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百瀬、こっちを向いて 【中田永一】 [ラブストーリーの棚]

「せつない恋心が感動を呼ぶ」という帯の宣伝に、正直、
「せつない」のは苦手だなぁと思ったのですが、その横に、
大好きな岩井俊二監督の紹介文もあって、半分試しで
買ってみた作品でした。
そんな感じなので、正直なところあまり期待していなかった
のですが、“痛いせつなさ”ではなくて、読後感がなんとも
心地のいい、とっても“素敵なせつなさ”の作品でした。
 (o^-')bオススメ!

momose.jpg
百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫) (←amazonへはタイトルをクリックね!)
作者: 中田 永一
出版社/メーカー: 祥伝社
発売日: 2010/08/31
メディア: 文庫

▲ 真っ白な表紙に、ターコイズブルーのような美しい
  色の文字。
  物語のさわやかさを表現したような素敵な表紙です♪

【 story 】

「ノボルにたのみがある」
幼馴染の先輩に連れ出された図書室には、野良猫のように
挑戦的な目つきをした女の子が待っていた。
そしてその頼みとは、その女の子・百瀬陽(ももせよう)と恋人
のふりをすることだった。
そうして始まった百瀬との嘘の恋人関係―
ふたりだけの屋上で百瀬に髪を切ってもらったとき、頭上に
高く広がっていた7月の空。先輩とその彼女とのダブルデート。
ひとつひとつ増える思い出が僕の気持を切なくさせていること
に気づく・・・。

                (「百瀬、こっちを向いて」より)

【 繊細な“恋”を描いた作品 】

タイトルにもなった「百瀬、こっちを向いて」を含め4つの短編
からなる、繊細な恋心を描いた物語。
いずれの作品も、“好き”という気持に気づくまでの微妙な心が
描かれているのですが、ちょっと“キュン”として、甘酸っぱくて、
でも、青空の下で爽やかな風に身をなでられているような心地
よさが残る素敵な作品でした。

4作品のうちでも、私は“特に”「なみうちぎわ」という作品が好き。
家庭教師をしていた教え子・小太郎を助けようとして遭った
海の事故により5年後に意識を取り戻した姫子が、時が止まっ
ていた間に自分の年齢を追い越してしまった小太郎へ対する
心の変化が描かれた物語です。
物語の雰囲気自体も静謐ですが、姫子が静かに心と向き合い、
そして、気持を確かめていくところが、ほんのりとあたたかい
気持にさせてくれました。

そして、最後の「小梅が通る」(この作品もいいです♪)を除いて、
いずれの作品も、最後にちょっとした謎が明かされるのですが、
これがビターテイストとなっていて、物語の味を引き立ててくれて
います。
ホント、2010年の最後に素敵な作品と出逢えて嬉しいです!
о(ж>▽<)y ウレシー☆

【 +plus 】

例えば、私の特に好きな作品のタイトルを「波打ち際」とせずに
「なみうちぎわ」としているように、この物語に限らず意識的に
“ひらがな”を使っているようです。
登場人物たちの会話も、「素の気持」が伝わってくるような感じが
して、そんなところも良かったです。
“ひらがな”って、やわらかい“ことば”ですネ!


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植物図鑑 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]

作者の有川浩さんが “ あとがき ” で自ら、
 - 主役のカップルが臆面もなく甘ったるくなっていて -
と書かれているくらい甘々の恋愛小説。
甘いとは聞いていましたが、ここまでとは ( ̄▽ ̄;)ハハ

植物図鑑_01.jpg
植物図鑑 (← amazonへはタイトルをクリックしてネ)
作者: 有川 浩
出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日: 2009/07/01
メディア: 単行本

【 story 】

まだまだ夜が凍りつく、冬終わりかけの休日前夜。
朧月(おぼろづき)が出ていた。
終電ギリギリの吞み会の帰り、ほろ酔い加減で帰ってきた
さやかは、マンションの前の植え込みで転がっている男を
見つける。

