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生頼範義Ⅱ 記憶の回廊 1966-1984 【画集】 [画集の棚]

 つい先日、生頼範義さんの図録(イラスト集)が出ているのを知り、
“これは絶対に欲しい!”と迷わず買いました。
 このブログでも紹介しようと載せる準備をしていたのですが、
昨日(2015年10月27日)、生頼さんの訃報に接しました。本当に、
生頼さんの作品には魅了されていたので、さみしさを感じています。

  ※ 生頼(おおらい)さんの「頼」は、頁ではなくて刀に貝ですが、
   「頼」を使わせていただきます。

   ▼ 生頼さんを語るとき、よく“スターウォーズ”や“ゴジラ”
    を描いたイラストレーターと紹介されますが、この図録の
    カバーは“マッドマックス2”。 迫力がありますよネ☆
     記憶の回廊s.jpg
     ▲ 生賴範義Ⅱ 記憶の回廊 1966-1984
       ( ↑ amazonへはタイトルをクリックしてネ!)
       作者: 生頼範義
       出版社/メーカー: 宮崎文化本舗
       発売日: 2015/07
       メディア: 単行本

 画集「生頼範義 緑色の宇宙」(Link) のタイトルにもなっている
ように、生頼さんの“画”(“イラスト”と表現すると、何んだか生頼さん
の世界に似合わない気がするので、今回は“画”と表現します)の
世界は、何とも言えない深い色合いの緑が特徴で魅力です。
 そして、もう一つの魅力的な色合いが、この図録の表紙にも使わ
れている赤(単純に「赤」とは言いたくないのですが、何色と言った
らいいのか・・・)ではないでしょうか。

 生頼さんの作品では、妖艶な女性も魅力で、このエロティックさ
には本当に魅了されました。
 生頼さんの“画”は、平井和正さんの“幻魔大戦”や“ウルフガイ”
シリーズなどでもたくさん使われていましたが、伝奇小説などで
使われていると、物語のカオス的な雰囲気がいっそう増して感じら
れました。

 魍魎伝説s.JPG
 ▲ 谷恒生(著)の魍魎伝説。このカバーの妖艶さには衝撃
    を受けました☆


 雑誌「SFアドベンチャー」の表紙に使用された“画”も魅力的で、
書店に行くたびに惹きつけられました。今も数冊、持っています。
 各作品の下に書かれた解説は、毎号、表装画に合わせて、
生頼さん自らが書かれたものだそうです。 

 SFアドベンチャーs.JPG
 ▲ 「SFアドベンチャー」で使用されたミューズ(女神)たち

 この図録は、2015年7月から8月に、みやざきアートセンターで
開催された「生賴範義 展Ⅱ~記憶の回廊」の図録だそうです。
 小説の口絵(白黒画)や人物画も多く収録されていて、513点を
掲載。見開きの“画”が見やすいように糸かがり綴じという製本方法
を採用しているそうです。実際、見開きの画が少なくて(画の真ん中
に折目が入るような無粋はない)、配慮されているなっと感じる図録
でした。収録作品数だけでなく、そのような点でも本当に大満足の
図録でした! 超お薦めです☆


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マホロミ 時空建築幻視譚 【冬目 景】 [コミックの棚]

 冬目景(とうめ・けい)さんの作品は、以前、“ 幻影博覧会 ” を
取り上げたことがありますが、絵だけでなく、作品の雰囲気とか
が大好きです。
 そして、冬目景さんの作品を全て読んでいる訳ではありません
が(読んだのは「羊のうた」とか「幻影博覧会」、「イエスタデイを
うたって」はまだ4巻までしか・・・)、この作品が一番好きかも。
 v( ̄▽ ̄)vイイヨ~♪♪

    マホロミ2.jpg
    ▲ 第2巻の表紙です。第1巻より好きなので ☆
      
マホロミ 2: 時空建築幻視譚 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)
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      作者: 冬目 景
      出版社/メーカー: 小学館
      発売日: 2013/02/28
      メディア: コミック

