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凶笑面【北森 鴻】 [推理小説の棚]

最近、北森鴻さんの「冬狐堂シリーズ」の『狐闇』『緋友禅』
『瑠璃の契り』とたて続けに読みました。
おもしろ~い! O(≧▽≦)O

「冬狐堂シリーズ」の『狐罠』(←ここをクリックしてネ)は、以前、
このblogでも触れましたが、ホント、 読んでいて、肩に力が
入り続けて、読後に “ ぐったり ” としたほど読み応えがある
濃厚なミステリー。
喰うか喰われるかといった緊張感と、骨董という特異な世界で
一人立ち向かう陶子にハラハラ・ドキドキのしっぱなしでした。

さてさて、今回ご紹介する『凶笑面』は「蓮丈那智シリーズ」の
第1作で、以前から取り上げたいと思っていた作品です。
ちょっと怖いタイトルと表紙のイラストですが、
内容はおもしろいですよー! (^_-)

凶笑面―蓮丈那智フィールドファイル〈1〉 (新潮文庫)

凶笑面―蓮丈那智フィールドファイル〈1〉 (新潮文庫)

  • 作者: 北森 鴻
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/01
  • メディア: 文庫

 

【 story 】

「美貌」と「才能」という、天がニ物を与えてしまったという
異端の民俗学者・蓮丈那智。
彼女の研究室の元に一通の手紙と資料が届いた。
それは、悪名高い骨董業者からの調査依頼であった。

「ある寒村で、ある凶々しい笑いを浮かべた木造りの「面」を
村人が手に入れてから、村内に急に死者が増え始めた。
由来を神託によって調べたところ、面に怨念がこもっている
ことが分かり、怨念は権現の社に封印し、面そのものは
神様として勧請(かんじょう)した」 という由来のある面。

蓮丈那智と、その助手の内藤三國は、骨董業者からの依頼に
胡散臭さを感じつつも調査に向かう。(表題作)

【 「民俗学的な謎」の魅力 】

蓮丈那智シリーズは、東敬大学助教授の蓮丈那智と、その助手の
内藤三國が「民俗学」のフィールドワーク(調査)を通して遭遇する
ミステリー(連作短編作品)。
鋭い観察眼と思考力、冷徹とも思わせる言動を持つ彼女が
「民俗学的な謎」と「事件の謎」をクールに解き明かしていきます。

民俗学というと、なじみが薄くて、なんとなくとっつきにくそうな
イメージがありますが、この物語で語られる「日本書紀」や日本各地に
伝わる「伝承」や「伝説」の裏側にある隠されたものが、「事件の謎」
以上に、我々読者の興味を惹きます。
この物語で語られる「説」が、実際こまで民俗学としての「定説」であり、
どこまでが北森鴻さんの「仮説」なのかは分かりませんが、
それは別にして、遥か昔、そのような事実が実際にあったかもしれない
と想像するだけで胸がワクワクしてきます。

このシリーズを書くには非常に時間がかかるようです。
確かに、かなり調べ込んで、手間暇かけて書かれているように感じます。
だからこそ、読み応えがあるのかもしれませんネ。

このシリーズは、「香菜里屋シリーズ」や「冬狐堂シリーズ」よりは若干、
地味な印象を受けますが、とてもおもしろくて、魅力的なシリーズです。
北森鴻さんの作品は読みやすいし、他の作家さんとは違った
深い味わいがあって、どの作品もとてもお薦め!
イチオシです (o^-')b

 

【 +plus 】

このシリーズ中で 『狐闇』 とリンクする物語があります。
私的には、この蓮丈那智シリーズを読んでから「狐闇」を読むことを
お薦めします。
それで、もう一度、その物語を読むと、最初に読んだとき感じていた
物語の印象と違ってきて、再度、物語が楽しめますよ!


 


タグ:北森鴻
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