し・・・・・・死んでる?
そっと腕を伸ばして人差し指で男の頬をつついた。
あ、温(ぬく)い。

 「どうしたんですか?」
 「行き倒れてます」

手持ちの現金遣い果たして無一文という男はこう言った。

 「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」

クククと笑い転げてると、男は更に言葉を重ねた。

 「咬みません。躾(しつけ)のできたよい子です」

それが、イツキとのちょっと共同生活の始まりだった。

【 さっぱりとした、また味わいたくなる甘さ♪ 】

ちょっとキレイな恋愛過ぎるかなって思うけど、ベタベタ過ぎない、
この“さっぱり”とした“爽やか”な甘さはたまりません。
さすが有川浩さん。
もっともっと、有川浩さんの甘々な恋愛小説をまた味わいたく
なってしまいます о(ж>▽<)y オイシー☆。

【 プチ発見も魅力♪ 】 

さてさて、この物語は、タイトルの「植物図鑑」ならぬ 『食物図鑑』
的なところも魅力。
身近にある名もないと雑草とばかり思っていた植物に名前があって、
しかも、食べられる植物がたくさんあるなんて!
読んでいて、さやかと一緒にプチ発見しているようで、楽しい作品
でした。
もっと、身近な “ 素敵 ” に気づかなくちゃいけないよネっ。
作品に出てくる植物は知らないものが多かったけど、表紙の裏側に
写真があってイメージが広がったヨ。

それにしても、たんぽぽが食べられるのは驚き☆
あと、オオイヌノフグリの意味には唖然でした!
(書けませんが強烈!女性に対して、口に出して言えません・・・)
ちなみに、さやかが苦手だったフキノトウの天ぷら、私はだ~い好き
でーす ^^

【 +plus 】

植物図鑑_02.jpg
 ▲ カスヤナガトさんのイラスト (o^-')b
   やさしい物語のイメージにぴったり!甘そうですネ♪
   物語のさやかも、イラストのさやかも、カワイー☆
 


タグ:有川浩
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少女ノイズ 【三雲岳斗】 [ラブストーリーの棚]

この作品との出逢いは、出張で大阪に行ったとき。

書店のお薦めだったのか、この作品だけ何冊も並べてあったこと、
しかも、私はこういうイラスト(表装)がだ~い好きなこと *^^*ヘヘ!
極めつけが、有川浩さんの帯の紹介文に惹かれたこと
そしてダメ押しが、作者の三雲岳斗さんの作品を読んだことがあって
(その作品はライトノベルだったので、最初気付かなかった)、
読みやすくてなかなか魅力的な作品を書いていたこと、
そんな理由で買う気になりました。

少女ノイズ.jpg

少女ノイズ (光文社文庫)
作者: 三雲 岳斗
出版社/メーカー: 光文社
発売日: 2010/04/08
メディア: 文庫

【 story 】

大学に通う僕・高須賀克志は、人には言えない趣味を持つ。
そんな趣味を知る大学の特任準教授・皆瀬から、ある日、
アルバイトを紹介される。
それは、斎宮瞑(いつきのみやめい)という生徒を担当する
大手進学塾の講師だった。

「瞑さんのお世話をお願いしたいの。無理に講義に出席させる
必要はないけど、その・・・彼女が面倒を起こさないよう、
相手をしてあげて欲しいというか」

塾の職員から受けた説明に訳がわからないまま瞑と出逢った
のは、塾の屋上だった。
脱ぎ捨てられたスニーカー、両脚を無造作に投げ出し、無機質に
まるで倒れているよう。
そして、スタジオ録音などで使う密閉型のごついヘッドフォンで、
小振りな頭部をすっぽり包み込んで、すべてを遮断するように
していた・・・。

【 ミステリ小説か、恋愛小説か 】

実は、購入する理由の一つとなった宣伝帯に、有川浩さんは、
こんなことを書かれていました。

「ミステリ部分、ぶっちゃけどうでもいい。『少女ノイズ』は彼と彼女が
出会い、求め合う、ただそれだけの恋物語だ」

自衛隊三部作に代表される恋愛作品に定評のある有川さんが
(っというか、私も有川さんの恋物語がだ~い好き!)、
宣伝帯とはいえお薦めしている小説なので、すご~く楽しみ
でした。
そして、読み終わって感じたことは、三雲岳斗さんには失礼ながら、
有川さんの言うとおり!
ホント、ぶっちゃけミステリ部分はどうでもいいです!
(三雲さんゴメンなさい!)