【 story 】

 建築学科の大学生の土神(にわ)。
 ある日、解体されようとしている古い洋館で、真鍮のドアノブに
触れたとき、まぼろしを見る。それが何であったのかを確認しよ
うと、深夜、再度訪れた現場で、土神は謎の美少女と出会う。
そして、その少女・真百合(まゆり)と手を触れ合ったとき、建物
の記憶があざやかによみがえって・・・。

    マホロミ(真百合)s.jpg
    ▲ 第3巻に載っているカラーイラスト♪

  
【 ちょっと不思議な物語♪ 】

 各エピソード、舞台となる建物にまつわる話が描かれていますが、
それとともに、全体を通して、土神と真百合はなぜ建物の記憶を
見ることができるのかという謎、土神の祖父と真百合の関係、
土神と真百合と土神の幼なじみ・卯(あきら)との微妙な関係など
が描かれています。
 決して刺激的な展開はないですけれども、最近の輪郭などが
はっきりと描かれた絵と違って、冬目景さんのやわらかい絵や、
それに合った落ち着いた雰囲気、そして、ちょっと不思議な物語
であるところが大好きです。

 マホロミ(1巻)s.jpgマホロミ(3巻)s.jpg
  ▲ 左は第1巻の1シーン、右は第3巻の1シーン。
    この線の“やわらかさ”と“雰囲気”が好きなんです
(*^-')bグッド!!


 この作品は全4巻。既に完結してしまっています。冬目景さんの
作品は、最近完結した「イエスタデイをうたって」のように長い作品
もありますが、幻影博物館もそうでしたが、私の好きな作品って
短いんですよね T_T
 この“マホロミ”はかなり好きな作品だったのでもうちょっと読みた
かったなぁ。 


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図書館戦争 THE LAST MISSION 【映画】 [映画の棚]

  原作が大好きな作品。映画第1作目(Link)も気に入った作品だった
ので“これはも~観なくては!”と思って行ってきました☆

【 story 】

 茨城県で表現の自由をテーマとする芸術展が開催されることになり、
そこでメディア規制に対抗する根拠であり象徴の「図書館法規要覧」
が特別展示されることとなった。
 郁(榮倉奈々)たち図書特殊部隊(ライブラリータスクフォース)は
会場警備のため、水戸に派遣される。そこに、メディア良化委員会
が「要覧」を奪取しようと急襲する。
 圧倒的武力に追い詰められる郁や堂上(岡田准一)たち。
 ライブラリータスクフォースを追い詰めるメディア良化委員会の後ろ
には、手塚光(福士蒼汰)の兄・慧(松坂桃李)が暗躍していた・・・。

      図書館戦争2(3s).jpg
                  図書館戦争2(4s).jpg

【 戦闘シーンが迫力! 】

 銃撃戦などの戦闘シーンが多かったなあ、というのが一番の印象。
すごく迫力があって、岡田准一さんの格闘シーンなどもすごくて驚きま
したが、ストーリー的には軽かった(人物を描いている部分が少なかっ
た)かな。

 この作品の原作の一番の魅力は、郁と堂上、柴崎と手塚のそれ
ぞれのカップルの微妙な関係、やりとりだと思います。映画には時間
の枠があり、2つのカップルを描くのは中途半端になりかねないので、
郁と堂上に絞ったのはやむを得ないですが、その郁と堂上の関係も
十分には描かれておらず、その点については、私的にはちょっと不満
でした(もっと、平穏な日々も描いて欲しかった!)。
 まあ、あくまで個人的な印象なのですが・・・(映画に満足された方
にはすみません m(__)m!)。

 でも、批判ばかりしているように感じるかもしれませんが、全体とし
ては、榮倉奈々さんの透明感と明るさが魅力でしたし、岡田さんの
格闘シーンに代表される戦闘シーンはものすごい迫力で、観ていて
力が入ってしまいました。全体的には満足です(*^-')bヨカッタヨ♪

      図書館戦争2(1s).jpg
                  図書館戦争2(2s).jpg 

 あと、松坂桃李さんが格好良かったですネ。ああいうクールな役が
意外と似合うんですね。


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出逢った小説リスト 【2015年7月-9月編】 [読んだ作品リスト]

