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やさしい旋律【井上香織】 [静かな物語の棚]

昨年のクリスマスのころ、上映された作品の原作。
映画を観に行けず、この小説は映画の上映開始前に買ったのですが、
先送りになってしまっていました。
なぜか急に、ふっとこの小説が読みたくなって、読み始めました。
透明感のある素敵な作品でした。

【 story 】

愛していた彼に裏切られ、その彼の相手は親友・・・。
深く傷ついた過去を引きずるOLの美月茉莉亞(まりあ)。
誰かを信じて、そしてまた裏切られるのが怖い!
恋愛に臆病になっていた彼女は、心を閉ざしたまま
会社と家を淡々と往復する毎日を送っていた。
職場の先輩、榊に心惹かれても、自分の心の扉にしっかり鍵をかけて...。

そんな茉莉亞はクリスマス間近な雪の降る晩、ゴミの集積所に捨てられた
木製の細長いローテーブルのようなものを見かける。
それは、心の奥底に染み渡るようなやさしい音色を響かすピアノだった。
茉莉亞は自分にとまどいつつもピアノを自分の部屋に運び入れる。

そして、それ以降、茉莉亞の心をときほぐすかのような出来事が起こってゆく。

やさしい旋律―Blue Destiny (幻冬舎文庫)

やさしい旋律―Blue Destiny (幻冬舎文庫)

  • 作者: 井上 香織
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2008/11
  • メディア: 文庫

【 「本当の恋」と「運命の人」 】

恋愛の痛手って、それが本気であればあるほどつらいですよね。
ホント、簡単には割り切れないです。

なので、この物語の主人公「茉莉亞」が、恋に失敗して臆病になってしまうところ・・・。
あんなつらい思い、二度と味わいたくない・・・と思い、心に薄い膜のようなシールドを
張りめぐらして、なんとか自分を守ろうとするところ・・・。
そういうのって、自分を守るために、当然のことと思います。
そして、自分もそうだからか
、すごく共感します。

また、命の人を求める茉莉亞の恋愛観。これも共感!
ロマンチックな理想論かもしれないけど、
 もし破れたときに、つらく感じない、あっさりと気持ちを整理できてしまう恋愛は、
 本当の恋愛ではない。
と思います。皆さんはどう思いますか?

それは真理ではないかもしれませんが、私の恋愛観です

こんな風に、茉莉亞」の性格や恋愛観は、自分の感覚と非常に近くて、
読んでいて同化し、物語がす~と私の中に入ってきた感じです。
また、この小説は、心に傷を負った女性の物語なので、内容的には重いと思うのですが、
茉莉亞の心が解きほぐされていくところがすがすがしく、まさにピアノの音色のように
透明な雰囲気に包まれた小説という印象でした。
なかなか素敵な小説ですよ!

【 +plus 】

ロマンチックすぎるかも知れませんが、私も茉莉亞のように
 「運命の人=心から愛することができる人」
と出逢えたらいいな。


タグ:原作
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