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天翔る 【村山由佳】 [最近の素敵な本の棚]

 最初、あらすじを読んだとき、乗馬競技を描いた物語ということで、
少々、躊躇しました。実は、動物の物語って、何となく苦手なところ
もあって ^^;
 でも、この作品は、先入観だけで決めずに、読んで本当によかっ
たです。素敵な作品でした。

    ▼ 表紙も素敵なデザインですネ(*^-')bスキ!
    天翔るs.jpg
    ▲ 天翔る (講談社文庫)
     ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
      作者: 村山 由佳
      出版社/メーカー: 講談社
      発売日: 2015/08/12
      メディア: 文庫

【 story 】

 札幌で大好きな父と2人で暮らす少女“まりも”。まりもが小学5年
生のとき父が事故で亡くなり、祖父母と暮らすが、学校でいじめに
あう。祖父母に心配をかけまいと、おなかの痛みに耐えて学校に
通うまりもだったが、ついに身体に変調を来し、道でうずくまってし
まう。そんなまりもを助けたのが看護師の貴子だった。
 まりもと知り合った貴子は、自分が通う牧場(ランチ)へとまりもを
誘う。そこで待ち受けていたのは風変わりな牧場主・志渡と馬たち。
まりもは、乗馬を始め、そして、乗馬耐久競技・エンデュランスに
出逢う―。

【 さわやかで、心地いい作品♪ 】

 まりもだけでなく、貴子も志渡もそれぞれが心に傷を抱え、痛みに
耐えています。そんな彼女らが、エンデュランスという競技を通して、
心の傷や葛藤を乗り越え、未来を見つめようとする姿が清々しく描
かれています。
 まりもも貴子も志渡も、心の傷の痛みを知っているからでしょうか、
みんながやさしく、特に、まりもを見守る貴子や志度のあたたかかさ、
やさしさが伝わり、そこに、エンデュランスという馬を思いやる競技
が舞台に描かれていることもあって、物語全体がやさしさで満ちて
いて、感動してと、読んでいて、さわやかで、非常に心地いい作品
でした。すごくお薦めの作品です!☆!

【 +plus 】

 <To Finish is To Win>(完走することが勝つこと) 

 “エンデュランス”とは、野山にめぐらされたルートを馬でたどり、
ゴールまでのタイムを競う競技。デヴィス・カップ・ライドというアメリカ
のレースは100マイル(160キロ)を1日で走るそうです。ただし、
闇雲にタイムを求めるのではなく、馬を思いやり、馬の状態を感じ
取りながら過剰な負担をかけずに走らせる。しかも、レース途中で
何回も獣医による健康状態のチェックが行われ、状態が悪ければ
失権になるのだそう。まさに「完走することが勝つこと」という馬に
やさしい競技で、上位で完走した馬たちの中で、最も健康状態の
良かった1頭には、ベスト・コンディション・ホース賞という優勝以上
の名誉のある賞が与えらるのだそうです。
 レースが描かれた作品というと、勝敗や駆け引きなどの緊迫感に
満ちたような作品もありますが、この物語は、まりもたち登場人物
たちが皆、やさしさ、思いやりにあふれているところに、競技自体
もやさしさに満ちているので、作品全体の雰囲気も、とてもやさしく、
さわやかになっているのでしょうネ。


タグ:村山由佳
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