失われた町 【三崎亜記】 [静かな物語の棚]
「となり町戦争」などで三崎亜記さんの名は知っていましたが、
読むのは初めて。
この「失われた町」を最初に選んだのは、友だちからのお薦めでした。
お薦めどおり、心に染み入ってきて、とても素敵な作品です ♪
▲ 失われた町 (集英社文庫)
( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
作者: 三崎 亜記
出版社/メーカー: 集英社
発売日: 2009/11/20
メディア: 文庫
▲ 物語の雰囲気が出た表紙です! ハードカバーより好き。
編集者さんのセンスを感じます ^^
【 story 】
ある日、突然にひとつの町から住民が消失する―。
30年ごとに起きる町の「消滅」。
その町の住民は消滅を知っていても、町の意志に支配され
逃れるすべはない。
そしてこの不可解なこの現象は、悲しみを察知した町により、
消滅した町のみならずさらにその範囲を広げる。
そのため、町からの汚染を防ぐため、人々は悲しむことを
禁じられ、失われた町の痕跡は国家によって抹消されていた・・・。
【 素敵な余韻 】
7つからなるエピソードの主人公たちは、それぞれが町の消滅により
“ かけがえないもの ”を失った人々。
悲しみを抱えながら、消滅した人や消滅の阻止にかかわった
人の想いを引き継ぎ、静かに、でも、ゆるぎない決意をもって
消滅を阻止すべく生きています。
そんな、確固たる意志を秘め、失われるその瞬間まであきらめずに
精一杯生きようとする主人公たちは、非常にカッコよくて、素敵!
そんな生き方に魅了されました。
どのエピソードも理不尽に失われる悲しさを秘めた物語のはずなのに、
不思議と優しさとあたたかさが満ちているように感じる作品。
私が特に好きなのは、エピソード4の『終の響い(ついのおとない)』。
静かに愛し、静かに死を受け入れていった夫婦の物語。
ちょっと悲しいけど、夫婦を包み込むように温かくやわらかな雰囲気に
満たされていて、何だかほんわかと心が温かくなりました。
そして、エピソードを挟む最初と最後の物語がいっそう各エピソードを
引き立てていて、素敵な余韻に浸れます。
また一人、好きな作家さんが増えました。 (*^-')♪
ホント素敵な物語で、私もお薦めです。
コメント 0