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夜の蝉【北村 薫】 [静かな物語の棚]

北村薫さんの作品は、ず~と前から取り上げたかったのですが、
どの作品にしようかず~と悩んでました。
『リセット』とかすごく好きだし、『ターン』も好きだし、
もちろん、今回取り上げる『円紫さんと私』シリーズも好きだし。
悩みに悩んだ末、やっぱり最初に北村薫作品に触れた想い出の
  「円紫さんと私」
シリーズにすることに。
「空飛ぶ馬」にするか「夜の蝉」にするか・・・・。
初めて読んだときの印象が強烈な『夜の蝉」をご紹介しますネ!

 ★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★

【 お話は・・・!? 】

本を愛し、落語を愛する、ちょっと地味な女子大生の「私」が主人公の
「円紫さんと私」シリーズ2作目。
円紫さんとは、噺家(はなしか)の春桜亭円紫(しゅんおうていえんし)師匠で、
シリーズの1作目の「空飛ぶ馬」で「私」は偶然顔見知りになります。
物語は「私」の日常生活の中で、さわやかに流れていきます。
そんな日常の中で、ふと顔を覗かせた不可思議な出来事、謎を、
円紫さんが理論的な推理で紐解いてくれます。
物語の謎はけっして刺激的ではないけど、私たちの身の回りににも、
こんなたくさんの謎が転がっているのかもしれないませんネ。
短編 『朧夜の底』、『六月の花嫁』、『夜の蝉』の3作品が収録されていています。

夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

  • 作者: 北村 薫
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1996/02
  • メディア: 文庫

 ▲ 装丁も淡い色をつかったやさしい感じ。
    作品のイメージにすごく合っていますね。

【 北村薫さんの作品はいいです!! 】

北村薫さんの作品は本当にさやしいです。
文章を読んでいると、この人は本質が本当に優しいんだろうなって思います。
文章や文字にはその人の性格がにじみ出るといいいますが、
北村さんの作品は私でも分かるくらい、やさしさが溢れ出ていて。
なので、読んでいても、嫌悪感を感じることがありません。
小説の上であっても、「許せない!」「やるせない!」
そんなストーリーが苦手な私には、安心して作品を手に取ることのできる作家さんですね。
読んだ後、心があたたまって、「は~、よかったぁ」って思う作品が多いです。

【 夜の蝉 】

「夜の蝉」は、第44回日本推理作家協会賞を受賞した作品だそう。
でも、推理小説というより、人間の深い内面を紡ぎだしているそんな作品です。
この「夜の蝉」は、「私」と「私の姉」のお話。
「姉」が「姉」を受け入れる「つらさ」と「諦め」。
「私の姉」の「私」に対する心の葛藤って、私にもすごく理解できて・・・。
「立場」を受け入れるということは、だれもが経験する、大人への階段かもしれません。
せつなくて、でも割り切れた爽快感があって。
そういう経験と重なるのか、涙がでそうになりました。
そして最後の「私」の一言。
余韻に浸り続けたくなります。

 ★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★

【 +plus 】

この作品は、覆面作家だった著者が素顔を公開するきっかけとなった作品とのことです。
それまで女性か、といったうわさもあったって聞いたことがありましたが、
これだけ文体がやわらかく、やさしいと、「薫」という名前からしても
女性作家かなって思ってしまいますよね。

そうそう、北村薫さんは、「覆面作家は二人いる」という作品も書いています。
覆面作家さんが登場する作品。
自分が「覆面作家」と言われていたからなのかな?

この「円紫さんと私」シリーズのような奥深さはないけど、
気軽に読めて楽しめて、私的には好きな作品です。

覆面作家は二人いる (角川文庫)

覆面作家は二人いる (角川文庫)

  • 作者: 北村 薫
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1997/11
  • メディア: 文庫

 ▲ はずかしがりやのため、ペンネームを「覆面作家」にしてしまった推理作家。
    実は美貌のお嬢様(しかも大富豪)。
    性格は家にいるときは「おしとやか」。一歩、外に出ると・・・。
    この「覆面作家」さん、すばらしい推理力で謎を解決します。
    この作品も私は大のお気に入り!
    「覆面作家」シリーズは3作品あるのでぜひ読んでみてくださいネ。


タグ:北村薫
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コメント 1

茅ヶ崎住人R

この記事に書かれていること
同感です。
私も全部読みました。
「私」シリーズの復活を望みます。
by 茅ヶ崎住人R (2007-06-17 13:33) 

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