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月の裏側【恩田 陸】 [最近読んでみた本の棚]

「ネクロポリス」に引き続いて恩田陸さんの作品を読んでみました。
友だちのお薦めです。

月の裏側 (幻冬舎文庫)

月の裏側 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 文庫

【 story 】 

九州の水郷都市・箭納倉(やなくら)。この水郷の街で起きた不思議な出来事。
3人の老人たちが、家族の誰も気づかぬうちに相次いで姿を消した・・・。
それは、家族が気づかぬはずがない状況の中であり、
まさに密室から忽然と消えたようだった。
そして、その数日後、老人たちはやはり家族も気づかぬうちに姿を現す。
その間の記憶は抜け落ちたまま・・・。
そんな不思議な出来事に疑問をもった元大学教授が知人の男「多聞」
この水郷の街に呼び寄せたことから事態は動き始める。

【 精神的な怖さが染みる物語 】

水郷の街にあまねく存在する掘割の水。
その掘割の近くで起こる怪事象。
この街で何が起きているのか?
街中にあるその重く黒く沈んだ水にかかわりがあるのか?
前半は、そのような謎と不気味な雰囲気にドキドキしながら、
読み進めました。

そして後半。
次第にその謎が明らかになるにつれ、「多聞」たちと同じように、
「もし、未知の存在に取り込まれてしまったら・・・」 とか、
「もし、もう既に自分が未知の存在に取り込まれていたとしたら、
“自分”は精神を正常に保って生きていけるのだろうか・・・」
などと自分自身に置き換えて想像して読んでいたら、
とても怖くなってしまいました ^^;
そして、多聞たちは、いったいどうなるのだろう!っと気になり
一気に最後まで読んでしまいました。

自分がいつのまにか「別の者」になっていたら怖いですよネ!

まさにこの物語に漂う「湿気」のように、じわじわと心(精神的)に恐怖が
沁み込んでくる印象の小説でした。
こういう怖い小説って、実は決して好きな分野ではないのですが、
この物語は読後にいつまでも印象に残るインパクトがある作品でした。

ところで、『月の裏側』というタイトル。
月が常に片方の面しか地球に見せていないように、
  「実は、この世界にも見えていない世界があるんですよ」
という意味が込められているのでしょうか。
(僕の勝手な想像ですけどネ)

【 episode+ 】

実はこの作品を読んだ日は曇り空。そして、ジメジメした日。
ふっと窓の外を見ると、灰色の曇り空と湿気に、まるでその水郷の街に
自分がいるような感覚になってしまいました^^;
なので、一層、物語がリアルに感じられて、読み終えたときは、ほ~!と
一息ついた感じでした。
あー、肩に力が入ったぁ。

この作品を読むなら、晴れた明るい日でなく、どんよりと曇ったジメジメした日
がお薦め!
物語にどっぷり浸かれますよ。
怖いけどネ ^^;


タグ:恩田陸
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