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船に乗れ!Ⅲ 合奏協奏曲 【藤谷 治】 [最近の素敵な本の棚]

まさに“痛かった”前作、 「船に乗れ!Ⅱ 独奏」 。
「独奏」というサブタイトルから受けた印象のとおり、痛さと衝撃に
読んでいた私もツラかったです・・・。
そして、いよいよ最終巻。主人公・サトルに何が待っているのか、
期待と不安にドキドキしながら読みました!

船に乗れⅢ.jpg
船に乗れ! (3) (← amazonへは ここ をクリックね!)
作者: 藤谷 治
出版社/メーカー: ジャイブ
発売日: 2009/11/05
メディア: 単行本


【 story 】

最終学年になった津島サトル、伊藤慧(けい)、そして、鮎川千佳。
実力ある1年生が入り、学校の雰囲気も一変。
南とのつらい出来事から抜け出すことのできないサトルも、いや
応もなしに現実と向き合うこととなる。
やがてサトルに訪れる転機。
最終学年に人生の音楽のすべてをかけるかのように、サトルは
音楽に打ち込んでゆく・・・。

 

【ご注意】
  この作品は、Ⅱのときもそうだたのですが、物語の核に触れな
 ければ感想を書けなさそうです。ちょっとネタバレになってしまうと
 思うので、ご注意ください。

【 燃え尽きました! 】

「夢はかなう」 「乗り越えられないことはない」

学生時代ってそんなふうに、自分の能力を疑うこともなく、可能性と
根拠のない自信にあふれていませんでしたか?
今思うと、夢と希望にあふれていた時期だったような気がします。
そんな時期に自分の限界を認めることは、非常につらい現実です
よね!

主人公・津島サトルは、能力の限界という現実に突き当り、音楽を
やめる決心をします。恋人を失った喪失感の上に、さらに追い打ち
をかけるかのようなつらい選択。
しかし、サトルは逆に、これまで音楽に打ち込んできたすべてを注ぐ
かのように音楽に取り組んで行きます。
そんな想いがグイグイっと伝わってきて胸が熱くなりました。
そしていつの間にか、まるでサトルに同化したかのように感情移入
して読んでいて、読み終えたときは、何だかサトルと一緒に燃え尽き
たかのような気持になったほどです。

このⅢに限らず、3作すべてがそんな感じ。私にとって、これほど
主人公に感情移入した作品はめずらしかったです。
ホント気持が熱くなった作品でした。
とてもとても素晴らしい作品なので、まだ読んでいない方には是非、
読んでみていただきたいです!

【 +plus 】

このタイトルとなった「船に乗れ」という言葉はニーチェの言葉だそう。
主人公・サトルの青春時代、その後の人生、そして私自身の人生と
重ね合わせてみると、ラストで触れられているとおり、人生ってまさに
船のようですね。
のろのろと、しかし絶え間なく、波に揺られながら、航行し続ける・・・
 - 船は揺れ続けている-
この言葉とタイトルの意味がズシリと重く響いてきました。


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