珈琲屋の人々 【池永 陽】 [静かな物語の棚]
書店で本のタイトルを眺めて、どんなストーリーかを想像しながら
自分好みの作品を発見するのが好きです。
なので、読んだことがあるかないかは別にして、作家さんの名前は
たいがい知っているつもりでしたが、正直なところ、池永陽さんと
いう作家さんは知りませんでした ^^;
この作品は、書店のメディア化作品の棚で目に止まり、手に取って
みたもの。私好みそうな作品であることや、初めての作家さんとの
出逢いを求めていることもあって、躊躇せずに購入しました。
読んでみて、正に私好みで、大満足な作品でした (*^-')b
▲ 珈琲屋の人々 (双葉文庫)
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作者: 池永 陽
出版社/メーカー: 双葉社
発売日: 2012/10/11
メディア: 文庫
【 story 】
東京の下町の商店街にある喫茶店「珈琲屋」を細々と営む行介。
行介には、ある理由から人を殺した過去があった。
刑期を終え、父親の喫茶店を再開しようとした行介を手伝った
のは、幼なじみの冬子。かつての恋人だった冬子は、行介の
刑期が終わるのを待つかのように離婚し、この商店街に戻って
きていた。
罪の深さを心に抱え静かに暮らす行介の「珈琲屋」に、心に悩み
や傷を負った人々が訪れる・・・。
【 心温まる物語 】
人を殺した行為自体に後悔はしていないですが、その罪は償わ
なければならないと重い過去に正面から向き合い、罪を意識しな
がら生きる行介。
その謙虚な姿勢と、つらい過去があったからこそなのでしょうか、
珈琲屋を訪れる人々をやさしく見守る行介の人間的な深みが
物語をやさしく包み込んでいて、読んでいてほんわりと温かく、
心に染み入ってきました。
また、行介と冬子の静かな関係。
言葉には出さないけど、お互いがお互いを大切に想う気持ちが
伝わってきて、そういう意味でも心が温かくなる物語です。
冬子がどうして行介のことをそこまで大切に想うのかは描かれ
ていませんが、続編もあるようなので、まだ描かれていないの
なら、いずれ描いてもらえたらいいなと思います。
当然のことですが、小さな商店街にも人それぞれの人生があり、
私自身もそうですが、それぞれに思うことってあるのですね。
この作品は、7編の連作短編集ですが、行介や商店街の人々
の思いを通して、考えさせられたり、気持がほっこりさせられたり
する、温かくて素敵な物語です。
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