私も読んでみて、この作品は、瞑とスカ(高須賀のこと)の恋物語
だと思います。
そう!謎は、瞑とスカが少しずつ近づいて行く触媒みたいなもの。
なので、本当にミステリ部分はどうでもよかった ^^;
実際、惹きこまれるほどの謎でもないかなって感じ。
ただ、恋愛小説と言っていいのかも、正直なところまた微妙。
物語はミステリの方がメインで、逆に瞑とスカの関係は添えられた
ような感じ。
でも、瞑とスカの微妙な距離感がちょっともどかしくて、
二人が惹かれあっているのか、そうでもないのか?分からない
ような感じの中、一つの謎を通して二人が近づいていく感じが
良かったです(ホントに少しずつですが・・・)。

もしかしたら、私が恋物語を期待し過ぎて、もう少し瞑とスカとの
やり取りが多い方がよかったなと思ったから、謎に物足りなさを
感じてしまったのかも知れません。
でも、いずれにしても、こういう雰囲気の作品って、すごく好み。
о(ж>▽<)y スキー!
お薦めです


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雷桜【宇江佐真理】 [ラブストーリーの棚]

この『雷桜(らいおう)』という作品を知ったのは今年の1月ころ。
蒼井優さんと岡田将生さんの主演で映画化されるという記事を
見てでした。

雷桜.jpg

雷桜 (角川文庫)

  • 作者: 宇江佐 真理
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2004/02
  • メディア: 文庫


▲ 雷で裂かれた銀杏に桜が芽吹いた木。
  雷桜は、遊を表わしたような木です。

【 story 】

江戸から3日を要する山間(やまあい)の村・瀬田村。
その村の庄屋・瀬田助左衛門に一人娘・遊が生まれた。
ところが、雛の節句の夜、遊は雷雨にまぎれて何者かに
さらわれてしまう。
村総出ね必死の捜索にもかかわらず、遊の行方は手がかりも
つかめなかった。
しかし、一家は、遊が生きていることを信じて疑わなかった。

それから、15年。
遊はついに、助左衛門一家の元に戻る・・・。

一方、助左衛門の次男・助次郎は、その才覚が認められ、
御三卿の清水家・斉道の家臣になることとなる。
そして、斉道が瀬田村で静養することになったことから、
遊と斉道は運命の出逢いをする・・・。

【 美しい物語 】

温かく、透き通るようなやさしい光に包まれたような美しい物語。

それは、描かれる雷桜や瀬田村などの光景だけでなくて、
遊の心根のやさしさや純粋さ、そして、ほかの登場人物たちの
温かさといった美しさ。
読んでいて心地よく、美しさが目に浮かんでくるような作品でした。

この物語は、遊と斉道の身分を超えた恋物語という面もありますが、
それ以上に、遊という女性の波乱に満ちた一生に惹き込まれ、
そして、普通の女性として過ごすことのできなかった人生を恨むこと
なく、すべてを受け入れ生きていく遊という女性の強さと生き方に
魅了されました。
そしてラスト。読後の余韻に浸った作品です。

【 +plus 】

江戸時代が舞台というと、身分関係など息苦しい時代のように
感じられますが、現代にはない人情味や素朴さに溢れていて、
時間の流れ方も異なり、現代が舞台では決して描けないような
やさしさや温かさがあります。
この作品も正にそう。江戸時代が舞台だからこそ、素敵な仕上がり
になっているように思います。

こんなふうに感じたのは、 『御宿かわせみ』を読んだとき以来。
あの “しっとり感” も江戸時代が舞台でないと描けないと思います。


raiou.jpg

▲ 2010年10月22日公開です ♪
  official site で予告編も観れるよ☆
  ( ↑ ここをクリックね!)

