吉祥寺の朝日奈くん 【中田永一】 [最近の素敵な本の棚]
5つの短編からなる作品。
もちろん作品間で好みとそうでないものの差はあるけど、総じて
私好みの作品ばかり!
特に私のお気に入りなのは、“三角形はこわさないでおく”かな。
吉祥寺の朝日奈くん (祥伝社文庫)
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作者: 中田 永一
出版社/メーカー: 祥伝社
発売日: 2012/12/12
メディア: 文庫
【 story 】
高校1年の初夏、ツトムと知りあった。
容姿が良いだけではなく、トップクラスの足の速さ。授業では
英語教師による英語の質問に英語で返答してしまう。ただ、問題が
あるとすれば、だれとでも、積極的に関わりあおうとしないところ。
クラスメイトにしてみれば、彼はすこし近寄りがたい。
本格的な夏になるころには、廉太郎は彼のことをツトムと呼び捨て
にし、二人で廊下を歩き、いっしょに授業をさぼり、屋上にねころ
がって雲をながめてすごしたりした。
そんなツトムの様子がおかしくなったのは、9月に入り学校が再開
して2週間ほどすぎたころだった。
彼が気になったのは、うなじが空気にふれるくらい短い髪型のクラス
メート。彼女の周囲にある空気は、あわい色の朝顔のよう、あるいは、
色のついたガラス瓶や、それをすかして影のなかにできる光のよう
だった。
そして、いつしか廉太郎も彼女が気になっていることに気づくが・・・。
( 「三角関係はこわさないでおく」より )
【 絶妙♪ 】
この “三角形は…” は、5編の中では長めの作品。
変に“恋愛”とか“友情”をこの年代の大問題として描くのではなく、
重すぎず軽すぎず、何というか力抜け加減が絶妙!
しかも、描かれる“三角形”は微妙なバランスで、そのバランスも
また絶妙!
さらに、ラストの終わり方がちょっと物足りない感じなんだけど、
でも、その物足りなさもすごくいい感じなのです(*^-')b
この “三角形は…” に限らず中田作品は、全体的に、ゆっくりとした
落ち着いた時の流れの物語が多くて、心地よさを感じます。
また、熱くなりすぎず、ちょっと一歩引いて、自分のことを他人事の
ようにドライに見ているところも好き!
そしてストーリーも、さらっと終わらない、ちょっとしたヒネリがある
ことが多くて、そこがちょっと楽しみなんですよね!
中田作品を読んだのは、「百瀬、こっちを向いて。」(Link)、「くちびる
に歌を」に続いて3作品目ですが、みんなすご~く好みです。
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