SSブログ

狐笛のかなた【上橋菜穂子】 [ファンタジーの棚]

『精霊の守り人』にコメントを寄せてくださった方のお薦め作品。
好みの合う方のお薦めならば,きっと気に入るだろう
(もちろん上橋さんの作品だし)と手に取りました。
余韻が残る素敵な作品でした。

狐笛のかなた (新潮文庫)

狐笛のかなた (新潮文庫)

  • 作者: 上橋 菜穂子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 文庫

 ▲ 理論社のハードカバーの表装のが好きですが、できるだけ文庫を
   紹介するようにしているのでこちらを載せますネ。


【 あらすじ 】

夕暮れの枯野を、火色の毛皮を光らせて駆ける子狐。
猟犬に追われ、最期を覚悟した子狐を助けたのは、ふしぎな娘だった。
 <使い魔>として生き、情けを受けることなく育った霊狐・野火(のび)
 <聞き耳>の力とともに,重い運命をも亡き母から受け継いだ小夜(さよ)
隣り合う二つの国の憎しみに巻き込まれていく小夜と野火の、孤独でけなげな想い…。
しかし、小夜と野火は過酷な運命に立ち向かってゆく。


【 余韻がいい作品 】

小夜は、孤独と生まれながらに背負う重い運命・・・。
野火は、<使い魔>として生きるしかない過酷な運命・・・。
この物語は「呪い」とか「使い魔」とかがでてきて、背景には
国どおしの憎みあい。
そんなテイストだからか暗い物語という印象も受けます。

しかし、自分の命を賭しても小夜を守ろうとする野火の想いや、
過酷な運命であっても向き合おうとする小夜の芯の強さ、
そして、何より小夜と野火の心の純粋さ、想いといったものが、
この物語の中で美しい輝きとなっています。

そして、さらにラスト。小夜と野火のたどり着いた先には・・・。
春のやさしい陽射しに包まれように、心温かく、幸せな気分になりました。
読後、しばらくその余韻に浸っていたほどです。

この作品は、
 第42回野間児童文芸賞
 第51回産経児童出版文化賞<推薦>
に選ばれています。
小さい子にも読んで欲しいけど、そんなカテゴリーにとらわれず、
是非、大人にも読んで欲しい作品です。
子どもだけなんって、絶対もったいない!

【 +plus 】

僕が上橋さんの作品が「すごい」と思い好きなのは・・・
きれいごとばかりではなく、現実の醜さ,厳しさもしっかり語っているところ。
この物語のように断ち切ることのできない「恨み」ってありますよね。
子どもにも、そういうものがあることを教え、そして断ち切っていこうという
メッセージが押し付けがましくなく込められているところがいいです。
そして,常に、やさしく前向きな視点で主人公たちを見守っているところが
好きです。


タグ:上橋菜穂子
nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 2

レイフォン

初めまして、レイフォンと申します。
突然で失礼しますが、私も理論社版のカバーの方が好きです。
この物語はラストの余韻が本当に魅力的ですよね。
私も大好きな本です。
突然訪問してしまい失礼しました。
p.s
Fate/stay night見に行ったんですね!
偶然ですが、私もこの作品の雰囲気が好きです。
by レイフォン (2010-02-25 14:39) 

jun

レイフォンさん、コメントありがとうございます♪
ちょっと寂しさの漂う物語でしたが、ラストはホント温かな気持ちになりました。
共感していただけるって、とてもうれしいです *^^*

by jun (2010-02-25 21:44) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。