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春を背負って 【笹本稜平】 [静かな物語の棚]

毎年、夏山登山をしているのですが、それに併せて山を舞台に
した小説を読むようにしています(登る少し前に読み始めて
テンションを上げ、山小屋にも持って行き長い夜に読みます)。
昨年が、新田次郎さんの「剱岳 点の記」(一昨年は、登山の
タイミングではありませんでしたが、夢枕獏さんの「神々の山嶺」
がとても素晴らしい作品)で、昨年に読んだ作品のベスト3に
入るくらい気に入った素晴らしい作品でした!
そして、今年の火打山・妙高山登山のお供はこれ。今年の6月
に映画も公開されたホットな作品です。

  春を背負って .jpg
  春を背負って (文春文庫)
   ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
    作者: 笹本 稜平
    出版社/メーカー: 文藝春秋
    発売日: 2014/03/07
    メディア: 文庫

【 story 】

急死した父親の山小屋を継いだ長嶺亨。そんな亨の前に現れ
たのがゴロさんだった。右も左もわからない亨は、ゴロさんの
助けを借りながら、山小屋に居場所をみつけていく。
そして山小屋を訪れる人々。美しい四季を通して、亨は、悩め
る人々は、心を癒されていく・・・。

【 ハートウォーミングな物語 】

いつも山小屋に泊まるのですが、この作品はそういう山小屋が
舞台。険しい山を登る登山家などの困難を描いた作品と違って、
山小屋の日常の様子は見て知っていますし、春先には冬の風雪
に耐えた山小屋の修理が大変なこと、登山道も山小屋の関係者
がボランティアで修理したりしていることも知識としてありますし、
自分たちが飲んだり食べたりする食料等を頻繁に荷揚げする
のはかなり大変だろうと想像もしていたので、そんな様子が描か
れたこの作品はとても身近に感じました。

そして、この作品は、そんなただ身近な物語としてのみ良いと
いうことではなくて、主人公を心身の両面から支えるゴロさんと
の出逢いから始まり、美由紀との出逢い、そして、山を通じて
人々との繋がりや傷を癒やしていく姿などが描かれた、まさに
ハートウォーミングなストーリー。
きっと、山小屋を知らない人の心も温めてくれるであろう素敵な
作品です。心温まる作品がお好きな方にはお薦め!

【 plus+ 】

先日泊まった山小屋でのことです。
山小屋のご主人でしょうか、氷がいっぱいに詰まった大きな容器
を背負って到着したところに出会いました。その氷を飲み物を
冷やしている容器に入れているのを見て、私たちが山小屋で
冷たいビールや飲み物を楽しめるのは、こうした客には見せな
い苦労があるんだなっと思いました。


タグ:山岳小説
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