                      (2010年7月24日追記)


タグ:原作
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トーキョー・クロスロード 【濱野京子】 [ラブストーリーの棚]

この作品を手に取ったのは、背表紙のあらすじに惹かれて。
読んでみましたら、すご~く私好みで、まさに春にぴったりな
“ さわやかさ ” と “ みずみずしさ ” に溢れている作品でした。
こういう作品ってだ~い好きです *^^*

トーキョー・クロスロード .jpg
 ▲ 表装のセンスもすごくいいですネ!こういう感じは好き☆

トーキョー・クロスロード (ポプラ文庫ピュアフル)

  • 作者: 濱野 京子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2010/03
  • メディア: 文庫



【 story 】

山手線内のどこかの駅で下車して、その町を歩く。あてどなく歩く。
家にいるまんまの格好。
たぶんすれちがっても、友だちは気づかない。
私でない私。だれも知らない私。孤独。孤独という名の解放。
これが栞の密かな休日の過ごし方。

そんなある日、栞はかつての同級生、耕也と再会する・・・。
卒業の最後の最後にした片想いだった。
そんな耕也との再会は、現実と夢のあわいのような場での
出会いだった。

【 胸をチクチクさせながら 】

この小説を手に取ったのは、私も、誰も自分を知らない町に
住んだことがあって、主人公・栞と同じく、周りが誰も自分を
知らないということが、ここまで解放感があるのかと思うほど
解放感を感じたことがあったから。

読むきっかけはそんな理由でしたが、読んでみると、
栞の押さえようとしても押さえられない繊細な恋心と葛藤が
私にもあった恋や葛藤と重なって、惹き込まれました。
そのころを想い出して、少し胸がチクチクとしながら ^^;

耕也への気持ちを抑え込もうとする栞の心がみずみずしくて、
痛々しくて。でも、そんな栞の気持ちが痛いほど共感できて。
最初にも書きましたが、とても“ さわやかさ ” と “ みずみずしさ ”
に溢れている素敵な作品です。

濱野さんの作品をもっと読みたいな
ホントすごーく気に入った作品です。

【 +plus 】

この作品は、「第25回(2009年度)坪田譲治文学賞」の受賞作
だそうです。
坪田譲治文学賞は、前一年間に刊行された文学作品の中から、
大人も子どもも共有できる世界を描いたすぐれた作品を対象と
しているそう (ちなみに、五木寛之さんなどが選考委員となって
います)。
ポプラ社のホームページでは、「グレード:小学校高学年~」と
なっていますが、坪田譲治文学賞の趣旨のとおり、大人が十分
楽しめる素晴らしい作品ですよ!


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図書館内乱 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]

有川浩さんの作品はまだまだ読みたいけど、一気に読んじゃうのは
もったいないので、ひとまずお休み!
とりあえず、私の中の “ 有川浩フェア ” のラストを飾るのは、
「図書館戦争」の続編『「図書館内乱』です v(^-^)v
図書館戦争のファンは多いって聞いていたけど、改めて納得

tosyokan_nairan.jpg

図書館内乱

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: メディアワークス
  • 発売日: 2006/09/11
  • メディア: 単行本

【 story 】

ついに郁の両親来館!戦闘職種への配属を隠せ!
堂上班が一致団結して(?)挑むミッション「両親攪乱作戦」

小説「レインツリーの国」をめぐる良化査問会との攻防と
聴力にハンディのある美少女高校生の恋を描いた「恋の障害」

そして、図書館内の「行政派」と「原則派」との主導権争いに、
図書館随一の情報収集能力を有する柴崎の恋愛(?)、
郁の同期・手塚の兄との確執などが絡んで、相も変わらず
図書館は四方八方敵だらけ!
郁が、堂上が、小牧が、柴崎が、そして、手塚が、
読みたい本がいつでも読めるように本を守るため戦う!!

