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海賊とよばれた男 【百田尚樹】 [最近の素敵な本の棚]

出光興産の創業者・出光佐三氏の人生を描いた作品。
上巻は戦中・戦後混乱期における会社創業期が、下巻に戦後復興期に
おける会社復活が描かれています。
第10回本屋大賞受賞作(2013年)。読んで損はない!お薦めの作品
です(*^-')bスバラシイー!

  海賊とよばれた男1.jpg海賊と呼ばれた男2.jpg
  ▲ 海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)
    ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
    作者: 百田 尚樹
    出版社/メーカー: 講談社
    発売日: 2014/07/15
    メディア: 文庫

【 story 】

石油会社「国岡商店」の店主・国岡鐵造。
彼は、国内大手石油会社からの締め出しを受けながらも、海外に
活路を見つけ、家族である社員たちと一丸となって幾度もの倒産
の危機を乗り越えてきた。しかし、敗戦により何もかもを失い、
残ったのは借金のみ。売る石油もない・・・。
しかし、鐵造は「ひとりの馘首(※クビ)もならん!」として、社員を
一人たりとも解雇せず、ラジオの修理や旧海軍の残油を浚うなど
して窮地をしのぎ、社員たちのため、国の再生のために社員たち
と奮闘していく!

【 主人公の人間性に魅了される作品 】

この作品は、小説というより、創業者の人生をなぞった作品という
感じ。小さな個人商店から立ち上げ、国内有数の企業になるまで
の創業者の戦いが描かれています。
この作品の最大の魅力は、百田さんの筆力もあるのでしょうが、
それ以上に、主人公の波乱な人生、生き方、人間的な魅力に
魅せられるところの方が大きいのではないでしょうか。それほど、
何度も倒産の危機に負けじと立ち向かい、大胆な発想と決断力、
行動力で乗り切っていく主人公の生き方には魅了されます。
あまり描かれていませんが、主人公の先見の明は、いろいろな
ことを熟慮された結果だったのではないでしょうか。

ただ、間違ってはいけないと思うのは、主人公と対立する者たち
が器量の乏しい、私利私欲ばかりを追う者たちのように描かれて
いますが、世の中には正義がたくさんあって一つだけではなく、
主人公の正義だけが絶対的な正義ではないということ。
あとがきで堺屋太一さんが解説していますが、物分かりの悪い
官僚にも、メジャー傘下に入った大手卸にも、それぞれの正義が
あって、苦汁の決断があって、決して、主人公の正義の物差しだけ
で歴史を判断してはいけないのだと思います。

【 現代史の一端を知ることができる作品 】

ところで、戦後復興期を描いた下巻。無知な私でも耳にしたこと
のあった「日章丸事件」が描かれており、日本の石油事情や、
その裏にあった世界情勢を知り驚きました。
この作品は、会社や創業者等の名前をわざわざ変えて「小説」と
して描いているので、どこまで真実でどこまで脚色されているかは
分かりませんが、出光興産創業者の存在が、現在の中東との
関係や国内の石油情勢に少なくない影響を与えているのは間違い
ないようです。

主人公の波瀾万丈の人生にドキドキワクワクするだけでなく、
戦中戦後の現代史の一端を知るという意味でも楽しめる作品だと
思います。
それにしても、今の世の中、これだけの傑出した人物が存在する
のでしょうか。主人公の器の大きさには驚きを通り越して感動すら
します。凄すぎます!!


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