2015年(平成27年)の7月~9月に私が出逢った小説たちです

今期は、「ルパンの消息」や「チンネの裁き」、「リラ荘の殺人」など
少し古い作品を読んだのが特徴かと思います(「ルパン」はそれほ
ど古くないかな^^;)。
読んでいない古い名作はたくさんあるので、探してみようかな☆

  ※ 『出逢った小説リスト【2015年4月-6月編】』もよかったらどうぞ
  ※ 既に紹介している作品のタイトルにはLinkを貼っています。

*:..。o○★゚・:,。*:..。o○☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆*:..。o○★゚・:,。*


― 7月 ―

33-34_風の万里 黎明の空(十二国記) 【小野不由美】
 episode1の陽子の物語。慶王になったものの、右も左も分から
ない世界で、彼女なりに王の責務を果たそうともがく陽子。世の中
を実際に見て、遠回りしながらも、何が必要で誰を信じたら良いかを
少しずつ学んでいく成長物語です。
 やはりepi1の主人公なので、十二国の中でも最も気になる人物。
おもしろかったです!

35_ルパンの消息 【横山秀夫】
 もちろん横山秀夫さんのお名前は知っていましたが、読むのは
初めて。物語は、時効まで24時間を切る切迫した雰囲気の中、
容疑者の回想が同時に進行していきます。前半、少し展開にダラっ
とした感じを受けましたが、後半は、ドンドン展開してラストも!
読み応えがあって、おもしろかったです。

    ルパンの消息s.jpg
    ▲ ルパンの消息 (光文社文庫)
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      作者: 横山 秀夫
      出版社/メーカー: 光文社
      発売日: 2009/04/09
      メディア: 文庫

― 8月 ―

36_丕諸の鳥(十二国記) 【小野不由美】
 「丕諸」は「ひしょ」と読みます。4編からなる物語。背表紙の
あらすじにも書いてあるとおり、名もなき者たちの物語です。
この作品に限らず小説を読んでいると、権力者などにより虐げら
れている人々には、何んとか救われて欲しい、主人公の努力が
報われてほしいと願うのですが、この作品では、その結末が明確
に描かれていません。不条理に命を落としていく人々が一人でも
いる物語は、読んでいて辛いです。そういう意味で、ちょっと重い
作品でした。そういった不条理がまかり通るのが“現実”なのかも
しれませんが・・・。

37_チンネの裁き 【新田次郎】
  毎年、夏山登山に行きます。今年は、北アルプスの針ノ木岳。
そして、毎年、登山に合わせて山の小説も読んでいます。今年
読んだのは、新田次郎さんのこの作品。新田さんの初期の作品だ
そうですが、このような推理小説風の作品を新田さんが書いている
とは知りませんでした。
 今の緻密な論理立ての推理小説を読み慣れてしまうと、その面
では甘いと感じてしまうところもありますが、展開が気になり惹き
込まれました!少し暗い印象の作品ですが、おもしろかったです。
 この作品のラストは針ノ木小屋で読みました。登場人物たちが
登る山々の迫力が実感され、心理的にも同化した気がして、作品
がより身近に感じられた気がしました。

    チンネの裁きs.jpg
    ▲ チンネの裁き (新潮文庫)
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      作者: 新田 次郎
      出版社/メーカー: 新潮社
      発売日: 2015/07/29
      メディア: 文庫

38-39_アルスラーン戦記 3・4 【田中芳樹】(再読)
  実家に寄る機会があったので続編を2冊だけ持ってきました。
再読です。
 知略、謀略が入り交じる物語はおもしろいですね。現実感の
ない架空の世界だからいいのかも。さて、この3巻の落日悲歌、
4巻の汗血公路で、アルスラーンたちは、まず後顧の憂いを絶と
うとします。そして、彼らの知らぬところで急展開しており、今後
の展開も気になります(再読ですが、時間も経っているので、
あまり覚えていなくて)。
 そうそう、今、アニメが放送されていたようですが、キャラが、
ちょっと私のイメージと異なるようです(描写は知りません)。
やはり、私は天野さんのキャラのイメージですね。