【 2通り楽しめます! 】

続編の強みで、登場人物の設定は終わっているから、余計な説明が
なくて、端的にストーリー展開を楽しめましたし、もちろん、図書隊員たちの
魅力も全開で、あっと言う間に読み終わってしまいました。

最初の「両親攪乱作戦」は、半分コメディのような感じで気楽に読めて、
郁が右往左往する姿や、堂上班の面々の辛らつなリアクションが
楽しかったし、次の「恋の障害」は、良化委員会との攻防はありましたが、
小牧教官に想いを寄せる女子高生・毬江の爽やかな物語が楽しめました。

ところが、「美女の微笑み」以降、「兄と弟」、「図書館の明日はどっちだ」
では、物語の楽しみ方が一転。
図書館内部の主導権争いを軸に “ きな臭い ” 話が続いて、
さあ、郁たちは、図書館の未来はどうなるのだ!っという感じで、
ドキドキしながら読んでいました。

ラストには、ますます “ きな臭く ” なりそうな新たな展開があり、さらに、
郁の「王子様」についても展開があるなど、第3弾「図書館危機」が
さらにさらに楽しみです

【 +plus 】

先日取り上げた「レインツリーの国」と、この「図書館内乱」のどちらを
先に読んだ方が物語を楽しめるか!っと言ったら、
私は、「レインツリーの国」の方を先に読むことをお薦めしま~す。
その方が、「恋の障害」で小牧が毬江に「レインツリーの国」をお薦め
する理由が分かって、より「恋の障害」が楽しめると思いますヨ 
(*^-^)b


 


タグ:有川浩
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空の中 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]

まだまだ、私の中では “ 有川浩フェア開催中 ” v(^-^)v
っということで、次に選んだのは 「空の中」 でーす。

sora_no_naka.jpg

空の中 (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/06/25
  • メディア: 文庫


▲ 一面に広がる白い雲海と真っ青な空。
  「塩の街」の表装も素晴らしかったけど、この作品も最高!
  編集者さんのセンスが光ってますよネ ('-^*)☆

【 story 】

200X年、国家規模の計画として進められた国産輸送機開発プロジェクト。
その最終局面の試験飛行中、試験機は四国沖で爆発炎上した。
それから1か月後、飛行実験中の自衛隊機も同じ空域で爆発炎上する。
相次ぐ謎の航空機事故に、メーカーの担当者・春名高巳(はるなたかみ)と、
事故機の僚機だった自衛隊パイロット・武田光稀(たけだみき)は、
調査のために高度2万メートルの高空へと飛んだ。
雲のはるか上空域で彼らが見つけた “ もの ” とは?

一方、自衛隊機が爆発したその日、高知に住むそのパイロットの息子・瞬と、
幼馴染の佳江は、海岸で不思議な生物を拾う。
その不思議な生物とは?

【 Wの物語 】

「塩の街」が本当に気に入ったので、自衛隊3部作(すごいネーミングですね)
の第2作である「空の中」もすごく楽しみにして読みました。
この作品もグイグイ惹きつけられて、素敵な作品でした (o^-')b
(多重人格の話や、白鯨とのやり取りが少し長くて、間延びした感もありますが)

ところでこの物語は、高己と光稀、瞬と佳江のWの物語(ラブストーリー)と
言っていいのかも。
あくまでも空の上で見つけたもの、海岸で見つけた生物をめぐるストーリーが
中心ですが、その中に2つのラブストーリーが、それぞれ素敵なスパイスとして
混ぜ込まれていて、ちょっと甘酸っぱくて、さわやかな印象の物語になってます。
「図書館戦争」を読んでいても思ったのですが、こういう味付けが、有川作品の
魅力というか、有川浩さんの上手さなんでしょうネ

特に、恋愛に不器用な光稀がかわいくて、それをやさしく見守る高己もいい
ですよネ。
「図書館戦争」の郁もそうですが、肩肘を張っていながら、時折、垣間見せる
“素直さ” に男って惹かれちゃうのかも *^^*

【 +plus 】

文庫には、特別書き下ろし「仁淀の神様」が収録されていますが、こちらも
ぐっ!とくる作品。
瞬と佳江のその後も描かれていて、短い作品ですがいいですよ!


