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パラレルワールド・ラブストーリー【東野圭吾】 [推理小説の棚]

時間を忘れてその世界に浸ってしまう、そんな小説にときどき出会いませんか?
  「気がついたらすごく時間が経っていた。」
  「気がついたら周りがフェイドアウトしていた(集中していた)」
といった感じ。「気がついたら」驚くときがありますよね。
そういう小説に出会えたときってすごく幸せ!
そして、この作品は私にとってまさに「それ」です!
初めて読んだとき、待ちきれなくて「次へ、次へ」と読んだ覚えがあります。


今回、このブログを書くに当って改めて読み直しました。
「さすがに今回は・・・」と思っていたのですが、
ところが、ところが、今回も時を忘れてのめり込んでしまいました(自分でも驚き!)。
でもでも、何度読んでもいいものはいいですよね~(は~満足!)。
ちなみに、いままで何人かにお薦めしましたが総じて好反応。
ず~と紹介したいと思っていた大好きな作品。
そう、今回は、満を持してのご紹介なのです。


 ★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★


【 ストーリーは?? 】

路線は違うが、二つの電車が同じ方向に、
しかも同じ駅に止まりながら並行して走ることがある。
大学院生の敦賀崇史は毎週火曜日、並走する電車の、同じ車両の、
同じドアのところに立つ女性に気づく。
彼女を見た日は一日中なんとなく気分がよく、逆に、たまに彼女を見つけられなかった時には、
どうしたのだろうと、崇史は気になって仕方がなかった。
そんなある時、崇史は一つの重大な発見をする。
彼女のほうも自分を見ているのではないか・・・ということを。
   双方のドアが最も近づく瞬間。
   ほとんど向き合った状態となるほんの二秒か三秒。
   二人は二枚のガラスを挟んで見つめ合う。
しかし、二人は言葉も交わすことなく時は過ぎていった。

就職を控えた最後の火曜日、崇史は一つの冒険を試みた。
彼女がいつも立っている場所に行き、彼女に近づいてみようと。
しかし、いつもの場所に彼女はいなかった。
落胆して、ガラスの外に目を向けると、ガラスの向こうにはいつも自分が乗る電車。
その電車の中に彼女の姿が・・・。

こうして出逢うことのなかった二人。
1年後、思わぬところで彼女は崇史の前に現れる。
親友の彼女として・・・・・。

パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫)

パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/03
  • メディア: 文庫

 

【 魅力1:ほろずっぱさ 】

これに似た経験ってしたことありませんか?
素敵だな、魅力的だなって気になる女の子。
でも、話したこともなく、話しかけることもできず・・・。
ちょっと甘く、苦い、ほろずっぱい想い出。
そんな想い出をチクチクと刺激する導入部です。
も~、これだけで自分の好みの感覚にはまって
のめり込んでしまいます。

【 魅力2:苦しさ,つらさ 】

でも、ストーリーはここからまったく色彩の違う展開をします。
  現実に対する違和感。
  ときおり現れるまったく覚えのない記憶。
  崇史は自分の中で矛盾して存在する「記憶」への謎を追う。
  そして、交互に進行する二つの記憶(事実)が重なり合ったとき、真実が・・・。
実は、この「記憶」をめぐる謎を追うストーリーが中心です。
  ※ここからはネタバレになりそうなのでご注意を。


「かけがえのない友を選ぶか、それとも好きな彼女を選ぶか。」
恋愛の永遠の命題なのかもしれません。
多くの人が、理性的に考えればきっと「
親友」と言うのでしょう。
ただ、人の感情、特に恋愛感情ってそう割り切れるものではないですよネ・・・。
私も、もし崇史と同じ立場になったら、こんな選択を突きつけられたら、
もしかしたら崇史と同じ選択をしてしまうかもしれないと思います。
理想と現実。永遠に出ることのない答え。
「苦しさ」、「つらさ」という、恋愛の二面性(裏面)を
東野さんはみごとに描いていると思います。

【 私のベスト3に入る作品です! 】

東野圭吾さんの作品は一度「私が彼を殺した」を取り上げていますが、
実は数ある東野さんの作品の中で、この作品が一番好きです。
このブログを書き始めるときも、1番最初に取り上げる作品は、
自分の好きな作品、思い入れのある作品にしようと思ってかなり迷いました。
そのとき、「記念すべき第1号」の候補に挙がっていたのが、
この作品と栗本薫さんの「猫目石」です。
さんざん迷ったあげく、「猫目石」を取り上げましたが、いつかこの作品に触れなくては
と思っていた作品なので、今回触れられてちょっと肩の荷が下りた、そんな感じもしてます。

現在も、自分の好きな作品を3つ挙げてっていわれたら、
まず間違いなく挙げるこの作品。
是非ともお試しあれ!!

【 episode+ 】

最初、この作品を買うとき、実は躊躇(ちゅうちょ)したんです。
  「パラレルワールド」(平行世界って好みを刺激する~!)
  「
ラブストーリー」(大好き!!)
でも、併さった話って大丈夫?
SFは大好きだけど、ラブストーリーはラブストーリーで、
SFはSFで楽しみたいなって。
でも、そんなことはありませんでした。
もし、私みたいにタイトルだけで躊躇してしまっている方がいるのなら、
だまされたと思って読んでみてくださいネ。

決して後悔はしないと思いますよ!


タグ:東野圭吾
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