そして二人だけになった【森 博嗣】 [推理小説の棚]
今日は暖かかったですね~。
映画情報をテレビで見ていて、久しぶりに映画を観に行きたくなりました。
前は映画の日などハシゴしたんだけど。
GWに向けて新しい映画も上映されるし、よ~し!映画雑誌とかでチェックだぁ
さて、今日は、森博嗣さんの『そして二人だけになった』を紹介します。
【 森博嗣さんといったら・・・ 】
森博嗣さんの作品といったら、まず『すべてがFになる』に始まる
S&Mシリーズを思い出される方が多いと思います。
私自身、森さんの本を紹介しようと思って、まず浮かんだのがS&Mシリーズ。
もちろん、私が森さんの作品に初めて触れたのもこのシリーズ。
あまりに有名すぎて紹介するまでもないと思いますが、
知らない方もいるかもしれないので念のために簡単にご紹介!
【 S&Mシリーズって・・・ 】
那古野にあるN国立大学建築学科助教授の犀川創平と、
学生でミステリー好きの西之園萌絵が主人公。
それぞれの名前の頭文字をとってS&Mシリーズと呼ばれています。
このシリーズは10冊で一応の完結をします。
主人公が年上の男性と女子学生というのは赤川次郎さんに代表される
ライトミステリーを思い出しますが、このシリーズは、
犀川助教授が抜群の頭脳と独特のキャラクター性、
西之園萌絵も心に深い傷をもつなど、物語に重厚感と魅力を与えています
(もちろん、赤川次郎さんをけなしているわけではありませんヨ。
どちらかというと大好きで、少なくとも100冊以上は読んでいますから!)
すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫)
- 作者: 森 博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/12
- メディア: 文庫
▲ 『すべてがFになる』は第1回メフィスト賞を受賞した作品。
森ミステリーの原点なので、まずこれを読むのがお薦めです。
【 この作品を選んだわけは・・ 】
S&Mシリーズでは、「今はもうない」などはとても好きな作品なのですが、
これらを紹介するのはあまりにも当たり前すぎて新鮮味がないですよね。
多くの人が語っているし、「いまさら!」、なので。
今回はシリーズものではない「そして二人だけになった」を紹介します。
(「そして二人だけになった」も有名で、紹介しても新鮮味がないなんて
言わないでくださいネ。S&Mシリーズに比べれば、ということですから)
この作品もとても素敵!おもしろいデス。
そして二人だけになった―Until Death Do Us Part (新潮文庫)
- 作者: 森 博嗣
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/11
- メディア: 文庫
【 さてさて、どんなお話・・・ 】
全長4000メートルの海峡大橋を支える「アンカレイジ」。
(※橋のケーブルの端を定着する大きな巨大なコンクリート構造物)
その内部に密かに国家機密的プロジェクトとして造られた「バルブ」
と呼ばれる閉鎖空間。
そこに、盲目の天才科学者「勅使河原潤」とそのアシスタント「森島友佳」のほか
物理学者、土木構造物専門家、大学教授、医師の6名が実験のために籠もる。
しかし、プログラムの異常なのか、外界との完全に遮断され、
完全な密室と化した「バルブ」内で、物理学者が殺される。
お互いがお互いを犯人ではと疑心暗鬼の中、土木構造物建築家、
大学教授と次々に殺されていく。
残された盲目の天才科学者と彼のアシスタントの運命は・・・
【 どこがいいの・・・ 】
この物語は、密室物です。そう!推理小説といえば「密室物」ですよね。
私はどちらかというとトリックを見破ろうというよりも、
そのトリックがどんなものなのかワクワクします。
推理小説は好きだけど、推理は苦手なので・・・。
題名からも想像がつくように、隔離された世界で一人ひとりと殺されていくのは、
いうまでもなくアガサクリスティーの「そして誰もいなくなった」と同じモチーフ。
「そして誰もいなくなった」をモチーフにした作品は数多くあり、
やはり魅力的なモチーフですよね。
私も「そして誰もいなくなった」を初めて読んだときの衝撃は忘れられません。
本書は「そして誰もいなくなった」のようにマザーグースの歌(ロンドン橋おちる)
が出てきます。マザーグースの使われ方は違いますが・・・。
勅使河原潤、森島友佳、それぞれが秘密を持ち、物語はそれぞれの視点で
進んでいきます。
二人の視点から綴るストーリー展開の巧みさは逸品です。
ちょっと目的については消化不良でしたが。
状況からすると、残った二人はそれぞれが犯人は相手としか思えない。
しかし、それぞれが自分は犯人ではないと知っている中で、
実際の犯人は誰なのか、その目的は!こう聞いただけでワクワクしませんか?
そして残った二人とは・・・?
も~お薦めです!!
▲ 久しぶりに読みたくなってしまいました。
これを読んだのは夜中。暗くして。
犯人が後ろにいそうで怖かった思い出があります。
※ ブログの移転に伴い、レイアウトを修正しました。<2009年5月31日追記>
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