タグ:有川浩
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レインツリーの国 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]

只今、私の中では “ 有川浩フェア開催中 ” v(^-^)v
っということで、次に選んだのは 「レインツリーの国」 です。

レインツリーの国.jpg

レインツリーの国 (新潮文庫 あ 62-1)
作者: 有川 浩
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2009/06/27
メディア: 文庫

 ▲ 表紙のやわらかな、さわやかな雰囲気に惹きつけられ、
  書店の平積みから何度も手に取った作品。
   読んでみたら、表紙の雰囲気そのままのやわらかくて、
  やさしい物語でした。

【 story 】

きっかけは、中学生のころに読んだ「忘れられない本」。
そのころは、その感想を話す相手がいなった向坂伸行は、ふっと
「俺以外の奴は、あのラストをどう受け止めていたのだろう?」
との思いから検索してみた。
そしてたどり着いたブログが「レインツリーの国」だった。

ダメもとで送ってみた感想のメールから始まったメール交換。
言葉を大切にする “ ひとみ ” に惹かれ、伸はあっという間に、
どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。
だが、「会いたい」と意を決して出したメールへの返事は
なかなかこない。
かたくなに会うのを拒む彼女には、実はある理由があった―。

【 ありかも! 】

そんなにはないと思うけど、実際、こんな出逢いもあるのかも
知れませんね ^^
ブログって、匿名性もあって、比較的自分の素直な気持ちを
書き込むことが多いから、その人の人間性が出ているなって
思うことがあります。
読んでいると、「あ~この感覚いいな」って☆


(ごめんなさい!この後の感想は、読んでない人には分からないかも。
 でも、詳しく書くとストーリーが楽しめないと思うので・・・)

この物語を読んでいて(二人の間で交わされる会話を読んでいて)、
気を使うことが逆に相手の心を傷つけていたり、知らず知らずに
高い目線で見てしまっていたり、難しいなぁって感じました。
なので、少しずつでも二人の距離が縮まっていくのは素敵でした。

それにしても、伸くんはいいです。物事を見る目線がとてもいい。
どういいかは、是非、読んでみてネ。
私も、彼みたいなに物事が見れる人間に少しでもなりたいな!

【 +plus 】

さてさて、この物語は「図書館内乱」とリンクした作品とのこと。
同時期に刊行するため、同時期に書かれた作品だそうです。
なので,「図書館内乱」の表紙にこの「レインツリーの国」の表紙も
描かれていますが、分かりますか??

図書館内乱

図書館内乱

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: メディアワークス
  • 発売日: 2006/09/11
  • メディア: 単行本


 ▲ 「レインツリーの国」という本をめぐる「図書館内乱」も楽しみ♪。


【 あとがき 】

☆ 読んでくださった皆さん、ありがとうございます ☆
2010年3月22日は、このブログを開始して「ちょうど3周年」。
自己満足のブログではありますが、これからも人にお薦めできる
気に入った作品を紹介していきたいなって思ってまーす。(*⌒∇⌒*)


タグ:有川浩
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塩の街 【有川 浩】 [ラブストーリーの棚]

有川浩さんは、評判の「図書館戦争」の作者として名前は知ってましたが、
読んだのはこの作品が初めて。
正直なところ、読む前は、
「塩に埋め尽くされてしまった世界? あまり触手がわかないなぁ!」
なーんて思って、なぜか気にはなっていたのですが、本屋さんでも
手にとって表紙を眺めているくらいでした・・・。

ところが、某ブログで大絶賛していて、それで興味を引かれて
読んでみたところです。
感想は・・・最高!(*^-')b
ほーんと、私好みの作品
いっきに有川浩さんファンになりました。

塩の街.jpg

塩の街 (角川文庫)
作者: 有川 浩
出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日: 2010/01/23
メディア: 文庫

【 story 】

ある日、突然、塩が世界を包み込んだ。
人が塩と化する塩害。原因は不明。
世界の秩序が崩壊していく中、家族を失いひとり残された少女・真奈は
秋庭という男と出逢う。
崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。
世界の片隅で生きる二人の前には、様々な人が現れ、そして消えていく。

そんなある日、二人の前にひとりの男が現れる。
「世界とか、救ってみたくない?」
二人の、そして世界の運命が動き出す・・・。

【 とてもキレイで素敵なストーリー 】

なんだか実写映画化したら、とても素敵な映画になりそうな作品!
崩壊寸前の世界で出逢った秋庭という男と、真奈という少女のラブストーリー
と言っていいと思います。

真奈は、物静かではあるけれど芯を持っていて、物事の本質を理解できる、
きっと多くの男性にとって理想のような女性。
一方、秋庭は、愛する人を大切に想い、さりげなく、でも絶対に守ろうとする、
きっと多くの女性にとって理想のような男性。
そんな魅力的な二人が紡ぐ物語です。

