街の灯【北村 薫】 [静かな物語の棚]
第141回直木賞受賞作として話題の「鷺と雪」。
「鷺と雪」は、「ベッキーさん」シリーズといわれる物語の第3作(完結)ですが、
この「街の灯」は、その「ベッキーさん」シリーズの第1作です。
北村薫さんといえば、「夜の蝉」に代表される「円紫さんと私」シリーズや
「リセット」などの「時と人」シリーズが非常にファンが多いですが、
この「ベッキーさん」シリーズもかなり評判がいいですね。
私も、だ~い好きな作品です!
※ 「夜の蝉」、「リセット」は以前、このブログで取り上げました。
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よかったら読んでみてくださいネ ^^
【 あらすじ 】
昭和7年、上流家庭である花村家の令嬢・英子の運転手として
若い女性運転手・別宮(べっく)みつ子がやってくる。
当時は珍しい女性運転手。
英子は、そのとき読んでいたサッカレーの『虚栄の市』のヒロインにちなんで、
彼女を「ベッキーさん」と呼び、興味を抱く。
英子は「ベッキーさん」のさりげない手助けを得ながら、日常に潜む不思議な
謎を解き明かしていく。
※連作短編が3篇収録されています。
・ 新聞に載った怪奇な変死事件の謎を解き明かす「虚栄の市」
・ 英子の兄を悩ませる友人からの暗号の謎を解き明かす「銀座八丁」
・ 静養先の軽井沢で行われた映写会中に起きた女性の死をめぐる
謎を解き明かす「街の灯」
【 北村作品の魅力全開! 】
時は大正ロマンの香りが残る昭和の初め。
上流家庭のお嬢様・花村英子の視点から描かれた、当時、珍しい
女性運転手・ベッキーさんと日常に潜むちょっとした謎をめぐる物語。
(大人への階段を登り始める英子の成長物語といった感も少しあるかな!)
この物語の魅力の一つは、ベッキーさんの謎めいたところ。
運転手の制服姿がさっそうとしていて、まるで男装の麗人のようで、
しかも、知識が非常に豊富で、剣術や拳銃の腕前もなかなか。
そんな女性が何者なのか・・・。
ベッキーさんの謎に惹き込まれていきます!
そして、この物語のもう一つの魅力は、謎解き。
大きな事件が起こるわけではありませんが、謎であることさえ気づかず
通り過ぎてしまいそうな不思議な謎を、ベッキーさんのさりげない助言を
得ながらお嬢様が解き明かしていくところが魅力です。
今後、どのように物語が進むのか、ベッキーさんの謎とともに楽しみです!
昭和の初めという時代背景だからでしょうか、スローなテンポで落ち着いた
雰囲気が漂うあたりや、日常に潜む謎を解き明かしていくところは
北村作品の魅力全開!っといった感じ。
こういう作品ってだ~い好きです(*^^*)
【 +plus 】
直木賞受賞作「鷺と雪」よりも評判がいいと言われる第2作「瑠璃の天」が
先日、ついに文庫本で刊行されました。
読むのがすご~く楽しみっ!
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