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映画篇【金城一紀】 [静かな物語の棚]

【 Episode 】

金城一紀さんという作家の作品はこれまで読んだことがなかった・・・。
確か「GO」という作品があって映画化もされたという記憶はあるのだけど、
その映画は自分好みではなかったという印象が残っている
(出演者も覚えていないのだが・・・^^;)。

そのイメージから(正しいか分からないけど暴力がからむような作品をイメージしてた)、
読む対象の作家から無意識に外してきてしまっていたようだ・・・。
それが今、なぜこの作品を読む気になったかというと…評判がよかったから^^;。
いろいろなところで評判がいい。
僕を読む気にさせた「評判」がどのようなものだったかは実は覚えてないけど(笑)。

とにかく評判がいい。
でも、きっと頑固な僕は、たぶんそれだけでは読まなかったろうなぁ。
一度ごちごちに固まってしまったイメージが「評判」くらいでそう簡単に変わるようだったら、
僕の読書のテリトリーはもっと広かっただろう。っというか、とっくに読んでいただろう。
じゃあどうし読む気になったかを考えてみると、
「映画篇」というタイトルが映画好きの僕の心を刺激したからかな。
まあ、そんな単純な理由で、こうしてこの本に触れることとなった。


映画篇

映画篇

  • 作者: 金城 一紀
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 単行本
この作品は
 
太陽がいっぱい
 ドラゴン怒りの鉄拳
 恋のためらい/フランキーとジョニーもしくはトゥルー・ロマンス
 ペイルライダー 愛の泉
 っという映画の題名のついた短編からなっている。
 

金城一紀さんの作品を読んでいると、ときどき「大脱走」の話題が出てくる。
1話目の「太陽がいっぱい」でも、2週連続でテレビ放送されておもしろかったこと
などと触れられていて、もしかして金城さんが見た放送と同じ放送を僕も見たのかもしれない。
僕もこの作品を小学生のころ2週にわたってテレビで観て大興奮した。
その当時、就寝時間は10時だったがこのときだけは11時まで許してもらって、
家族でふとんに川の字になって観た覚えがある。
両親もこの作品が好きで、この映画のすばらしさを僕たちに教えたかったようだ。
 
 「すごくよかった」
そんな感想を父親に伝えたとき、すごくうれしそうな表情をしていたのを想い出す。
そう、「大脱走」は、今も、僕のベスト1の作品として君臨している。

話はずれたが、正直、これらの5タイトルの映画を観たことがない。
「太陽がいっぱい」や「ドラゴン怒りの鉄拳」くらいならタイトルは知っているが・・・。
なので、タイトルがストーリーにどのくらい影響しているかは分からないが、
「映画篇」の中では僕は「愛の泉」が一番のお気に入り。
でも、ほかの作品もなかなか!。
「ペイルライダー」もよかったし、「恋のためらい」もよかった。
「ドラゴン怒りの鉄拳」も。「太陽がいっぱい」もはずせない。
おいおい、全部じゃないって突っ込まれそうだけど、
本当によかったんだもの、しかたないよね(#^.^#)
では、すべては無理なので、「愛の泉」と、ほかにもう1作品の内容だけ
触れておくことにする。

 【愛の泉】

おじいちゃんの一周忌の日。おばあちゃんの元気がない。
孫たちのあいだで≪だいじょうぶオーラ≫と呼ばれている
無敵のパワーが消えかかっているのだ。
おばあちゃんの元気を取り戻せるよう「僕」ら孫5人は、
おじいちゃんとおばあちゃんの想い出の映画「ローマの休日」の上映会を思いつく。

どうせなら映画館とかそういうところの大きいスクリーンで見せてあげたい、
そんな思いで僕たちの意見は一致したが、その準備役に指名されたのは僕。
フィルム探し、会場探しと難問はいっぱい。
フィルム探しで出会った映画好きの大学教授。
その大学教授の部屋で出逢った≪いたずらっ子≫の雰囲気を醸し出した女性。
いとこたちとの絆。
上映会を通して、人との輪が広がっていく…。

物語の雰囲気がとてもいい。ほんわり~とした雰囲気が漂っている。
主人公を含めた登場人物たちはみんながさやしくて、
「おばあちゃんが好き」という気持ちがひしひしと伝わってきて。
また、特に「僕」の、姿勢というか、さりげないやさしさがとてもいい。

   『なんかおかしな展開になっているなぁ、と思ったけれど、悪い人たちではなさそうだったし、
   すでに司さんのことを好きになってしまっていたので、しばらくはこのまま流れに身を任せる
   ことにした』

なんて感じで、「僕」の肩肘をはらずに素直に自分の気持ちを認める姿勢など、
読んでいて、こちらにも余計な力がはいらないところが気持ちよくて、
そして読後は、とても気持ちが温かくなっていた。

あと、物語とは直接関係するところではないけど、浜石教授の
 『easy come、easy go』(簡単に手に入るものは簡単に手から離れていってしまう)
という言葉が素敵。僕の座右の銘にしたいな!

 【恋のためらい】

  「ねぇ、一番好きな映画ってなんなの?」 
  隣の席に座っている石岡が、どうでもよさそうな感じのだるい声で訊いた。 
  僕はちょっとびっくりし、短く悩んだあと、答えた。 
  「『フランキーとジョニー』かな」  それが僕と石岡が始めて交わした会話だった。
  そんなある日、僕は彼女から『ローマの休日』の観賞に誘われる。
  そして、彼女から、悪徳弁護士の彼女のパパからお金を奪う計画であることを打ち明けられた
  とき、僕は参加することにした…。


------どーでもいいんだけど-------
併せて「対話篇」も読んだ。

 
対話篇

対話篇

  • 作者: 金城 一紀
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/02
  • メディア: 単行本
金城一紀さんの作品は読んだことはなかったけそ、
「恋愛小説」という彼の原作の映画は観ていて僕のお気に入りだったから。
ただ、原作は非常に短い短編と聞いていて、
映画はコンセプトを拝借したオリジナルと勝手に思っていたので、
自分の中で「金城作品≠映画」という図式が成り立っていたようである。
映画はほぼ原作に忠実だったけど、僕は映画のが好みかな。
小西真奈美さんが好きで観に行ったから^_^;

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