40_夜のピクニック 【恩田 陸】 (Link)(再読)
 作品の感動は、どうしても2度目の方が薄くならざるを得ません。
なので、感動した素晴らしい作品をもう一度読むことは、2度目
の薄い印象が1度目の感動を上塗りしてしまいそうで、どうしても
躊躇してしまいます。この作品も、そういう意味で再読に躊躇して
いた作品。やはり、再読は先の展開を知っているので感動が薄れ
てしまったところもありましたが、惹き込まれて、あっという間に
読んでしまいました。2度目であっても、素晴らしい作品であるこ
とは間違いありませんね。黙々と長距離を歩きたくなってしまい
ました。

― 9月 ―

41_リラ荘の殺人 【鮎川哲也】
 鮎川哲也さんの作品は初めて。推理小説を読んでいると何度も
名前を聞きますし、鮎川哲也賞もあるくらいですから、以前から
1度読んでみたいと思っていたところ、名作復活と銘打って刊行さ
れていましたので購入しました。
 作品的には、表記が古い(例えば、ナンセンスをノンセンス)だけ
でなく、やはり、現在の緻密な描写に比べて甘いのかなっという
印象です(大家に対して失礼なのですが)。まあまあおもしろかっ
たですヨ。

42_朱色の研究 【有栖川有栖】
 火村英生と作家アリスの作品を読むのは初めて。帯の記載に
勘違いして、シリーズ第1作だと思って買ったのですが、読んでい
るうちに気づき・・・。
 推理小説の主人公は、傑出した推理力の他に秘密や心の闇と
いった魅力を備えていることが多いですが、第1作ではないという
こともあるのでしょう、火村にあまり魅力が感じませんでした。
人気シリーズですし、この作品を読んだだけで結論を出すのは
拙速でしょうが。ストーリーは、まあまあおもしろくて、読みやすか
ったです。

    朱色の研究s.jpg
    ▲ 朱色の研究 (角川文庫)
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      作者: 有栖川 有栖
      出版社/メーカー: 角川書店
      発売日: 2000/08
      メディア: 文庫

43_光 【三浦しをん】 (Link)
 ダークです。重いです。人によって好みが分かれそうですが、
私は好きです!詳しくは、 タイトルをクリックしてネ!

44_村上海賊の娘 下巻 【和田 竜】
 やっと下巻を読みました。おもしろかったです。この作品は、
若干、エンターテイメント化されすぎており、史実に基づいた重厚
な歴史小説を読みたい方には不満かもしれませんね。ですが、
さすが各方面で評価された作品。読ませます。

45_ガーゼィの翼 【富野由悠季】 (Link)
 壮大なバイストン・ウェルの物語の一つ。第1巻が終わっても、
まだ主人公には聖戦士の片鱗も見られず、見知らぬ世界への
戸惑い・不条理などにもがいています。聖戦士としての活躍とか、
めまぐるしいストーリー展開を期待している方には、まどろっこ
しく感じるかもしれません。詳しくは、タイトルをクリックしてネ!

46_黒百合 【多島斗志之】
 ひと夏の青春小説です。そこに並行して、推理小説がクロスして
いる作品です。舞台は、戦争の傷跡がまだまだ残る時代。中学生
の主人公たちの淡い恋や心を中心に、その親や大人たちの
エピソードが描かれています。そしてラストは・・・。
 私は知らなかったのですが、次の各賞を受賞するなど評判が高い
作品。妙に惹かれるところがある作品でした。
  ・第1位『『ミステリが読みたい!2010年版』国内篇サプライズ部門
  ・第2位『ミステリが読みたい!2010年版』国内篇ナラティヴ部門
  ・第4位『ミステリが読みたい!2010年版』国内篇総合部門
  ・第7位『このミステリーがすごい!2009年版』/国内編
  ・第7位 CSミステリチャンネル「闘うベストテン2008」/国内部門
  ・第8位『週刊文春』「2008ミステリーベスト10」/国内部門
  ・第8位『ミステリが読みたい!2011年版』ゼロ年代ミステリベスト・
      ランキング国内篇

     黒百合s.jpg
    ▲ 黒百合 (創元推理文庫)
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     作者: 多島 斗志之
     出版社/メーカー: 東京創元社
     発売日: 2015/08/29
     メディア: 文庫

