獣の奏者 外伝 刹那 【上橋菜穂子】 [静かな物語の棚]
「外伝」というと、既に物語の結末が明らかになっており、エピソードが
本編に付け加えられる程度になってしまい、物語の深みもインパクトも、
そして感動も薄くなりがちですが、この外伝は、本編に劣らないほど
切なく、そして、感動した素敵な作品でした。
▲ この表紙は、とても素敵♪ センスがいいですよネ!
獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)
( ↑ amazonへは、タイトルをクリックしてネ♪)
作者: 上橋 菜穂子
出版社/メーカー: 講談社
発売日: 2013/10/16
メディア: 文庫
【 story 】
エリンの母ソヨンのエリンへの想いを描いた「綿毛」
エリンとイアルの再会、そして結婚、出産までを描いた「刹那」
恩師エサルの、若き日の秘めたる恋と人生を描いた「秘め事」
まだあどけないジェシとエリン、イアルの一瞬の幸せを描いた「初めての」
切なくて、でも、ほわっと心が温かくなる物語
【 “刹那”な物語 】
切なくて、心が温かくなって、涙が出てきた作品「刹那」
結ばれることが過酷な未来となることが分かっていても、お互いを
求めてやまず、その刹那(一瞬)の幸せを噛みしめ生きていく
エリンとイアル。
それぞれが孤独であるが故にお互い理解し、押さえきれぬお互い
への想い。生まれてきたことに後悔はしたくないと、運命に立ち
向かって行き、 苦難を覚悟しても子を生もうとする強さ、悲痛とも
いえる覚悟に圧倒され、二人の過酷な生き方に、やるせなくなり、
その強さに感動しました。
本編を更に深みを与える感動的な物語です。
ラスト。ジェシの出産には力が入りました。人の生はこんなにも、
尊く重いものなのかと感動すらしました。
過酷な人生が待っているのかもしれませんが、ここまで望まれて
生まれくる子は、きっと幸せだろうし、幸せになるだろうと思います。
軽く生きてしまっている自分を振り返って、今の幸せを、もっともっと
大切にしなければいけないと思いました。
切なく、寂しくて、でも、温かくて。
エリンたちの気持がグッと心に染み入ってきて、もう一度、読み
直したのですが、それでも涙が出てきてしまった素敵な物語でした。
【 +plus 】
文庫書き下ろしの「綿毛」は、ソヨンのエリンへの想いが伝わって
きましたし、「秘め事」もエサルの熱い想いを描いた素敵な物語で
した。そして、短い作品ですけど「初めての」も、とても心を温かく
させてくれます。
とても素敵な作品ばかり!本当に出逢えて良かったと思います。
本編を読んだ後に読んでいただきたいですが、最高にお薦めの
作品です♪
コメント 0