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扉はとざされたまま 【石持浅海】 [推理小説の棚]

映像化もされ、5~6年前から気になっていた作品なのですが、
なぜか手に取らず・・・。
読んでみる気になって探したときには店頭になく・・・(ネットで
取り寄せて!というまでの感じではなくて)。
っと、なかなかご縁がなかった作品なのですが、この度ついに!

この作品は、2006年版の本格ミステリ大賞で最終候補作に
残り、「このミステリーがすごい!」や「本格ミステリベスト10」で
共に第2位、週刊文春ミステリーベスト10では第5位になるなど、
もともと評価の高い作品(実は、知らなかったのですが ^^;)。
その評価に違わず、とてもおもしろかったです。
もっと早くに読んでいればよかった~ ^^

  扉は閉ざされたまま .jpg
  扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)
   ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
    作者: 石持 浅海
    出版社/メーカー: 祥伝社
    発売日: 2008/02/08
    メディア: 文庫

【 story 】

大学時代、表向きサークルの酒好きの6人が集まって作られ
た「アル中分科会」。卒業以来、会うことのなかった6人だが、
同窓会を開くことになり、久しぶりに再会する。場所は、都内
の閑静な高級住宅街に建つ洋館。会の中心メンバーの一人、
伏見亮輔は、その洋館で仲の良かった後輩・新山を殺害する
計画を実行に移すのだった。
密室で、事故死に見せかけた殺人。伏見は遺体発見を遅ら
せるために、仲間たちを言葉巧に誘導して、部屋の扉を開け
させまいとする。
しかし、碓氷優佳だけが開かない扉に疑問を抱き、鋭利な
推理で伏見を徐々に追い詰めていく・・・。

【 異色の展開のおもしろさ! 】

異色のストーリー展開石持さんは少しひねった作品を書くと
いうイメージの作家さん。この作品も、まず犯人が殺人を犯す
ところから始まるのですが、犯人が誰なのかも、被害者との
関係も、当然、犯行の方法(密室トリックがどんなものか)も
明かにしていて、謎なのは動機くらい。
犯人が犯行の発覚を遅らせようと(そうそう、なぜ、発覚を遅ら
せようとしているかについても謎)、仲間をミスリードしていくの
ですが、仲間に違和感を抱かせないよう仲間の思考や行動
傾向を考慮しつつ、その場面場面で臨機応変に頭脳を駆使
してミスリードをしていくという、ちょっと変わったおもしろさの
作品です。
それが、明晰な頭脳を持つ優佳(主人公と因縁がある)の
存在によって少しずつ崩されていく切迫感(なぜか、犯人に
感情移入している ^^;)が加わって、作品に惹き込まれま
した。

都内の住宅街に「雪山の山荘」シチュエーション(※雪山の山荘
であったり、無人島や陸の孤島など外部と遮断された環境で、
人が殺されていく)を構築してしまうところも異色で上手ですね。

【 plus+ 】

プラスこの作品は、第3作目がつい最近、文庫で出版された
ばかり。頭脳明晰な優佳が活躍するようですが、本作品では、
伏見との微妙な対立(?)関係が甘いテイストになって作品の
魅力を増幅させていました。その関係がなくなっているであろう
第2作目以降は、どんなテイストを加えて作品の魅力を創り出
していくのか楽しみです。
そもそも、伏見と優佳の関係がどうなったのかも興味深いので、
第2作目以降の作品を近々読んでみたいな


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