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東京公園 【小路幸也】 [静かな物語の棚]

映画を観て原作を読んでみたくなった作品です。
この作品は、公園をめぐる女性をカメラ越しに見守る主人公を
中心に描かれた物語ですが、映画では、基本的に原作を追っては
いるものの、どちらかというと姉や幼馴染みとの関係が中心という
感じなので、原作でこの物語の瑞々しさを是非とも楽しんでみて
くださいネ♪

東京公園_s.jpg
東京公園 (新潮文庫) (←amazonへはタイトルをクリックね!)
作者: 小路 幸也
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2009/07/28
メディア: 文庫

【 story 】

カメラマン志望の大学生の圭司は、時間があるとカメラを
抱え東京中の公園を回り、親子連れや家族の写真を撮って
いる。

ある日、葛飾区の水元公園で、木立の中の歩道で、池の
方を眺めながらたたずんでいる若いお母さんと、ベビーカー
の中で眠っている女の子を見かけたとき、圭司は何も
考えずにシャッターを切っていた。

そのとき知り合った男性から、圭司は奇妙な依頼を受ける―
 「妻の百合香を尾行して写真を撮ってほしい」
幼い娘を連れて、都内の公園をめぐる百合香。
ベビーカーの母娘をカメラ越しに見つめる圭司は、いつしか
彼女に惹かれていく・・・。

【 静かに感性をくすぐる作品 】

 百合香はどんな想いから、幼い娘を連れて公園をめぐって
 いるのだろうか―
 なぜ、撮影されていることに気づきながら、百合香はそれを
 許しているのだろうか―

“謎”というほど大げさではないですが、そんな疑問が物語に
やわらかく惹き込んでいってくれました。

そして、

 僕は確かに、百合香さんに会いたいと思っていた。
 でもそれは、好きだっていうことなんだろうか。

その想いが好きということなのか自分でも分からない、でも・・・。
そんな圭司の想いが瑞々しく伝わってくる作品でした。

とても爽やかに、さらっと水が静かに流れていくような物語で、
ラストもとても素敵!
こういう感性をくすぐってくれる作品ってだ~い好きです。
公園での母娘の温かな姿にほのぼのとし、そして、その姿を
カメラ越しに見守る圭司の視線も温かで、“陽だまりの心地よさ”
みたいな雰囲気のある作品でした。

【 +plus 】

撮影されていることに百合香が気づいており、圭司もまた、
百合香が気づいていることに気づきながら、お互いに言葉を
交わすことなくカメラ
越しに交わされる無言の会話みたいな
ところがちょっと好きなシーンです。


 


タグ:原作
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