雷桜【宇江佐真理】 [ラブストーリーの棚]
蒼井優さんと岡田将生さんの主演で映画化されるという記事を
見てでした。
▲ 雷で裂かれた銀杏に桜が芽吹いた木。
雷桜は、遊を表わしたような木です。
【 story 】
江戸から3日を要する山間(やまあい)の村・瀬田村。
その村の庄屋・瀬田助左衛門に一人娘・遊が生まれた。
ところが、雛の節句の夜、遊は雷雨にまぎれて何者かに
さらわれてしまう。
村総出ね必死の捜索にもかかわらず、遊の行方は手がかりも
つかめなかった。
しかし、一家は、遊が生きていることを信じて疑わなかった。
それから、15年。
遊はついに、助左衛門一家の元に戻る・・・。
一方、助左衛門の次男・助次郎は、その才覚が認められ、
御三卿の清水家・斉道の家臣になることとなる。
そして、斉道が瀬田村で静養することになったことから、
遊と斉道は運命の出逢いをする・・・。
【 美しい物語 】
温かく、透き通るようなやさしい光に包まれたような美しい物語。
それは、描かれる雷桜や瀬田村などの光景だけでなくて、
遊の心根のやさしさや純粋さ、そして、ほかの登場人物たちの
温かさといった美しさ。
読んでいて心地よく、美しさが目に浮かんでくるような作品でした。
この物語は、遊と斉道の身分を超えた恋物語という面もありますが、
それ以上に、遊という女性の波乱に満ちた一生に惹き込まれ、
そして、普通の女性として過ごすことのできなかった人生を恨むこと
なく、すべてを受け入れ生きていく遊という女性の強さと生き方に
魅了されました。
そしてラスト。読後の余韻に浸った作品です。
【 +plus 】
江戸時代が舞台というと、身分関係など息苦しい時代のように
感じられますが、現代にはない人情味や素朴さに溢れていて、
時間の流れ方も異なり、現代が舞台では決して描けないような
やさしさや温かさがあります。
この作品も正にそう。江戸時代が舞台だからこそ、素敵な仕上がり
になっているように思います。
こんなふうに感じたのは、 『御宿かわせみ』を読んだとき以来。
あの “しっとり感” も江戸時代が舞台でないと描けないと思います。
▲ 2010年10月22日公開です ♪
official site で予告編も観れるよ☆
( ↑ ここをクリックね!)
(2010年7月24日追記)
いつもながら、junさんの書評は的確で
読みたくなる度が高いですね。
私も、こんな書評が書けたら良いなぁと思いました。
by レイフォン (2010-04-28 16:20)
レイフォンさん、お褒めの言葉ありがとうございます。
ちょっと恥ずかしいです *^^*
また、レイフォンさんに褒めていただけるように頑張りますネ☆
by jun (2010-04-28 22:36)