 今期に読んだ「ガーゼィの翼」。文庫は「ログアウト冒険文庫」と
いう文庫でした。知りませんでしたし、今、見かけない文庫名です
よね。 そういえば、古書店などに行くと最近見かけなくなった
文庫名をみかけるなぁ。


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ガーゼィの翼 【富野由悠季】 [ファンタジーの棚]

刊行当時(1995年5月)、この作品の存在を知らず、数年前、ネットで
富野由悠季さんの作品を探していて知りました。そのときは、同じ
バイストン・ウェルの物語でもあまり知られていない作品であり(私が
知らなかっただけ?)、新刊では手に入らないこともあって、読むことを
諦めていたのですが、今回、富野さんの作品がどうしても読みたくなっ
たことと、バイストン・ウェルの世界に触れたくなって、ネットで古本を
手に入れて読みました。

  ガーゼィの翼1.jpgガーゼィの翼2.jpg
  ▲ ガーゼィの翼―バイストン・ウェル物語 (ログアウト冒険文庫)
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    作者: 富野 由悠季
    出版社/メーカー: アスペクト
    発売日: 1995/05
    メディア: 文庫

【 story 】

夏休み。実家のある金沢へ帰ろうと岐阜県の白山近くをバイクで走ら
せていた千秋・クリストファは、首にかけた8つの鈴からなるネックレス
が振動し始め、白鳥のような光が視界いっぱいに広がった。そして、
不思議な感覚の後、気がつくと、異世界バイストン・ウェルへと召喚さ
れていた。
クリスを召喚したメトメウス族は、聖戦士ガーゼィの翼の降臨を機に
アシガバ族の支配からの脱出を図っていた。
見知らぬ世界に投げ出されたクリスは、自分が一人では何一つ生きる
術を持たないことを思い知らされる。そして、生死をかいくぐりながら
メトメウス族とともに脱出を図るが・・・。

  ガーゼィの翼3.jpg
 ▲ グイン・サーガのイラストも手がけた末弥純(すえみ・じゅん)さんの
   イラストは大好きです!

【悩み、葛藤、不条理の富野物語】

ときどき、富野さんの作品を無性に読みたくなります。富野さんの作品
は、ファンタジーであってもキレイなだけの物語ではなく、生きることへの
悩みや葛藤、不条理などが描かれていて、その重さと深さが好きです。
この作品も、バイストン・ウェルという異世界に引き込まれた主人公が、
否応(いやおう)なしに戦乱に巻き込まれ、不条理に翻弄されつつも、
悩み葛藤しながら大人へと成長していくという物語。富野作品の定番
でもある、いきなり不条理な状況に主人公が投げ込まれるところから
物語は始まります。この作品も他の富野作品にみられるのと同様、
主人公がいきなり救世主として活躍するようなキレイで爽快感がある
だけの物語ではなく、みっともない失敗を繰り返しながら、泥臭くても、
少しずつ人間的な成長をしていく姿が描かれているところが魅力です。

物語は、第1巻が終わっても脱出行の途中で、クリスには聖戦士の
片鱗も見られず、見知らぬ世界への戸惑い・脅威に怯えながら
もがいています。ですから、主人公のスカっとするような活躍とか、
物語のめまぐるしい展開を望む方には、まどろっこしく感じるかも
しれませんね。
この作品は全5巻ですので、以後の4巻で、クリスがどう成長していく
のか、富野さんがどう作品を紡ぎ上げているのか楽しみなところです
(ただ、現在、第2巻の途中まで読んでいるのですが、その時点でも
脱出行の途中で、残りの巻数を考えると少し心配になっています。
何と言っても富野さんですから、中途半端に終わっていないことを願っ
ています・・・^^;)。

2015年10月時点で、古書にはなりますが全巻まだまだ手に入ります。
正直なところ、終わりまで読んでいないので富野さんの魅力が十分に
発揮された作品かは分かりませんが、私のように富野作品が好き、
バイストン・ウェルの世界が好きで未読な方は、入手してみてはいかが
でしょうか。


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