鹿男あをによし【万城目 学】 [最近の素敵な本の棚]
万城目学さんの名前を知ったのは、「鴨川ホルモー」
新聞の2面の下にある本の広告だったと思います。
そのストーリーの概略だけで「おもしろそう」と思いました。
その後、気になって、本屋さんで見かけると手に取ったりする気になる作家でした
(買いませんでしたけど・・・笑)
そんな中、「鹿男あをによし」がテレビドラマ化。
実は、最初の数話の録画に失敗して、見るのを諦めました(涙)
そんな、見逃したドラマにかぎって評判がいいことに知り・・・(涙の2乗)
っということで、幸か不幸か先入観なし(「先生」は玉木宏さんというイメージのみ)に
この作品を読みました。
感想は・・・ おもしろい!!
【story】
神経衰弱と断じられ、教授の勧めに従って、産休の教師の代わりに2学期限定で
奈良の女子高に教師として赴任することになった「おれ」。
事実上、大学の研究室を追われた「おれ」にとって、奈良女学館での理科の教師を
つとめることは、はほんの気休めのはずだったのだが・・・。
着任の初日、遅刻してきた生徒「堀田イト」にからかわれ、前途多難なスタート。
そして、さらに驚くべきことに、ある朝、散歩に出かけていたおれは、ある雌鹿から
話しかけられる・・・。
しかも、渋みをきかせた中年男の声で……。
「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」
自分を本気で心配しだした矢先、再会(?)した鹿から、さらに驚くべき使命を言い渡される・・・。
【なにが「おもしろい」んだろ―】
すみません。何がおもしろいのか、うまく説明できない・・・。
でも、単純におもしろいです。
『運び番』として「先生」(※「おれ」のこと)が運ばなくてはならない宝、
『サンカク』とはなんなのか。
「サンカク」を受け渡す、狐の『使い番』とはだれか。
邪魔をする鼠(ねずみ)の使いは?
そんな疑問の上に、3女学館対抗の「大和杯」での剣道対抗戦。
試合の展開にハラハラ!
そもそも、「先生」を嫌っているはずの「堀田イト」がなぜ剣道部に!?
そして、「サンカク」は手に入るのか!!
軽いタッチで読みやすい文章に、速い物語の展開、そして、積み重なる謎。
まるで、推理小説を読むように、グイグイと引き込まれてしまいました。
気がついてみたら、次へ、次へと読み進んで、ほとんど休まずに読み終えていた(^^)。
そんな素敵な作品です。
【 +episode 】
仏像なんて、まったく興味なかったのに・・・
何年か前、高野山に行ったとき、仏像のやさしいほほえみというか、
包み込むようなあたたかさというか、表情を拝見していて見ていて
ホント飽きませんでした。
なんだかとても感動して、ずっと飽きるまでながめていたい、
そんなふうに思いました。
一方で、仏像を見て、そんな気持ちになった自分に、
横から客観的に見ているもう一人の自分が驚いていました。
自分で言うのもなんなのですが、冷めた見方しかできない自分に、
「仏像を見て感動する心があったんだ!」と・・・。
それ以来、仏像を見るのが好きです。
この「鹿男・・・」を読んで、奈良、行きたくなりました。仏像が見たくなりました。
平安時代の息吹を感じたくなりました。
いつか、奈良に行って、鹿さんに会って、鹿せんべいを人に見られないようにかじってこよ~っと!
【 おまけ 】
カバー裏の解説によると、「あをによし」とは、諸説がありますが「青丹(あお)によし」で、
建物の青色と丹色(にいろ。※赤色)の色づかいが鮮やかで、
都の眺めはグッドだなあという意味だそうです。
「あおによし 奈良の都は 咲く花の 薫(にほ)ふがごとく 今盛りなり」
意味を知ると素敵な歌ですね。
初めまして。
この本、本屋さんで見かけて気になっていたのですが、junさんの記事を読んでますます読みたくなりました。今度本屋さんへ行ったら買ってみようと思います。
私も最近になって、仏像の穏やかな表情に惹かれるようになりました。大人になってというか、時間が経ってから良さのわかるものってありますよね。
by リュカ (2008-06-22 22:19)
コメントありがとうございま~す(^^)
記事を読んでくださって読みたくなった、っというコメント、すごくうれしいです。幸せな気分です。
そうですよね。仏像の穏やかな表情も幸せな気持ちになりますよね。
リュカさんのおっしゃるとおり、大人になって良さのわかるのって、ちょっとうれしいです!
by jun (2008-06-26 23:45)