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とある飛空士への追憶 【犬村小六】 [ライトノベルの棚]

ライトノベルの人気作「とある魔術の禁書目録」と似た「とある・・・」
というタイトルに、根拠もなく二番煎じのような先入観を持って
しまったところに、カバーイラストが自分の好みではなかったことも
あって、ほとんどノーチェックの作品でした。
ところが、この秋に映画が公開されたとき(見逃してしまいましたが)、
かなり原作の評判がいいということを聞き、手にとってみました。

とある飛空士への追憶b.jpg
とある飛空士への追憶 (←amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
作者: 犬村 小六
出版社/メーカー: 小学館
発売日: 2011/08/09
メディア: 単行本

 ▲ ガガガ文庫より、新装版のカバーの方が好みだったので。
   ちなみに、この新装版は文庫版から大幅な改編がされていて、
   ファナのその後なども少し描かれているそう。

【 story 】

飛空機の圧倒的性能差により、帝政天ツ上に制空権を掌握され、
陸の孤島と化した神聖レヴァーム皇国サン・マルティリア。
ある日、傭兵飛空士シャルルは、耳を疑うような命令を受ける。
それは、皇子の許嫁(いいなずけ)ファナを乗せ、中央海を単機
敵中翔破し、本国へ送り届けよというものだった。
「光芒五里に及ぶ」とたたえられる美しさの少女・ファナを乗せ
飛び立つシャルル。
しかし、極秘であったはずのその作戦は敵国に筒抜けだった。
圧倒的性能を有する敵国戦闘機・真電がシャルルとファナの
複座式水上偵察機サンタ・クルスに襲いかかる!
果たしてシャルルとファナは本国にたどり着くことはできるのか・・・

【 シンプルに描かれたピュアな物語 】 

ストーリー的には、身分を超えたふたりを描くピュアなラブストーリー。
一つ屋根の下ならぬ一つ飛空機で共に困難を乗り越えていく間に
絆が深まり、そして・・・というところはラブストーリーの“定番過ぎ”という
感じもしなくはありませんが、その定番を変に小細工せずに、シンプルに
正面から描かれた爽やかな作品でした。
ファナのためになら、どんな困難も乗り切ってみせる、そんな主人公の
想いに、自分も恋したときの気持を想い出して、ほんわかと温かく、
ちょっと胸がチクンとしてしまいました。

 ※ この先はネタバレしているので御注意を!

ちょっと(ホントにちょっとだけ)残念だったのは、主人公が賤民意識が
強すぎて、ファナとの恋が成就しないであろうことが先読みできて
しまったこと。成就しないことは同じだとしても、燃え上がる恋の中、
二人を取り巻く様々な事情が別々の人生を歩むことを選択せざる
得なかった・・・という感じであれば、もっと物語に深みが出たと思うの
ですけど(まあ、これも定番ではありますが・・・^^;)。

ところで、先入観のあった「とある」というタイトル。読んでみると
 「歴史の表に表れることのなかった名もない飛空士の物語」
という意味で、物語に非常にぴったり。シャルルとファナの物語は
一区切りついてしまいましたが、この世界を舞台にした別の物語も
あるようなので、是非読んでみたいです。
爽やかで、さらりとしたピュア物語を読みたい方にはお薦めですヨ。

【 +plus 】

とある飛空士への追憶m_s.jpg
▲ 映画のポスター。こういう淡い色遣いは大好きです♪    


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