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DIVE!!【森 絵都】 [最近の素敵な本の棚]

青い空、もくもくと浮かぶ白い雲、そしてそびえ立つ飛込み台。
太陽の光に白く輝きながら水面から上がるシブキ。
真夏の暑い日差しを感じさせる色彩の表紙。
この表紙を、書店で平積みで見かけるたびに何か魅かれるものがありました。
そんな作品「DIVE!!」

DIVE!!〈上〉 (角川文庫) (角川文庫)

DIVE!!〈上〉 (角川文庫) (角川文庫)

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/05/25
  • メディア: 文庫

 ▲ 現在は、映画化にあわせて飛び込んでいる写真の表紙です。

DIVE!!〈下〉 (角川文庫) (角川文庫)

DIVE!!〈下〉 (角川文庫) (角川文庫)

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/05/25
  • メディア: 文庫


しかし、「飛込み」って僕にとってもマイナーな競技。
飛び込みの世界をテーマにした作品にイメージがわかなくて、
今一歩、読むのを躊躇(ちゅうちょ)していました。
そんな僕の背中を押したのは映画化
(映画「砂時計」でいい演技をしていた池松壮亮くんが出演しているんですよね)。
読んでみて、飛込みを知らないこと、そんなことは杞憂(きゆう)であることがわかりました。
もう、のめり込みました。
すごく素敵な作品です。

 

【 story 】

  高さ10メートルの飛翔
  時速60キロの急降下
  わずか1.4秒の空中演技

はるか下方で待ち受ける、得体の知れない、とらえどころのない水の世界。
片時もじっとしていないこの透明なうねりの中に時速60キロのスピードで突っ込んだとき、
水というよりは薄氷というような抵抗に変わる。
入水に成功すれば、薄氷を突き抜ける快感。
もし失敗すれば、身体に打ち付ける激しい殴打に意識はくらみ、
吐き気のするような痛みをともなって、悪くすると気絶することもある。
しかし、入水後の恐怖を克服した達成感と、緊張から脱した開放感。
そして、敵だか味方だかわからない水に抱かれる快感。
この快感を得たくて、また、はるか上方のプラットフォームをめざす。

正確さと美しさを競う飛込み競技。
その一瞬に魅了された知季、要一たち。
そんな彼らが通うダイビングクラブは閉鎖の危機に陥っている。
クラブの存続の条件は、クラブからオリンピック出場選手を出すこと!
突然、彼らの前に現れた麻木夏陽子コーチのやり方に戸惑い反発しながらも、
新たにクラブに加わった沖津飛沫(しぶき)ら3人のダイバーは、
想像もしなかった夢を現実にするため、
そして、それ以上の何かのため、すべてをかけて飛び込みに打ち込む。

【 作品の魅力 】 

「なんのために、こんなつらい思いをしているのだろう」

こんな悩みは、大人になっても常につきまとうものだと思う。
そこで逃げ出すか、踏みとどまるか。
そんな岐路に立ったとき、人は、楽な道を選びたくなる。
そう、逃げ出す理由はいくらでも考えられる。いくらでも「自分」に言い訳できる。
このつらさは自分だけしか分からない、そんな理由をつけて自分を無理やり納得させる・・・。
だけど、人はあえてつらい道を選ぶ時がある。
大切なもの、楽しいことを失っているかもしれないと不安に陥りながら、
その先にあるものを得るために努力する。
つらい道を乗り越えたときには、仮に得るものがなかったとしても、
やれることはやったという満足感や充実感、やりとげたという達成感があることを知っているから・・・。
人は、この充足感を味わいたくて、あえて困難に立ち向かうのかもしれない。

この作品の3人の少年たちは、それぞれが、さまざまな悩みにゆれ動きながら、
それらを乗り越えようと飛込みに打ち込んでいく。
しかも、彼らは純粋に、正々堂々と、より上をめざす。
この作品を読んでいると、そんな彼らの悩みに共感し、
また、精神的に、肉体的に、その限界を乗り越えようとひたむきに努力する姿勢や純粋さに、
たまらなく応援したくなってくる。
人は多かれ少なかれ、つらい道を選んだ経験を持っているから

3人の少年たちに共感し、応援したくなり、そして彼らが得たものに感動するのかもしれない

この作品を読んだ後、
  「つらくても、もう少しがんばろう」
そんなそんな純粋な気持ちを思い出させてくれた。
読後の爽快感がたまらない作品である。

【 episode 】

+one
「飛込み」といったとき、以前、立った飛び込み台を思い出した。
高飛込みではなく、たぶん、板飛び込みの台。
だから、横から見ると目線と同じくらい全然低いのに、立ってみたら足がすくんだ。
そして、飛び込んだときの衝撃。
  「痛い!」
ダイバーたちの飛び込む台は10メートル。
横から見ても高いのに、実際に立ったら目がくらむのだろう。
きっと僕だったら手摺りにしがみついてしまうかもしれない。

+two
それまで、森絵都さんの作品が評判がいいのは知っていた。
なので、なにか読んでみたかったけど、どの作品がいいかわからなかった。
(僕は、最初に読んだ作品の印象次第で、その他の作品を手に取らないこともあるので、
初めて読む作家の作品は、非常に慎重に選んでいる。)
そんな僕と同じ人がいたら、この作品は、絶対にお薦めである。
読んで損はない。

+three
映画館で観た予告編(※公式HPにリンクを貼りました)。
飛込みのシーンはなかなかの迫力!
正直、映画を観るつもりはなかったので原作を読んだのだが、
タイミングが合ったら観に行ってみようかなっと思う。

 


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