がヒューの立場だったら、自分の知る世界が真実でないと知って、
どんなにショックだろう! と想像して衝撃を受けたことを思い出しました。
小学生のころに受けたその衝撃だけが、いつまでも私の中で強烈な
印象として残っていたのだと思います。

今回、読み直してみて、その衝撃がよみがえるとともに、ラストを覚えて
いなかったため、新しい価値観を受け入れ、新たな世界を創ろうと
挑戦するヒューたちにの未来はどうなるのだろうか! と非常に
ドキドキ・ワクワクしながら読み進めました。
今、改めて読んでも、めり込むほどおもしろかったです!
ホント、大人になっても楽しめる素敵な作品。
もし、この作品と出会う機会があったら、是非読んでみてくださいネ
*^^*

それにしても、こういう名作を古本でないと手に入らないのはさみしいなぁ!


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地底世界ペルシダー 【エドガー・ライス・バローズ】 [古典的名作の棚]

小さいころ読んだ本で、いつまでも印象に残っている ―
そんな作品ってありませんか?

この作品も、ドキドキ・ワクワクしながら読んだのを覚えています。
だって、地球の内側は実は空洞で、未知の世界が広がっている
なんて!
それだけで、も~ワクワクしてました。
(今、改めて読んでもドキドキ・ワクワクです *^^* )
そんな夢のある作品「地底世界ペルシダー」です。

 

Pellucidar1.JPG

 ▲ このカバーは、コロムビア映画「地底王国」だそうです。
   現在、古本でないと手に入らないんですよね。
   こういう素晴らしい古典的名作を復刊してくれないかな!

【 story 】

新開発の地下試掘機<鉄モグラ>に乗った青年ディヴィッド・イネスと
相棒のペリー老人は、地球内部の探索に乗り出した。
しかし、出発早々、操舵輪が動かなくなり、機体は操縦の自由を失って
暴走を始める。
機内の温度はぐんぐん上昇し、ついに二人は死を覚悟したとき、温度が
急に下がり始めた。しかし、今度は空気が足りなくなり失神状態となった
そのとき、試掘機は突然、停止した。
外に出た二人が目にしたものは、不可思議な世界。
不気味な翼竜が空を飛び、大空には静止して動かぬ太陽が輝き、
時間と方位が存在しない熱帯の神秘境「ペルシダー」だった。
地殻を貫通して二人が到達したのは、なんと地球の創世記に、その内部
にできた大空洞であったのだ。
そしてその世界を支配するのは、マハール族という中世代の翼竜であり、
人間は奴隷として支配されていた・・・。

【 夢のある物語 】

地球の中は大きな空洞になっており、地上世界と背中合わせに異世界が
広がっている―
も~、それだけですごく夢があると思いませんか?

しかも、偶然、その世界「ペルシダー」に迷い込んだ主人公ディヴィッドは、
奴隷となっている人々を救うため、地上の知識を活用し、若き肉体を駆使
してマハール族たちに立ち向かい、待ちうける危機、困難の数々を乗り
越えていくという冒険譚。
さらに、ペルシダーの美女との恋まであるのですから!

もう、ドキドキ・ワクワクさせる要素満載の冒険ファンタジーですよネ。
最高に素敵きな作品です (o^-')b

【 挿絵・口絵の魅力 】

そして、挿絵・口絵は、あの「武部本一郎」さん!
この「地底世界シリーズ」は全7巻なのですが、第2巻以降は表紙も
武部本一郎さんが描かれているようです。

僕は、武部本一郎さんの絵って、温かくてだ~い好き *^^*
物語をいっそう盛りたててくれていますよね。

Pellucidar2.JPG

 

【 +plus 】

ところで、最近、やっと第2巻を手に入れたところです。
人気シリーズなので、なかなか手に入らないんですよね
手に入りずらい作品をご紹介するのは心苦しいですが、手にする
機会があったら、是非読んでくださいネ。
ホントお薦めです!!


