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リセット【北村 薫】 [ラブストーリーの棚]

秋深まる10月ころ、北村薫さんの作品が読みたくなって、
本箱から「円紫さんと私」シリーズの「秋の花」を引っ張り出して読みました。

一度、読んでるのに・・・・・涙が溢れそうに・・・。
たまたま、ラストを読んだのは飲んだ後の電車の中。
(普段はぜんぜん飲まないんですけど)

顔がゆがんで涙がでるのをこらえるのが本当にきつかったです。
部屋で一人、周りの目を気にせずに泣きたいっと痛切に感じました。

そして、吐く息も白いのが普通になった11月下旬、
また、北村薫さんの作品が読みたくなって、本箱から引っ張り出したのが、『リセット』でした。

しかも、ラストを読んだのは飲んだ後の電車の中。
(本当に普段飲まないんですよ!)
また、顔がゆがんで涙がでるのをこらえるのがつらかったぁ!
今回は、そんな『リセット』を紹介します。

 ★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★

 【 お話は・・・!? 】

「―また、会えたね」
顔は一瞬驚き、それからそこに、ゆっくりと、糸のほぐれて行くような、
嬉しい穏やかな表情が広がりました。

「―はい」
横からの黄金の光を受けたまま、しばらく、
わたしは、あの人を見つめていました。


昭和20年5月の神戸。
太平洋戦争も暗雲立ち込める中、
疎開を前に夢中で訪ねた「わたし」を、あの人は金の入り日の中で、
穏やかな表情でこういいました。

ことばを交わすこともなく、顔をあわせることすらまれな厳しい時代。
しかし、二人の想いは、ことばなど必要とせずこころが結びつく。
そして、それは空間を越えて時間さえ超えていく・・・。

リセット (新潮文庫)

リセット (新潮文庫)

  • 作者: 北村 薫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 文庫

 ▲ やさしい雰囲気の表装がもとても好きです。
    作品の雰囲気がとても出ていますよネ。


【 こんなところが大好きです! 】

 『スキップ』『ターン』続く、「時と人」シリーズの第3弾です。
私は『ターン』も好きだったけど、この作品のも大好き。
「時と人」シリーズを取り上げようと思ったとき、迷いなくこの作品に決めました。

お話は、二人の男女がそれぞれ自分の人生を淡々と振り返えります。
それぞれ異なる時代を振り返ります。
それは、二人は決して交じあうことのがないのではないかという、
悲しい運命を予感させながら・・・。

劇的なストーリー展開があるわけではないので、間延びしてしまうようにも感じられます。
でも、北村さん独特のやさしい視点で物語は流れていくので飽きさせません。
主人公たちの「初々しさ」「やさしさ」がとても心地よくて、心を癒してくれるんですよね。
戦時中という時代背景であっても、青春のみずみずしい「輝き」をはなっている、
そんな感じです。

そしてラスト。
こんな運命を信じてみたい!そんな終わり方です。
とても素敵なので、まだの方は是非とも読んでみてくださいネ。


【 雑記 】

最近、輪廻転生というか、運命の人との愛といった感じの作品を続けて読みました。
今まで、作家の「筆力」ってあまり気にしたことはなかったけど、
結果として読み比べることとなって、北村さんの筆力に圧倒されました。
あえて悪い言い方をすると、
物語の大半が、ただ淡々と自分の人生を振り替えっているだけなのに飽きさせない。
しかも、これだけの大作(長編)なのに。
北村薫さんの「すごさ」を改めて実感でした。


タグ:北村薫
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