二人の関係は “ はがゆく ” も感じられますが、お互いに想いやる気持が
凛として伝わってきて素敵です。
そんなところと、いつ自分たちが塩害に合うか分からないという状況で
秋庭が下した判断。最後の最後まで物語に惹きこまれました。
秋庭が下した判断の理由がまた素敵なんですよネ♪
こんなにも素敵な作品に出逢えて、とてもうれしいです O(≧∇≦)O !!

【 +plus 】

ところでこの作品は、第10回電撃小説大賞の「大賞」を受賞して、
電撃文庫から刊行されたそうです。
そうなんです!ライトノベルなんです。
でも、読んでいて、何だかライトノベルっぽくないなぁって少し違和感を
感じていました。

それもそのはず!
それは、ハードカバーにあった有川さんの “ あとがき ” から理由が判明!
電撃文庫のときは、出版社からの要請で、秋庭や真奈の年齢を下げたり
するなど変更しているんですって。
でも、ハードカバー版や文庫版は、かなり当初原稿に戻しているそう。
それで納得!

文庫版にも有川さんの“ あとがき ”があるけど、ハードカバー版の有川さんの
“ あとがき ”を是非読んでみてね。
文庫の“ あとがき ”には、有川さんの“ あとがき ”に出てくる編集者(たぶん)が
解説を書いているので、併せて読むとおもしろいですよ☆ *^^*


タグ:有川浩
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忘れ雪【新堂冬樹】 [ラブストーリーの棚]

新堂冬樹さんの作品を読むのは初めて。
“あらすじ”に惹かれて読むことにしました。
運命の人との出逢いと別れ、そして、再会。
私の好きなテーストでつまった作品です。

忘れ雪 (角川文庫)

忘れ雪 (角川文庫)

  • 作者: 新堂 冬樹
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 文庫

【 story 】

「マリア公園」と呼ばれる公園で瀕死の子犬を拾った小学生の深雪。
春の雪、“忘れ雪に
願いをかければ必ず叶う”という今は亡き母親の
言葉を思い出す。
そんな子犬の回復を願う深雪の前に現れたのは、獣医を目指す
高校生の桜木だった。
桜木のおかげで助かった子犬に深雪はクロスと名付ける。
不思議な出逢いだった二人だが、まもなく別れの時を迎える・・・。

7年後・・・
獣医となった桜木
のところに飛び込んできた犬。
そして、その犬に導かれるように男の前に現れた女性。
桜木は、明るい表情の裏側にときどき見え隠れするさみしげな
女性に
次第に惹かれていく。
やがて桜木は、彼女との出逢いが遠い過去に遡ることを知るが、
それを知ったの時、彼女は男の前から姿を消した後だった・・・。

【 痛い作品 】
(ネタばれになりそう。まだ読んでない場合は読まないでネ)

運命的な出逢いと再会、そして・・・という前半の展開。
恋愛小説としてはここまでで十分な展開で、このまま物語が
終わってもいいくらい!
なのに、まだまだ物語に先があることに、少し不安を覚えました。
結論から言えば、後半で物語の雰囲気を変えたことにより、
前半の素敵な物語を壊してしまっている
感じかな。

長い長い時間をかけて通じた彼への想い。
つらい思いをたくさん味わい、耐えてきた深雪だからこそ、
幸せが成就してほしかったな!
ラストは書けないけど、私にとって読後感がすごく「痛い」作品でした。
定番だ!なんだと言われようが、私はハッピーエンドがいいな!
だって、桜木の存在はいつまでも深雪の心の支えになるかも
しれないけど、やっぱり、それが一番の幸せだとは思えないからネ。

でも、このブログで紹介するくらいなので、基本的に好きな作品
なんですよ!

【 +plus 】 

ちなみにあとがきを読むと、新堂さんにとってラブストーリーは特異な
作品のよう。
「新堂さんらしい」という作品は、もっと痛い作品を書くのかなぁ。
心が痛すぎて読めないかも。


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