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光の帝国-常野物語-【恩田 陸】 [静かな物語の棚]

みなさま、GWはいかがお過ごしですか?
たまには読書三昧もいいもの。
一日くらい家で本を読んで「まった~り」してみませんか?

今日は、またまた恩田陸さんの本を紹介します。
「常野物語(とこの ものがたり)
」の1作目『光の帝国』です。
「常野物語」もいまさら紹介する必要もないくらい評価の高い作品。
でも、語らせてください(^^;

【 ストーリーは・・・ 】

「常野」から来たといわれる彼らには、それぞれ不思議な能力(ちから)を持つ。
  膨大な書物を「しまう」(暗記する)ことができる能力(ちから)、
  遠くの出来事を知ることができる能力、
  近い将来を見通すことができる能力...。
彼らは、極めて温厚で、礼節を重んじ、地に溶け込んで静かに暮らそうとする人々。
権力志向を持たずに「常」に在「野」であれという考えから「常野」一族と呼ばれる。
彼らは何のために存在しているのか、どこへ向かおうとしているのか?
「常野」と呼ばれる一族をめぐる、優しくて、そして切なくなる10の短編物語です。

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2000/09
  • メディア: 文庫

【 常野物語って? 】

各短編は、「常野」にからんで、物語どおしが深く、絡み合っています。
なので、一話一話を独立して楽しむこともできますが、
前の物語に登場した人物が、後のお話に出てくることもあるので、
普通に最初から順番に読んでいくのがいいでしょう。

「常野一族」はそれぞれ異なる不思議な能力(ちから)を持っています。
しかし、物語はそんな「常野一族」の特異な能力を前面にした活躍を描くものではありません。
日常のよくある光景、エピソードが中心です。
やさしい雰囲気の中で、大切なものを感じさせてくれます。
それは親子の絆であったり、人と人との絆であったり。
しかし、それらは決して押し付けがましくなく、優しく、あたたかく、
時には切なく、心に染み入ってきます。

私がこの物語の中で特に印象に残った作品は、
1話目の『大きな引き出し』と、本書の表題にもなった『光の帝国』。
『大きな引き出し』は、親が子を見守るあたたかい目、
そして愛情を綴った物語だと思います。
「伝えることのできなかった人の想い」、
それを常野の能力をもって伝える橋渡しをしています。
このお話は、常野の人々が「何のために存在しているか」という、
答えのひとつを具現しているのかもしれません。

『光の帝国』は、時代の激流にのまれる常野の子どもたちや、
傷を負った大人たちの物語です。
切なくて、切な過ぎて、涙がこぼれそうになりました。
でも、いつか再会できるかもしれない、
いつまでも彼らを待ち続ける「ツル先生」の姿に温かさと希望を感じました。

短編集であるものの、各話が非常に深くて感動します。
ひとつひとつのお話をもっとボリュームアップしたらそれぞれ1冊にできるのでは
と思ったほどです(文庫のあとがきを読むと、著者ご本人もそう思っていたみたい)。
それほど読んでボリューム感があります。

『オセロ・ゲーム』は、常野物語の最新作『エンド・ゲーム』につながっていきます。
常野一族との出会いに、まず本書をお読みくださいネ。

蒲公英草紙―常野物語 (集英社文庫)

蒲公英草紙―常野物語 (集英社文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/05/20
  • メディア: 文庫


 ▲  「蒲公英(たんぽぽ)草紙」の方が
   「エンド・ゲーム」より先に出版されていますが、
   私はまだ読んでいません。
   実は、今日読むつもり。「蒲公英草紙」はかなり評判がいいので楽しみ!! 

エンド・ゲーム―常野物語

エンド・ゲーム―常野物語

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 単行本

 ▲ 「蒲公英物語」も「エンド・ゲーム」もまだハードカバーしか出ていません。
   <2009年5月27日追記>
    2009年5月に「エンドゲーム」の文庫が刊行され、
   現在、「蒲公英草紙」も「エンドゲーム」も文庫があります。

【 +episode 】

私がそもそも『常野物語』と出会ったのは、
前田愛さんの主演でNHKでドラマ化されたときです。
ただ、そのときはビデオ(当時はビデオでした)に録画しながら、
結局、ほとんど見ることなく消してしまいました。
その次に出会ったのが、人から薦められて。
紹介数のまだまだ少ないこのブログにおいて、既に2作品も紹介しているように、
もともと恩田陸さんの作品は大好きであり、
それまで本屋に寄るたびに気にはなって手にとってはいたのですが、
「帝国」という言葉に先入観をもっちゃって...。

結局買うまでにいたりませんでした。
自分で発見できず、人に薦められたっというのがちょっと悔しいです(^^;


タグ:恩田陸
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