SSブログ

深紅 【野沢 尚】 [静かな物語の棚]

またまた1週間のごぶさたをしてしまいました。
っと言っても、私のブログを気に入って、定期的に読んでくだ
さっている方はいないと思いますけど・・・ ^^;
でもでも、地道に、自分が「いいなぁ!」って思った作品を紹介
していきます。
たまたま、このブログ読むことになったのだとしても、ひとりでも、
一作品でも「読んでみようかな」って思ってくださる方がいれば
いいな!

さてさて、今日は、野沢尚(のざわ ひさし)さんの「深紅」
ご紹介します。

【 ストーリーは?? 】

小学6年生の秋葉奏子(かなこ)は、夜中、修学旅行中の長野
から、ひとり東京に戻る。
待っていたのは、父と母、そして幼い二人の弟の遺体。
秋葉家を襲った一家惨殺事件。
  「生きていてごめんね」
そんな癒しがたい傷を負ったまま奏子は大学生に成長する。

ある日、父に恨みを抱き、家族を殺害した加害者の同い年の
娘の消息を知る。
正体を隠し、奏子は彼女に会いに行く・・・。

  深紅s .jpg
  ▲ 深紅 (講談社文庫)

    ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
    作者: 野沢 尚
    出版社/メーカー: 講談社
    発売日: 2003/12/10
    メディア: 文庫

【 読もうと思った理由(わけ)は?? 】

私は、野沢尚さんといえば、脚本家というイメージがありました。
(「青い鳥」という豊川悦司さん、夏川結衣さんが主演のドラマが
好きでした。特に、夏川結衣さんが。
あとあと、「眠れる森」という木村拓哉さんと中山美穂さんの作品も)。

脚本家が書いている小説はたくさんありますが、も~先入観で
「脚本家の小説?パス!」みたいな感じで読んでいませんでした。
なぜって?
ドラマは脚本と演出、俳優の演技力の相乗効果で素晴らしい作品
ができあがるのであって、脚本だけで素晴らしいドラマはできないと
勝手に思っていたからです。
でも、この作品を読んで、「申し訳ありません!」と謝るしかありません。
私の認識が間違っていました!も~脱帽です!!

そもそも、野沢尚さんの本は、本屋さんの書棚に行くたびに気に
なっていました。
呼ばれているようで、いつも目に入ってくる!
では、なぜ「深紅」を読もうかと思ったかというと、ちょうど内山理名さん
と水川あさみさんの主演で映画化される直前で(※映画は2005年9月
に上映されました。私は観に行く機会がありませんでしたが・・・)、
興味をもったことと、吉川英治文学新人賞受賞作なら読んで失敗は
ないだろう、との打算があったからです ^^;

  深紅Movie.jpg
  ▲ 深紅 [DVD] 
        ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
      出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
        発売日: 2006/02/10
        メディア: DVD


【 どんなところがよかった?? 】

この本を読んでまず驚いたのは、
野沢尚さんの、その奥深くまで心理を描く筆力、感覚の鋭さです
(偉そうでスミマセン)。
自分が漠然と感じていながら、言葉にすることができなかった
気持・感覚をここまで描けるのか、と感動しました。

<ご注意>
 ちょっとだけ内容の本質に触れます。
 読んでない方の楽しみを奪わないように、できるだけ気をつけますが
 「やばい」と思ったら、これより下を読むのはやめてくださいネ。>

「生きていてごめんね」

死んでいった家族への申し訳なさ、残された自分だけがいい
思いをしているという罪悪感を持ち続け、そんな意識を自覚する
と自分を壊してやりたくなる衝動にかられる奏子。 
  「彼女を傷つければ自分が救われるのか」
  「ずたずたにすれば満足するのか」
そう思う自分の心の奥底にあるものに嫌悪感を持っているのも
奏子です。

奏子は、自分自身を破壊するためなのか、嫌悪感から逃げる
ためになのか、あるいは、加害者の娘に解放への希望の光を
求めるのか、未歩に会いに行きます。
奏子の持つこういう感覚は、軽重にかかわらずほとんどの方が
経験したり、小説や映画等で疑似体験しているのではありませ
んか...?

私は、奏子の葛藤、嫌悪感に共感し、物語にはまってしまいました。
比べられるものでもないのに、苦しみの形を比較したいという欲求や、
それを制御できない自分への嫌悪感にさいなまれていく、
そんな奏子の気持ちにの描写は、よくここまで描けるなぁと感心
してしまうほどです。
物語は重いかもしれません。
でも決して重いだけでなく、読んだ後の余韻は素敵なものがあると
思います。とてもお薦めですので読んでみてください!

奏子と未歩の憎悪がまざわりあって、一緒に破滅に向かって突き
進んだとき、二人に訪れたものは・・・。
そんな展開にドキドキしてくださいネ! 


タグ:原作
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。