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トリフィド時代 【ジョン・ウィンダム】 [古典的名作の棚]

― 小さいころ読んだ本で、いつまでも印象に残っている ―
そんな作品ってありませんか?
小学生のころなら「アルセーヌ・ルパン」シリーズ、「ドリトル先生
航海記」、「十五少年漂流記」など。
ドキドキ、ワクワクしました。

そして、この作品もそのひとつ。
  ある夜、流星を見た全世界の人々が視力を失ってしまうこと。
  動き回ることのできる緑の植物が人を襲うこと。
そんなストーリーを漠然と覚えていましたが、
肝心のタイトルは忘れていて・・・(^^;)

その作品に再び出逢えたのが、すごくうれいしいです。
それが今回、ご紹介する「トリフィド時代」です。

【 story 】

地球が緑色の大流星群の中を通過し、その美しさに世界中の
人々は歓喜した。
その大流星群をたまたま見ることができなかったビルは、静け
さの中、異様な朝を迎える。
一夜にして、流星を見た者は一人残らず視力を失い、生きる術
さえない世界に変ってしまっていた・・・。
流星を見なかったわずかな人々は、生きるため、そして、少し
でも文明を守ろうと少しづつ集まる。
そんな中、植物油採取のために栽培されていた「トリフィド」と
いう三本足の動く植物が人類を襲い始める! 

   トリフィド時代s.jpg

    ▲ 洗練された表紙ですよね!
      復刻版なので訳も昔のままのようですが、決して古臭く
      なく違和感なく読めました。本当に魅力的な作品。
        つくづく「昔懐かしの古典SF!あなどるべからず」と思います。

       トリフィド時代―食人植物の恐怖 (創元SF文庫)
    ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
    作者: ジョン・ウィンダム
    出版社/メーカー: 東京創元社
    発売日: 1963/12
    メディア: 文庫

 

【 読んだ当時の衝撃!】

 

古典SFの中には、H・G・ウェルズの「宇宙戦争」を始め、
そんな破滅の中で生きようとする人々を描いた小説が多く
あったからでしょうか。
  この物語の主人公と同じ立場で自分がいたとしたら・・・
この物語を初めて読んだ当時、そんな想像をしながら、主人公
に自分を重ね合わせて、ハラハラ・ドキドキしながら読んだこと
を覚えています。

そして今回。
これだけ印象に残っている作品ながら、幸か不幸かラストを
覚えていなかったため(ラストに衝撃を受けたことは強く印象
に残っていました)、今回も、読み始めると、先が気になって
気になって、ぐいぐいと惹き込まれて、いっきに読んだところ
です。

この物語は、実は自分の記憶と違って意外だったのですが、
トリフィドとの戦いのようなものはほとんど描かれてなくて、
どちらかというと、追い詰められた環境の中で、自分や愛する
人を守り、生き抜こうとする主人公の姿が描かれています。
そういう思いって(特に、愛する人を守りたいという気持ちって)、
みんなが持っているので、共感しやすくて、理解しやすいですよネ。
そんなところが、読者をぐいぐいと惹き込む最大の魅力なのかも
と思います。

最近、こういうロマンのある小説にめぐりあえないですね。

【 episode+ 】

この作品のタイトルを知ったのは、ネットでストーリーを入力して
検索してみたところヒットしたからでした。
でも、その時、既に新刊は刊行されおらず、手に入れるとしたら
古書のみ。意外と有名な作品らしく(僕は知らなかったのですが・・・)、
古書の値段が高い・・・。
そんな訳で、東京創元社さんに、復刊リクエストをしたくらいです。
(5~6年前でしょうか。後にも先にも復刊リクエストはこの作品
だけです)

先日、たまたま検索してみると、復刻版が刊行されているじゃない
ですか!
その時は復刻版が出ていると分からなくて、「新刊あり」の表示に
  「?」
と思いながら、新刊が手に入るならと、間髪いれず注文したところ
でした。
本当に「新刊」が届いたときは、信じられなくて・・・。
うれしかった(*^^*)
僕のこの作品への思い入れって分かっていただけますか?
本当に読めてうれしいんです!

僕としては、次に「地底世界ペルシダー」シリーズを復刊してほしいな!


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