SSブログ

ガーゼィの翼 【富野由悠季】 [ファンタジーの棚]

刊行当時(1995年5月)、この作品の存在を知らず、数年前、ネットで
富野由悠季さんの作品を探していて知りました。そのときは、同じ
バイストン・ウェルの物語でもあまり知られていない作品であり(私が
知らなかっただけ?)、新刊では手に入らないこともあって、読むことを
諦めていたのですが、今回、富野さんの作品がどうしても読みたくなっ
たことと、バイストン・ウェルの世界に触れたくなって、ネットで古本を
手に入れて読みました。

  ガーゼィの翼1.jpgガーゼィの翼2.jpg
  ▲ ガーゼィの翼―バイストン・ウェル物語 (ログアウト冒険文庫)
    ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
    作者: 富野 由悠季
    出版社/メーカー: アスペクト
    発売日: 1995/05
    メディア: 文庫

【 story 】

夏休み。実家のある金沢へ帰ろうと岐阜県の白山近くをバイクで走ら
せていた千秋・クリストファは、首にかけた8つの鈴からなるネックレス
が振動し始め、白鳥のような光が視界いっぱいに広がった。そして、
不思議な感覚の後、気がつくと、異世界バイストン・ウェルへと召喚さ
れていた。
クリスを召喚したメトメウス族は、聖戦士ガーゼィの翼の降臨を機に
アシガバ族の支配からの脱出を図っていた。
見知らぬ世界に投げ出されたクリスは、自分が一人では何一つ生きる
術を持たないことを思い知らされる。そして、生死をかいくぐりながら
メトメウス族とともに脱出を図るが・・・。

  ガーゼィの翼3.jpg
 ▲ グイン・サーガのイラストも手がけた末弥純(すえみ・じゅん)さんの
   イラストは大好きです!

【悩み、葛藤、不条理の富野物語】

ときどき、富野さんの作品を無性に読みたくなります。富野さんの作品
は、ファンタジーであってもキレイなだけの物語ではなく、生きることへの
悩みや葛藤、不条理などが描かれていて、その重さと深さが好きです。
この作品も、バイストン・ウェルという異世界に引き込まれた主人公が、
否応(いやおう)なしに戦乱に巻き込まれ、不条理に翻弄されつつも、
悩み葛藤しながら大人へと成長していくという物語。富野作品の定番
でもある、いきなり不条理な状況に主人公が投げ込まれるところから
物語は始まります。この作品も他の富野作品にみられるのと同様、
主人公がいきなり救世主として活躍するようなキレイで爽快感がある
だけの物語ではなく、みっともない失敗を繰り返しながら、泥臭くても、
少しずつ人間的な成長をしていく姿が描かれているところが魅力です。

物語は、第1巻が終わっても脱出行の途中で、クリスには聖戦士の
片鱗も見られず、見知らぬ世界への戸惑い・脅威に怯えながら
もがいています。ですから、主人公のスカっとするような活躍とか、
物語のめまぐるしい展開を望む方には、まどろっこしく感じるかも
しれませんね。
この作品は全5巻ですので、以後の4巻で、クリスがどう成長していく
のか、富野さんがどう作品を紡ぎ上げているのか楽しみなところです
(ただ、現在、第2巻の途中まで読んでいるのですが、その時点でも
脱出行の途中で、残りの巻数を考えると少し心配になっています。
何と言っても富野さんですから、中途半端に終わっていないことを願っ
ています・・・^^;)。

2015年10月時点で、古書にはなりますが全巻まだまだ手に入ります。
正直なところ、終わりまで読んでいないので富野さんの魅力が十分に
発揮された作品かは分かりませんが、私のように富野作品が好き、
バイストン・ウェルの世界が好きで未読な方は、入手してみてはいかが
でしょうか。


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。